KA.Blog

株式市場で気になる銘柄をピックアップして分析、検証していきます。主に中期~長期の投資で成果を上げ、値動きを追っていく予定です。株の他にも日常の話題やコーナーで綴っていき、むさくるしくない(?)ブログにしていきたいと思っています。

先週の予告通り

普段は株メインのブログなのですが、市場の開いていない日曜日は趣味で書いてる小説の日にします。ちなみに株とは全く関係のないテーマでやっておりますので、小説に興味のある方、または読んでやっても良いかなーと思う方はお付き合いください。株のみの方は日曜は無視していただいて結構ですので、明日からまた宜しくお願い致しますm( _ _ )m

小説自体は一週一節ペースで計13週13節の話でいこうと思っています。まあ新聞にある小説のようにちょっと箸休め的な感覚であれば良いなと思っています。そこまで本格的なものは作れないですが・・・。基本的には「世にも奇妙な物語」風なプチサスペンスものを続けていくつもりです。以下本文スタートです。


             台風一過

第一節 嵐の前の静けさとはよく言うが

「フィリピン沖で発生した大型の台風7号は進路を変えず真っ直ぐ日本に向かって進んでおり、25日未明には伊豆大島の南西70kmに達する見込みです・・・」
テレビで有名な気象予報士が台風の接近を告げた。去年は台風が大量発生し、数十名の死者が出た程の惨事であった。他にも大地震や水害といった天災、公務員や政治家の汚職や理不尽な動機の殺人といった人災、と暗いニュースが多かっため、その年を漢字一文字で表すといった毎年恒例のイベントでは悲しくも「災」が選ばれる結果となってしまった。

人災は今年も変わらず続くであろうが、少なくとも天災の方は今年は去年ほどひどくは起こらないだろうというのが、それぞれの専門家の共通とする見解であった。7月下旬の段階で7号というのはほぼ例年並の発生ペースで、今回の台風も大型で多少注意は必要であるものの、島国の民であるおおよその日本人にとって、取り立てて珍しい事態ではなかった。

「今晩台風7号が本州に最も接近し、関東上陸の恐れもあります。皆さん、交通機関の運行状況にはくれぐれもご注意の上、外出は極力控えるよう・・・」
道草もせず順調に台風7号は本州に接近を続け、ついに今夜最接近らしい。テレビ局各局のレポーターはそれぞれの持ち場である海岸沿いの最も絵になるポイントを色めきたって陣取りし、原稿読みの練習を繰り返していた。さながら主役の登場を待ちわびる一ファンの心境のようであった。

外出したくないことは山々であったが、日本経済を支える一サラリーマンの私としては、台風ごときで他のライバルに溝を空けられるわけにはいかなかった・・・という程勤勉なわけでもなく、単に前日上司から「台風が接近しているので気をつけて出社してくるように」とだけ有り難い仰せ付けを承り、それに従わざるを得なかっただけである。うかつにも私は昨日会社に傘を置き忘れてきてしまった。幸い今は風が強いものの雨は一時的に止んでおり出社には差し支えなさそうだった。後はただ会社に着くまでに雷神が機嫌を損なわないよう祈るばかりであった。

何とか私の心配は杞憂に終わり、空から天も雨も降ってくることはなかった。この時点でこれから起こることが予測できれば、私はサラリーマンなんぞ続けなくても、予言者として印税と出演料で食っていけたであろう。