KA.Blog

株式市場で気になる銘柄をピックアップして分析、検証していきます。主に中期~長期の投資で成果を上げ、値動きを追っていく予定です。株の他にも日常の話題やコーナーで綴っていき、むさくるしくない(?)ブログにしていきたいと思っています。

実際のところ

先の金曜、小説の取材のつもりで裁判の傍聴に行ってきました。初めての裁判所は思ったより大きく、きれいな所でした(^^)

裁判所の人が色々教えてくれる形式になっており、今度始まる裁判員制度に対する広報の意味合いが強いガイド付きツアーでした。しかしツアーと言っても傍聴するのは本当の裁判。争っている当事者達は真剣なのにツアーって・・・と思いましたが、まあ何でも理解を深めるのは良い事です(;^_^A私の見てきたのは民事裁判で、某コンビニが酒類販売免許に関して某商店から損害賠償を訴えられているという内容。

法廷に裁判官が入ってくると全員で起立します。厳粛な雰囲気でいよいよ開廷です。ただ最初の訴状陳述は非常に形式的で次の日程を決めて終わり。2分もかからないスピードで裁判官は退廷していっていきました。裁判がいざ始まってみると笑い声が起こったりして終始和やかな雰囲気。裁判ってもっとピリピリしているのだと思っていたのですが、当事者がいないのもありますけど(代理人の弁護士のみ)、案外こんなもんなんですねー(・・;)

しかも私の見間違いかとは思うのですが、次の証人尋問の時間まで被告側の弁護士が法廷内で待機しているのですが、その空き時間を利用して携帯ゲーム機のようなもので遊んでいるように見えました。丁度「弁護士灰島秀樹」を見たばっかりだから先入観があり、PDAか何かで情報を管理していただけなのを見間違えただけでしょう。でもPSPに見えたな・・・(-。−;)

その後再び法廷に裁判官が戻ってきて証人尋問です。3人の証人が宣誓文読み上げて、一人ずつ法廷で証言します。原告側の弁護士から尋問が開始されます。証人側は裁判慣れしていないのでしょう(普通慣れている人はいないでしょうが)、かなり動揺しているように見受けられました。しどろもどろな発言を繰り返します。続け様に被告側からも尋問されます。弁護士は証言台に片手を付いて上から見下ろすように尋問します。ドラマと同じだ!

そんなこんなの体験を交えつつ、小説を書いていきたいと思いますので乞うご期待!!

さて、今日は日曜なので小説の日です。前回までの分は毎週日曜のブログを確認してください。


                        正義のみかた

※この作品はフィクションであり、実在する、人物・施設・団体とは一切関係ありません。

第十七章 黒豹のように

「待てーー!!!敦ーーー!!!!」
あらん限りの力で叫んだ私は同時に自分の力を奮い起こした。「なんだ、万引き少年の逃走劇だと思っていたが単なる身内のもめ事か?」冷たい目線がデパート客から私に向けられたが、それに対して応じる余裕なんて全くなかった。

鬼気迫る大人の真剣さに圧倒され泣き出す子供、ぶつかった衝撃で紙袋の中身をぶちまける老婦人、ケータイを取り出し写真を撮ろうとする女子高生。様々な声や人影が横目に流れていった。デパート内に絶えず流れる穏やかな曲が逆に場違いに感じられた。

「待て!待つんだ!!」
走りながら叫ぶ。待てと言われて待つなら誰も苦労はしない。しかしそれでも叫ばざるを得ないのが悲しい習性だ。心臓が過重労働に抗議の脈を打つ。息が切れる。だがこのチャンスを逃すわけにはいかない私は必死で走り続けた。

とはいえ向こうも必死だ。下りエスカレーターに逃げ込む。1階まで降りてデパートから抜け出すつもりらしい。子連れの買い物客が思わず飛び退く。敦君は縦に並んで降りている客の間を右へ左へ縫うように、飛び降りるようにエスカレーターを駆け下りて行く。呆気にとられた他の客は戸惑いながらも巻き込まれないために道を開ける。先人が道を切り開いて行くところに駆け下りるのだから追跡する側はまだ楽ではある。更に敦君との距離は縮まっていった。

追い掛けながらも何とか後続の警官を撒くための妨害工作はできないかと考えた。しかし走りながら考え行動に移す余裕なんて、そもそも振り返る余裕すらなかった。追い掛ける私は目の前の獲物を追うだけで精一杯だった。

むしろその時私の頭は奇妙な感覚に捕らえていた。今思うとランナーズハイの一種だったのかも知れない。追い掛けているうちに洋子、梓を殺した少年と敦君の影が重なって見えたのだ。敦君を捕まえる事によって、あの少年を捕まえる事ができるように錯覚した。あいつが洋子と梓を・・・。そう思うと沸き起こる怒りで力が増幅したような気がした。逃がすものか!捕らえて法で裁かれる前に私が裁いてやる!!酷使された体中の悲鳴に耳を貸さずの全力疾走だった。

そして3階から2階へと続くエスカレーターだったであろうか。ついに彼我の差が数段の距離まで縮まり、手の届く範囲に到達したかと思えた。

「敦ーーーーー!!!!!」
叫びながら手を伸ばす。一瞬振り向いた敦君の顔が恐怖に引きつっているようにも見えた。その時私はどんな顔をしていたのだろう?目は血走っていたかも知れない。

すると敦君の体が私の目の前から突然フッと消えた。勿論都合良く超常現象が起きるわけはない。敦君は下りエスカレーターと上りエスカレーターの交差地点で手すりに足をかけ乗り越え、上りエスカレーター側に飛び移っていったのだ。

目の前から逃げる敦君が消えた瞬間、さっきまで私を捕らえていた奇妙な錯覚も同時にフッと消滅した。違う。あいつじゃない。彼は私が弁護すべき少年なのだ。そう思うと少し力が抜けかけた。

私は勢い余ってそのまま交差地点を通り過ぎそうになり、それでも何とか踏みとどまった。私も向こう側に飛び移らなければ!しかし私が手摺りに足をかけたところで、上りエスカレーター客の驚いた姿が下からせり上がってきた。それに遮られ乗り移るタイミングを逸した私は、最早下りエスカレーターを駆け上がって他の客にこれ以上迷惑をかけるわけにもいかず、また駆け上がる体力さえも残っておらず、みすみす敦君の後ろ姿を見送るだけであった。切れ切れの息に舌打ちする気力すら残っていなかった。

結局その後、敦君の身柄はデパート内に応援に駆けつけた他の警官、警備員によって確保された。私の計画が脆くも崩れ去ったゲームオーバーの瞬間であった。元々成功率の低い、そして報われない計画ではあったが、失敗に終わると悔しさが込み上げてくる。

警官達によって敦君が囲まれ、抵抗したのも一時的。すぐに大人しくなったようでそのままデパートの外へと連行された。野次馬に集まった買い物客も三々五々戻って行った。やがて何事もなかったかのように普段通りの平和なデパートの風景に戻る。その中に汗を流しながら立ちすくむ私を見つけた私服警官は鋭い目つきで睨んでいた。いたたまれなくなった私はさりげなくその場を離れた。

デパート内に設置されている休憩所のイスに座り込み、スポーツドリンクを買って飲んだ。今日の収穫といえば、日頃の運動不足がほんの少し解消された事だけであった。しかも本来は駆けるべきではない場所によって。スポーツドリンクで摂った水分がそのまま汗に直結しているかのように止めどなく流れ出た。早く帰ろう。帰って今後の計画を練り直さねばならない。状況がかなり悪化したのは必至だ。そして早くシャワーを浴びないと風邪を引いて体調が悪化するのも必至であった。