KA.Blog

株式市場で気になる銘柄をピックアップして分析、検証していきます。主に中期~長期の投資で成果を上げ、値動きを追っていく予定です。株の他にも日常の話題やコーナーで綴っていき、むさくるしくない(?)ブログにしていきたいと思っています。

あぁ、失敗

私が書いている小説ですが、正月の間自分で書きながら今までの部分を読み返してみると一ヶ所致命的な間違いを犯している箇所がありました(××)しかも「よりによってこんなトコ間違えるかー!?」ってなところを間違えてました。書きながら微調整を繰り返していてどこかで保存し忘れたんでしょうね。今のうちに過去に遡って訂正しようかなとも思ったのですが、ここまで来たら逆に開き直ってもういいかなって感じです(・・;)間違い探し的な感じで良いかなとすら(;^_^A気付いた方はおられますか?もし気付いた方がおられたら相当熱心な読者の称号を授けたいと思います(←いらん!)

それにしても佳境に入ってきて書くのが大変になってきました。プライベートの忙しさもさることながら、今回も書いている「公判前整理手続」は最近始まったばかりの制度で実際に行われた記録の資料らしい資料が見つからないんですね。なので「こんな感じで進むのかなー」と予想で書いた部分が多くあります。もし実際のものと大きくかけ離れているようでしたら「架空のお話だし・・・」と割り切ってください(;^_^A

さて、今日は今年最初の小説の日です。前回までの分は毎週日曜のブログを参照してください。前回までの分が読み辛い場合や余りにも長過ぎて過去の話を忘れてしまった場合は下記のまぐまぐバックナンバーの方でも本文のみ公開していますのでご確認ください。

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※この作品はフィクションであり、実在する、人物・施設・団体とは一切関係ありません。

                        正義のみかた

第二十三章 ブラックゾーン

「それでは双方の主張明示から、始めましょうか」
裁判長の声を受けて検察側の面々が一斉に立ち上がった。代表して美方氏がその声量を上げる。

「2006年5月10日午後5時30分頃、被告小山敦17歳は福岡県福岡市博多区××町○○にある被害者若葉和明宅に押し入り妻の幸恵、娘来未らを殺害し・・・」
まずは事件の経緯から現在に至るまでの流れを説明する。試合は一回の表、検察側の攻撃という感じだ。

「・・・であります。被告は日常生活における素行も悪く、過去に幾度となく補導歴もあり、再犯の可能性は極めて高いと判断されます。よって以下に我々が求めるのは刑法第199条殺人罪を犯した事による無期懲役刑求刑であります。以上です。裁判長」
言い終えると美方氏は着席した。それに倣って他の検察官もそれぞれ席に着いた。少年に課せられる刑としては無期懲役が一番の重刑だ。当然検察側はそこに目標を置いてくるであろう。

「では続いて被告側」
裁判長がこちらを向いて促す。弁護側では私だけが立ち上がった。それ故、検察側の視線が否が応にも私に向かってくるので、少し息苦しささえ感じた。ネクタイの結び目に手をやり軽く緩める。今更圧迫感なんて感じる必要はないのに。

「弁護側です。まず殺害の事実関係については争わない事をここに明示します。被告小山敦も本件において自らの罪を認め深く反省を見せています。今回若葉幸恵さん殺害に至った経緯は街で見かけた幸恵さんの容姿、雰囲気が被告の実母谷岡、旧姓小山静香に酷似しており、母親を憎悪していた被告が衝動的に、発作的に彼女を襲ってしまったもので・・・」

言いながらも横目で敦君の様子を伺う。敦君はやや伏し目がちに、しかしそれでもできるだけ顔を上げようと努力しているようだった。眼前の現実から目を背けない、それがせめてもの彼なりの責任の果たし方であると考えているかのように。

「つまり最初から計画的に彼女を狙ったわけではないということです。少年である彼は人格形成の途上にあり、彼が今後社会に復帰し自らの罪を償うため、早期の社会復帰の機会を考慮いただきたいと思います。こちらからは以上です」

言い終えるとそのまま着席した。一回の表裏の攻防は両チームとも形通りの応酬に留まった。原告側の一画から特に鋭い視線を感じたが、私はそれに気づかないふりをした。

「精神鑑定は求めませんか?」
裁判長が問い掛けてきた。
「私は彼の精神に剥落している部分があるとは思っていません。よって責任能力は一般の少年なりに備わっていると考えています」

これは私の持論であるが、殺人を犯す者に精神がまともな人間がいるとは思えない。真っ当な精神であれば自分の生命が危機に犯される、あるいは過失といった状況を除いて人を殺す事なんてしないからだ。考えたとしても理性によって制御できる。それがまともな人間というものだ。

だから精神鑑定とは何のために存在するのかとすら思ってしまう。いや当然精神の薄弱度合いには程度があり、それによって扱いが変わるのはわからないわけではない。しかし責任能力があるとかないとかで減刑を求めるのは(立場上、絶対とは言わないが)下策であると私は思っている。特に今回の事件は私にとって特別だ。公私混同甚だしいと思われるかも知れない。しかし私の思うようにやらせてもらうというのが私がこの事件を引き受けるにあたっての一番の条件であった。

「被告人は何か言いたい事がありますか?」
裁判長が主役に声をかけた。
「今のところは特に何もありません」
口を真一文字に結び、神妙な面持ちで双方の主張に対する同意の意を示した。

「えーと、それでは・・・」
裁判長が手元の資料を探し始めた。実は公判前整理手続という制度は2005年11月に施行されたもので、しかも刑事事件であれば必ずしも行われるわけではない。だから裁判官もそして我々も今回が初体験でもあり、進め方にとまどう部分もある。多少もたつく事があったとしても責めるのは少し酷というものであった。

続いて証拠の整理。証拠の整理とは検察、弁護側の双方が用意している証拠を裁判前に予め開示、請求し裁判での隠し玉が出ないようにする手続きだ。既に敦君は自分の罪を認めており、私も今更その点をどうこうするつもりはない。雄三氏や敦君本人からもその点を争おうとは思っていない旨を聞いている。だから先の主張でも事実関係について争わない事を明示したし、特に殺害を否定するための証拠を集めようと思ってもいない。検察が事件現場で収集した毛髪や被害者の爪に残った皮膚をDNA鑑定した鑑定書、そして取り調べの記録が提出される。まさか美方氏が証拠を捏造してまで重い量刑を狙っているとは思えない。それらに対して異議は唱える必要はないように思えた。

敦君は我々の会話や流れについていけない様子でぼんやりと検察側から次々提出されるビニールに入った証拠物件を眺めていた。我々は彼にかまっている暇はなく提出された証拠物件の真偽を確認しながら作業を進めた。

美方氏が発言する。
「これらの証拠によって立証しようとする事実は以下の通りであります。まず被告小山敦が今まで何ら面識のなかった若葉邸に押し入ったという事実。そして幸恵さんの遺体の爪から検出された被告の皮膚から、幸恵さんが死ぬ直前まで抵抗した相手は被告であるという事実。また、福岡北警察署での取り調べにより被告は幸恵さんの死亡推定日時である5月10日17時30分頃のアリバイがないこと。加えて近隣住民による被告の現場付近での目撃証言もあります」

「被告側に反論はありますか?」
裁判長が問いかけた。
「証拠に関してはございません」
私は短く答えた。
「被告自身は何か言いたい事がありますか?」
「ありません」
敦君も短く答えた。

公判前整理手続は連日開廷が原則であるため、翌日また行われる。この世のどんな争い事でも入念な戦略や下準備が雌雄を決するカギを握る。裁判とて例外ではない。裁判で争う前に決着が着くと言っても過言ではない程だ。

面倒ではあるが非常に重要な手続が連日続いた。そしていよいよ迎えた裁判当日。今回の裁判に関わる当事者全てのそれぞれの思いがぶつかり合う忘れられない日になろう事は言うまでもなかった。