KA.Blog

株式市場で気になる銘柄をピックアップして分析、検証していきます。主に中期~長期の投資で成果を上げ、値動きを追っていく予定です。株の他にも日常の話題やコーナーで綴っていき、むさくるしくない(?)ブログにしていきたいと思っています。

今日と言えば

「はい、今日は何の日でしょうか?はい、そこの君」
「はい、東京駅で当時の首相原敬が暗殺された日です」
「えーと、合ってますが違います(-。−;)じゃあ次、そこの君」
「はい、上高森遺蹟で石器発掘の捏造が発覚した日!」
「えー、それも合ってますが違います(-。−;)」

・・・ネガティブな事件ばかり並んでいますが、今日はもう一つ残念ついでに私の誕生日なのです。遂に32歳になってしまいました(T△T)まあ31歳から32歳になっても特段大きな変化はないですけどね(;^_^A

そんなわけで記念日恒例となりました「有名人からの電報」コーナーです。今回も早速張り切って参りましょう!

「お誕生日おめでとうございます。ところでどこか連立してください」 内閣総理大臣福田さん
「誕生日おめでとう!でもそんなの関係ねぇ〜♪」  小島さん
「誕生日おめでとう。あ、タイム、ピッチャー岩瀬」 ドラゴンズ監督落合さん

いやー、今年も各界の著名人の皆さんありがとうございました。

ところでさりげなく今日は小説の日でもあります。前回分は先週日曜のブログを参照してください。


                       カラス

何故妻が私を殺そうとしているのかがわかった。それは私が妻を殺そうとしていたからだ。

どうして今までそれに気付かなかったのか?だが自分が攻めている時に攻められている事はなかなか気付けないものだ。私は今まで妻を殺そうとする仕草も素振りも全く見せず、普段通りの生活を続けていたつもりだったから、妻が私の殺意に気付いているとはついぞ思わなかったのだ。まったく女の勘というやつは一体どこまで鋭いのだろう?

私が妻を殺そうとした理由。それは妻の浮気だ。私は浮気なぞしたことがないし、考えた事すらないというのに!私は妻を世界中の誰よりも愛しているのに!!何故彼女は私以外の男性を!?外見で私に勝る人間はごまんと居るだろう。だが内面的なものや相性の良さから、私以上の男性はこの世にいないはずだ。・・・しかしそんな私が妻を殺そうとしている。

妻の浮気を決定付ける証拠など何もない。いや、妻が実際に浮気をしているとか考えているとかは問題にならない。問題はそれを私がどう思っているか、だ。私が妻を疑えばそれだけで十分な動機になる。一度疑い出すともう止まらなくなったのだ。私の中の猜疑心の膨らみが。何かあったか?私が妻を疑うようなきっかけが。

妻の肩書きは「啓介の母兼専業主婦」であるからほとんど家に居る。夜間にどこかに出かける事もほとんどない。外泊もない。どんなに遅く帰る時でも必ず家に電話を入れる。携帯に男性の名前は5人しか入っていない。私、父親、息子の啓介、それに私とも親交のある友人2人だけだ。彼らにも家庭はあるし、数年来の付き合いがあるから、今更男女の関係にはならない。ここ数ヶ月会ってもいない。私もそれを知っている。それでも私の疑心は晴れなかった。

妻が可愛がっていたダッシュの事故は意図的なものだ。私はその日の夕暮れ時、ダッシュを連れていつものように散歩に出かけた。そこは見通しの悪い交差点だった。ダッシュはいつもその辺りに来ると駆け出すのだ。理由はわかっている。交差点の角の家に飼われている雌犬と交尾したいからだ。いつも以上に強く手綱を引っ張ってダッシュをじらし、自動車が猛スピードで接近してくるのを道路反射鏡で確認しながら、タイミングを見計らって手放した。勢いよく飛び出したあの犬は法定速度を30km近くオーバーした自動車に見事はねられたのだ。

私はあの犬が妻の愛情を強く受けているのが気に入らなかった。簡単に言えば嫉妬だ。私以上に関心を持たれ、可愛がられているのが気に入らなかったのだ。例えば私と犬とが同時に風邪を引いたとして、優先順位は動物病院が先だろう。私には風邪薬とレトルトのお粥を置いておいてくれれば良い方だ。それが気に入らなかった。

一方で私の側に事情があったのも事実だ。

私は妻の知らない間に借金を作ってしまった。商品先物取引で一気に稼いでマンションのローンを払い終えてしまうつもりだったのに、逆に大きな損失を抱えてしまった。だから妻を自殺と見せかけて保険金を搾取しようとしたのだ。それで多額の借金を補填しようとした。半年程前、テレビで保険のCMを見て「そういえば今日保険屋さんが勧誘に来たけど、話だけでも聞いてみない?」と妻が藪から棒に言った時、「面倒臭いからいいよ。今だって一つ入ってるだろう?それで十分じゃないか」と返した。今このタイミングでなまじ別の保険に入ってしまうと怪しまれる。探られた挙げ句、今加入している保険もおりなくなったら目も当てられない。

だから露骨に殺意を見せなかった。保険の話もそれ以上夫婦の間に出てこないようにした。その間、私は計画を着々と練っていた。

しかし計画をなかなか実行に移すことができなかった。事が順調に運ばない私は苛立ちを抑えきれなかった。それが3ヶ月程前の話だ。

妻には朝食の食パンを一旦コーヒーに浸してから食べるというクセがある。それであるのに私の食パンの食べ方について
「そんなお行儀の悪い食べ方は止めて頂戴!!啓介がマネするでしょ!!」
と言う権利は妻にはないはずだ。この時ばかりは妻を本当に許し難く思った。いくら愛しているとはいえ、その反動から来る憎悪は私の中で大きく拡がり燻った。私の食パンの食べ方を否定する権利は何人たりとも持ち合わせてはいない!

結婚する前から私は妻のクセを重々承知していた。出会った当初は「おかしい食べ方するね」と笑って受け入れてすらいたのに、息子の啓介が小学校に上がってからもそれは毎朝続いていたのに、今では妻のその行為が非常に下品なものに感じるようになった。もっとも私はそれらをぐっと内に秘め、妻に反論する事はなかった。その日は黙って出社した。

仕事から帰ってきた私が「ただいま」すら言わなくなったのもここ3ヶ月の話だ。夫婦の間で会話らしい会話が成り立たなくなったのもそれからだ。やがて家族3人揃ってご飯を食べるという事すらなくなった・・・

背後から包丁を持った妻がにじり寄ってきた。私はそれに気付かないふりをしてそのまま口をゆすぐと、洗面台に顔を近づけ、水を吐き出した。そして洗面台に顔を寄せたままヘアリキッドの瓶を取ろうとしてわざと手を滑らした。床に衝突すると同時にガラス製の瓶が弾けて割れた。妻が瞬間的に気をとられた。それを鏡越しに見た私はその一瞬の隙を逃さなかった。

私は振り向き様に妻に飛びかかった。ふいをつかれた妻は包丁を振り回そうとしたが遅かった。私は既に妻の懐に入ってしまっているのだ。足の裏を瓶の破片で少し切ったような痛みがあったが気にしてはいられない。数瞬の間揉み合った末、私は妻から包丁を取り上げた。形勢はすっかり逆転した。そして・・・