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株式市場で気になる銘柄をピックアップして分析、検証していきます。主に中期~長期の投資で成果を上げ、値動きを追っていく予定です。株の他にも日常の話題やコーナーで綴っていき、むさくるしくない(?)ブログにしていきたいと思っています。

中東・北アフリカ株式ファンド【愛称:アラビアンブルー】のレポート

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※投資信託は専門外ですが、一応リクエストがありましたので取り上げました。投資信託なので短期的に見る方はおられないと思いますが、長期的な世界情勢も予測し辛いので、とりあえずは株と同様四半期単位のスパンで検証してみます。

3ヶ月以内投資判断 「中立」
買いのタイミング  目先3ヶ月間は無し
3ヶ月以内基準価格予想 2900円〜3200円

要点
・ エジプトなどを見ても未だ収まらぬ政情の不安定さは大きなリスク。
・同類ファンドの中では信託報酬が高め。運用成績も悪く、敢えて同ファンドを選ぶ意味は無い。
・為替の円安反転で何とか基準価格は現水準を維持できるか。インフラ設備投資関連を中心に株価は伸びる余地も残すが、可能性は流動的。


【ファンド概要】
新光投信の運用で2008年4月設定。サウジ・アラブ・クウェートといった中東諸国、またエジプト、モロッコ、チュニジアといった北アフリカ諸国の株式に投資。米ドル建てのファンドで運用されているため、円高はマイナス要因。原則として為替ヘッジは行わない。4月決算。分配金は0円


【手数料・運用報酬】
購入時に約3.2%、また純資産総額に対して約年2.5%の信託報酬がかかる。


【直近の組み入れ比率などステータス】
※最新のマンスリーレポートより10月末現在

国別組み入れランキング
1位 サウジアラビア  31.8%
2位 カタール     18.0%
3位 クウェート    16.7%
4位 アラブ首長国連邦 11.1%
5位 エジプト      9.3%

上位5カ国で87%を占める。国別ではUAEのポジションを引き上げ、政情不安の残るクウェートをもう少し下げた方が良さそう。それ以外は概ね妥当なところだと思われる。


業種別組み入れランキング
1位 銀行       39.2%
2位 無線通信サービス 14.1%
3位 不動産開発     7.7%


業種別では銀行のウェイトがやや高過ぎる印象。確かに中東・北アフリカ地域はエリアリスクが高いため、その分個別の株式でリスクを抑えようとすると、時価総額の大きい銀行が高くなるのは仕方無い部分もある。

しかし、リスク回避を目的とするのであれば現在10位にある公益株のウェイトをもう少し高くし、まだまだ成長を見込める無線通信サービスや6位の建設・土木といったインフラ整備関連のウェイトを大きくした方が良いと思われる。世界的な金融危機は、何もイスラム系金融だけが例外ではない。


【中東・北アフリカ各国を巡る情勢】
中東・北アフリカは国王・独裁者の色彩の強い国が多く、今までは原油高によって潤うこと、または支配者の支配力の強さで政治は安定していたものの、今年の春に「中東の春」と呼ばれる独立運動がエジプト・チュニジアで発生し、周辺国に伝播して盛んに起こったことから地域情勢が不安定になった。

背景には世界的な景気低迷から原油価格が下落したことにより、それらの国々の雇用情勢が悪化。ネットを通じて今まで抑圧されていた民衆の不満がリンクし、一気に噴出した形。周辺海域での海賊の多発を見ても明らかなように、治安は一段と悪化している状況。

特に観光資源が収入源のエジプトなどは、未だに立ち直れていない様子。デモで40人以上の死者が出る状況が続き、28日から始まる人民議会(下院)選の延期が既に検討されている。軍の権限が強い中での国民の不満が根強い。お隣リビアの内戦でも反体制勢力が勝利したことから、エジプトでも現状打破の機運が高い。

最も組み入れ比率が大きく、経済的にも中心のサウジアラビアに関しても、スルタン皇太子が10月に86歳で死去。後を継ぐナエフ皇太子も78歳、アブドラ国王も87歳と共に高齢で、また間もなく発生するであろう後継者問題が政局を不安定にする恐れがある。

国王は既に健康不安が懸念されており、保守派の新皇太子は開明派の国王とは反対の立場。もしナエフ皇太子が王位に就けば、現在行われている女性の地方参政権などが反故にされ、国民の不満が高まる恐れもある。

これら地域的な政情不安の高まりと共に、先進国における景気低迷が続きそうなことから、世界的な原油需要も低迷が続きそう。現状100ドル近辺で高止まりしている原油価格も冬の需要期を過ぎればまた下落色が強まるだろう。ただ、この辺りは各国の金融緩和色が強まれば、再度投機マネーの流入によって強含む可能性も孕む。


【基準価格推移】
設定直後半年でUAE、エジプトの指数は75%も暴落し、その他の地域でも概ね6割以上の暴落を見せたことにより、当然同ファンドの基準価格も大暴落。わずか半年で1/3の3000円台に落ち込むと、その後3000円前後での推移が続く。

設定当初はオイルマネーのダブつきが日本でも話題になり、07年にはオイルマネーの流入観測から日本市場が過剰流動性相場へと発展したことも注目された。サブプライムローン問題で先進国が揺れる中、原油という資源の裏付けも魅力的に映った。

ところが、サブプライムローンで本国が揺れると、投資家達は一斉に新興国から投資資金を引き揚げた。ドバイの不動産バブル崩壊にも象徴されるように、中東の砂漠を潤していた投資マネーは正にアラビアンナイトのように瞬く間に引いていった。

結果、設定当時85億円あった残高は17億円にまで落ち込み、かなり小規模なファンドになっている。


【ファンド間比較】
同ファンドの直近の基準価格は3035円であるが、他のファンドと比較してどうであろうか。


アムンディ・アラブ株式ファンド

08年1月に設定。中東・北アフリカ諸国で事業を展開する企業の株式。為替ヘッジ無し。4、10月決算。
直近の分配金は無し。購入時手数料は約3.2%、実質的信託報酬約2.2%。直近の基準価格4241円

同ファンドに比べて信託報酬が安く、その分基準価格の落ち込み方もマシである。残高は40億円で同ファンドの2.4倍規模。


フィデリティ・EMEA・ファンド(3カ月)

07年9月に設定。主として、アフリカ、中東、ロシア、東欧を事業活動の中心にしている企業の株式等へ投資を行う。為替ヘッジなし。3ヶ月決算。
直近の分配金は無し。購入時手数料は約3.2%、実質的信託報酬約1.7%。直近の基準価格6563円

同類ファンド中では最も信託報酬が低く、基準価格の落ち込み方もマシなファンド。残高は32億円で、同ファンドの1.8倍規模。


シュローダー 中東/北アフリカ・ファンド【愛称:MENA(ミーナ)】

07年8月に設定。主要投資対象は、中東・北アフリカ(MENA)地域の株式等。為替ヘッジなし。3、9月決算。
直近の分配金は無し。購入時手数料は約3.2%、実質的信託報酬約2.6%。直近の基準価格4733円


同類ファンドの中では最も規模が小さく残高は10億円を割り込んでいる。最終的には繰り上げ償還か。


同類ファンドはどれも同じようにオイルマネーで中東の潤いに注目が集まった時期に設定され、その時点でピークアウト。そのまま基準価格急落の憂き目にあっている。

どのファンドも分配金は出しておらず、差を分けているのは信託報酬の多寡であるが、それを差し引いても同ファンドの運用成績の悪さはダントツである。


【評価】
同地域の資金源である原油価格は高止まりが続いているものの、政情不安や世界景気先行き懸念から、積極的に株式に資金が向かってくるような状況ではない。特にバブル後の後始末はこれからであり、決して旬の投資先では無いものと思われる。

ただ為替に関しては、足下ドル円相場がやや円安方向に振れてきており、ここから円安反転するものと見込むと基準価格の下支え要因にはなってくるものと期待できる。これ以上大きく下押すような場面は無いと思われ、サウジなどの主要国で思い切った景気刺激策が打たれるのであれば、インフラ設備投資関連銘柄を中心に株価が上がる期待も持てる。

いずれにしても、同ファンドの運用成績が悪過ぎる。敢えて同ファンドに固執することなく、解約してまう方が良さそうだ。

脱資源エネルギーの機運から、太陽光・風力といった新エネルギーに足下注目が集まっている。益々世界的に石油依存脱却に向かう中で、資源以外の産業を生み出さないと、これらの地域は世界の投資家にとって何の魅力も無くなり、投資対象から外されてしまうだろう。

今まで稼いできたオイルマネーをどのように有効活用してくるかに注目だ。いつまでもアラビアンをブルーの状態にしておくわけにはいかない。


※投資は自己責任でお願いします。文中の内容は現時点で予測できる範囲で想定されたものであり、投資成果を保証するものではありません。また同ファンドの中身に関して目論見書などを必ず再確認してください。