KA.Blog

株式市場で気になる銘柄をピックアップして分析、検証していきます。主に中期~長期の投資で成果を上げ、値動きを追っていく予定です。株の他にも日常の話題やコーナーで綴っていき、むさくるしくない(?)ブログにしていきたいと思っています。

未公開にはできない

今週のお題「オススメの気分転換法」
とある方から相談を受けたのですが、話を聞くとどうも今流行りの詐欺手口「未公開株購入の勧誘」の様子。適当な返事をしていたら、次から次へと電話がかかってきて困ったので、株と言えば私、と思いついたらしく相談がありました。

手口はこんな感じです。まず「Kyoshin」という会社から、突然その会社のパンフレット、新株予約権の当選案内が届きます。あなたは49人の当選者の中の一人に選ばれたのだ、と。当然そんな会社自体知りませんし、申し込んだ覚えもありません。1口○○万円という金額が書かれています。

やがて一本の電話がかかってきます。「その権利を譲ってくれませんか?」と。「その会社の新株予約権を欲しいという方がいます。倍の金額をお支払い致しますので」

変な話だと思い、そんなもの要らないからどうとでもしてくれ、と告げたそうなのですが、その後再度電話がかかってきて「先ほどの権利が倍の値段で売れたので、購入者からお礼がしたい。振込先を教えてくれ」と言われたそうです。

しかし見ず知らずの相手に自分の口座番号なんて教えたくないので断ると「支払いまでの金利を6%お支払いする」「今相手に名義を貸している状態だから、これがバレると会社がまずい」などと色々とせっついてくるそうです。会社がまずい、とか言われても知ったこっちゃ無いっちゅーねん┐( ̄ヘ ̄)┌

ということで、私は早速ネットで順に色々と調べてみました。パンフレットによると「Kyoshin」という会社は、今流行りのスマホ向けアプリ制作を行う会社ということですが、そもそも検索しても会社のHP自体が見あたりません。えっ、ネットの会社なのにHP無いの!?( ̄Д ̄;;

示された住所で検索すると、ビルまでは出てきましたが、中にどんな会社が入っているかまでは不明。Googleストリートビューで見ても、イマイチはっきりわかりません。まあこの辺りは私書箱のみのレンタルオフィスなのでしょう(そうですら無いかも知れません)。

で、そこの代表者とされる「江本 健一」で調べてみると、経済産業省のHPに以下のような記載を見付けました。

http://www.meti.go.jp/policy/commerce/mukyoka.pdf

どうやらこの人物は(恐らく偽名でしょうが)、以前も同じような詐欺を働いてマークされている人物のようです。当時の会社の名前は「共進」で住所も異なりますが、今回はネット関連会社ということで横文字に変えてきたのでしょう。

また、彼らは微妙に色々詳しい様子です。まず直接「株」でなく「新株予約権」とオプションでの勧誘をしているので、実物の株券を用意する必要がありません。なので、万一捕まったとしても実際の会社のオプションを本当に売ろうとしていたのだ、とシラを切れると考えているのでしょう。

で、今回の予約権の当選者数も49人となっていますが、私募債などの詐欺でもよく使われる人数。50人以上になると監査法人が作成した有価証券届出書の提出が必要になってくるので、49という数字を出してきています。また金利6%という数字も商法からきています。

そもそも金曜日に電話がかかってくる、というのも典型的な詐欺の手口。翌日以降金融機関が休みになるので、相手を急かすわけです。急かして正常な判断を失わせます。

それで最終的には金融庁の相談窓口か最寄りの消費者生活センターに言うと良い、ということでその場で相談。「はっきり断って、あとは無視すれば良い」ということで決着しました。

なのでその後の展開については正直よく分かりませんが、恐らくは他の還付金詐欺同様に「振り込みに際して手数料が必要だから、まずはその手数料を先に払い込んで欲しい」と言われるのではないかと思います。

当初は自分に全くリスクの無い話から始まっているはずですが、いつの間にかこちら側が先にお金を払う段取りになって、その後はドロン。漫画の「クロサギ」なんか読んでいると、どんな詐欺も根っこは一緒。警戒がいつの間にか安心に変わり、先にこちら側がお金を支払う段取り。このパターンしか有り得ません。逆にドロンされたら詐欺師がミイラになるので。

上手い話には必ず裏があります。本来株はリスク商品で、リスクがある分リターンがあります。自分にだけノーリスクの話が来ることは考えられません。ましてこんな株安のご時世に、益々そんな上手い話があるわけがない。多分宝くじが当たった直後に隕石が当たって死ぬ確率の方がまだ上でしょう。

しかし人間の心理とは不思議なもので、確率が低くても大きな金額を提示されると、その分掛け合わせた期待値が大きくなって「ひょっとして・・・」と思ったりしてしまいます。宝くじなんてこの世で最も効率の悪い最大の公営ギャンブルが、広く世間の支持を集めている理由もそこにあります。

自分にだけ降りかかってくる幸運に「もしかして」の小さな隙が出来ることで、つけ込まれてしまう。最近流行りの「ひょんなことから芸能人とメル友になる詐欺」もこのパターン。ところが、心ではそうわかっていても、その時の精神状態がたまたま非常に参ったりしている時には簡単に引っかかったりしてしまいます。

ですから他人から見ると「何でこんなのに引っかかるの?」という事例は枚挙に暇がありません。そういう時はワンクッション置いて冷静になるためにも、必ず誰かに相談すべきです。

しかし高齢単身者が増える今のご時世、その相談相手がどんどん減っているので、こういう事例が繁殖しやすいのです。消費者生活センターに電話しても、スカイマーク利用客からの電話がひっきりなしにかかって繋がらないので、いざという時に使えません。(注:これは時事的なブラックジョーク。実際にはスカイマークも撤回しました)

なので、引っかけようとする者は後を絶たず、業者から名簿を買って、パンフレットを作って、メール便・電話代の通信料をかけても元がとれるのでしょうね。ですから、国に頑張って取り締まってもらう他ありません。関係省庁の方々には是非全力で取り締まってもらいたいものです。