KA.Blog

株式市場で気になる銘柄をピックアップして分析、検証していきます。主に中期~長期の投資で成果を上げ、値動きを追っていく予定です。株の他にも日常の話題やコーナーで綴っていき、むさくるしくない(?)ブログにしていきたいと思っています。

NTTデータ(9613)のアナリストレポート

★☆★☆【有料メルマガ】【銘柄診断】お申込募集中です!

「損せず焦らず無理なく細かく儲ける」をコンセプトとした有料メルマガお申込受付中!

▼下記URLから成績などご確認後、お申込ください。
http://www.ric.hi-ho.ne.jp/joeshow/performance.html

1ヶ月当たり3,150円〜。


相場が続く限りチャンスは無限大!
一度お試しください!


また今回のようなレポート作成も承ります。
無料リクエストも合わせて下記リンクよりお申込ください。
http://www.ric.hi-ho.ne.jp/joeshow/omousikomi.html

以前のレポートはこちら
http://www.ric.hi-ho.ne.jp/joeshow/report.html

※リスク・手数料などにつきましては以下の契約締結前交付書面を参照してください。
http://www.ric.hi-ho.ne.jp/joeshow/teiketumae.html

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

3ヶ月以内投資判断 「中立」
買いのタイミング  マイナンバー制度導入に対する議論が進展したところで
3ヶ月以内株価予想 25万円〜29万円

要点
・業績は特に通信業界のIT投資が回復してきたこともあってしっかり。ただしM&Aによるのれん負担の増加、主力の官公庁や金融機関などIT投資抑制により会社計画には若干の未達懸念。
・窓埋めの完了や上値抵抗線まで達したことにより、短期的には一旦調整入りの場面。上値には節も多いため、上抜けには何らかの好材料や外部環境の好転が必要。
・同業他社との比較では若干割高感が感じられる。
・中小企業の需要も取り込んで顧客の裾野を拡げる必要がある。組織の細分化で、様々な課題に機動的に取り組めるような体制を構築するべき。


【企業概要】
NTT(9432)系でSI(システムインテグレーション)最大手。官公庁や金融機関などの大型案件に強み。国内外のM&Aに積極的で、海外売上高を伸ばしてグローバルTOP5企業を目指す。


【業績】
前期は大幅な増収増益。震災後のIT投資手控えによる影響を受けながらも、営業利益ベースでは増益を確保。一方で固定資産の減損などにより最終利益は減少した。

今期も増収増益を見込む。受注高も着実な伸びを見せている。ただ中間期の段階では連結した子会社ののれん償却などが嵩み営業減益に。通期計画に対する進捗率は35%程度に止まり、やや先行き不安感が残る(元々中間期の進捗率は業界の季節性として低い傾向があるが、例年平均との比較でも若干下回る)。

主力の官公庁向けはマイナンバーの導入や、各地方自治体の防災システム構築などに期待感があるものの、全般的には厳しい財政状態の中で縮小傾向。金融機関も全般的にIT投資抑制傾向にあり、業界再編機運などが高まらない限りは伸びが限定的と見られる。

特に足元では地銀向けの案件が多いものの、中小企業金融円滑化法が来年3月末をもって期限切れすることで、地銀もそれぞれ多額の損失を計上する恐れがある。更に資本の積み増しも迫られているために、今後同業界のIT投資抑制は必至。これ以上の上積みは望み辛い状況である。

一方で通信業界などのIT投資が伸びており、データセンター事業などはしっかり。企業の新興国進出に対する投資熱も高いことから、主力の伸び悩み分をこれらの事業でいくら補っていけるのかが成長のカギを握る。

国外では特にM&Aを中心に規模の拡大を目指す。下半期だけでもドイツ、オーストラリア、ベトナム、イギリスと次々海外のIT関連サービス会社を買収し、インドにも開発拠点を設立。円高を積極的に利用した海外戦略の積極化で、未来の成長に対する布石を敷く。


13年3月第三四半期予想(KA.Blog)単位:百万円

売上   900000
営業利益 47000
経常利益 43000
当期純益 22000

海外M&Aの積極化が一旦は利益率を押し下げる見込み。その結果、通期会社計画に対しては大きく下ブレはしないものの、若干の未達懸念が生じる。


有利子負債は3744.6億円で前期から278.9億円増加
有利子負債比率(有利子負債÷自己資本)は62.3%
現預金は1515.7億円
流動比率(流動資産÷流動負債 ×100)は158.1%で前期の154.2%とほぼ横ばい。

財務状況は良いが、積極的なM&Aで足元の負債も増加傾向に。ただ有利子負債が元々低い業界であるので、同業他社との比較では負債が大きい部類に入る。


フリーキャッシュフローは前期末413.4億円の黒字。

前期より買収などによる投資支出が減少したことで黒字幅も増額。


粗利率は24.0%で、前期の24.4%との比較ではほぼ横ばい。
予想ROAは5.4%で、前期末の5.1%からやや悪化。

買収によるのれん代の増加などが利益を若干圧迫している格好。


ファイナンスに関しては財務面が良好で、投資もキャッシュフローに過度な負担が生じない範囲内で行われているため行われる可能性は低い。また実際に過去14年間行われていない。


【中間決算後の各アナリスト評価】
みずほ証券 投資判断「中立」 目標株価 25万円

中間期の進捗は思わしく無いものの、下期は減価償却費減少効果などにより会社計画達成は可能な見込み。

野村證券 投資判断「Neutral」 目標株価 25万円

メリルリンチ 投資判断「買い」 目標株価 30万円


アナリストの評価は総じてそこそこな印象。ただ、どの証券会社も中間決算後に目標株価を引き下げており、業績の先行きにやや悲観的なニュアンスが混ざったことを証明している。


理論株価
買収価値を示すEV(時価総額−現預金+有利子負債)は9381.7億円。今期予想EBITDA(営業利益+減価償却費)は2330億円であり、結果 EV/EBITDA倍率は4.2倍となる。同業他社の平均値がおよそ1.9倍と見立てられるが、それらを元に計算した理論株価は78363円となり、現状の株価は事業価値分析上は圧倒的に割高と捉えられる。


【株価推移】
ITバブル崩壊以後は少しずつ値を戻していたものの、リーマンショック後に安値圏を底這う動き。09年以後は概ね20万円台での推移が長く続いているが、6月に上場来安値を更新。じり安の展開となっている。


【テクニカル】
長期的には11年2月、今年3月高値を結ぶ上値抵抗線と10年10月、11年4月、今年6月の安値辺りを結ぶ下値抵抗線がパラレルに下落していく形が読みとれる。下落トレンドが終わった様子は無い。

一方、中期的には上場来安値以後下値切り上げ型になっており、地合の流れにも乗って10月の戻り高値を上抜けてきた。MACDパラボリックは好転。一目均衡表も三役好転の形が続いており、ボリンジャーバンドも+2σを拡大しながらの上昇が続く流れ。週足でもほぼ同じような形に。

ただ現値水準で既に上述の上値抵抗線に達しており、来年早々にこの水準をクリアできるかどうかがポイント。大納会で丁度GW明けの急落で開けた窓を埋めてきたため、一旦は目標達成感が出そうではある。そこを上抜けても震災後の戻り高値水準である29万円を超えるのに手間取るだろう。

また、過去のチャートを見ると、同社は特に1月に値動きが弱い傾向がある。ITバブル崩壊後の2000年以降における同社の1月の勝敗は3勝10敗となっており弱さが目立つ。

これらを総合すると、年明け早々には一旦調整を入れる可能性が高そう。上述の各抵抗線を明確に上放れるには一段の地合の好転、好決算、同社の受注が一気に拡大する見込みのマイナンバー制度導入に対する議論の進展、といった好材料が示現する必要がありそうだ。


【需給】
長期下落トレンドにあるため、需給は悪い状況。ただ5月以来の高値水準であるため、中期的には上値のしこりが随分と軽くなっている様子。信用残高は差し引き700株弱の売り越しで売り長の状態。しかし元々値動きの小さい銘柄であるため空売りが多い傾向にあり、悪くは無いが際だって良い状態でも無いというところ。


【同業他社比較】
同社の予想PERは19.8倍、PBRは1.3倍
今期予想営業利益率は6.6%、予想ROEは6.0%
配当利回りは2.2%
同業他社と比較すると、それぞれどのような位置付けだろうか。


NEC(6701)
通信インフラ設備では国内首位。買収などでITサービス部門を強化し、SI事業などの売上が大きくITサービスが主力の会社に生まれ変わっている。

予想PERは23.5倍、PBRは0.7倍
今期予想営業利益率は3.2%、予想ROEは2.6%
有利子負債比率は104.5%
予想配当利回りは2.2%

SI事業以外の比率も大きいため単純比較はできないものの、同社に比べて利益率が低い。また有利子負債も多いため、やや割高な水準。


大塚商会(4768)
独立系で中小企業向けSIに強み。オフィス通販「たのめーる」も運営。

予想PERは13.4倍、PBRは1.7倍
今期予想営業利益率は5.3%、予想ROEは12.2%
有利子負債比率は5.9%
予想配当利回りは2.2%

有利子負債が小さく、ROEが高いため外国人好みの銘柄。それ以外では概ね同社と同程度の評価。


野村総合研究所(4307)
野村証券系のSI。金融業界に強み。

予想PERは14.4倍、PBRは1.3倍
今期予想営業利益率は12.7%、予想ROEは10.5%
有利子負債比率は21.8%
予想配当利回りは2.9%

全指標において同社よりも良好な数字になっている。事業領域も似ているため、同社よりも選好される要素が強い。


ITHD(3626)
独立系SI大手。金融系に強み。

予想PERは12.7倍、PBRは0.6倍
今期予想営業利益率は5.1%、予想ROEは3.9%
有利子負債比率は48.9%
予想配当利回りは2.0%

株式的には割安感。ただし利益率が低く、合併の効果がなかなかはっきりと出ていない。


同業他社との比較では、総じてやや割高な印象。まずはより利益率を高める施策を採っていきたい。


【課題】
同社の得意とする大企業や官公庁の業績が厳しさを増す中で、中小型の案件を今後どれだけ獲得できるかがカギ。実際に今期の業績を比べると、中小企業を相手にしているSI事業者の業績は大きく伸びているのに対し、同社のような大企業向けの事業者は株価的にも苦戦が目立つ。

同社も中小企業の需要に合わせたような形で事業を再構築し、なるべく機動的に対応できるような組織体制を作っていくべきである。それによって様々な業態の顧客を獲得し、裾野を拡げていく必要がある。

先般孫請け会社の社員が不正にカードを偽造し、他人の口座から現金を引き出すという事件が発生。SIビジネスの根幹を揺るがす大問題となった。これは今後セキュリティに対するコストの増加(下請け利用の縮小や、対策に要する費用増を含めて)を意味する。やはり小規模な単位での組織化で、管理体制をしっかりと構築する必要がある。

株式はNTTが過半数を握っているため、業績のバックボーンとしての安心感はあるものの、株価に与えるインパクトはその分期待し辛いものになっている。同時に顧客層を狭めてしまう恐れも。他のグループなどとの積極的な資本提携などを模索して、門戸を広く開放していってもらいたい。

内需企業から外需企業への変貌を意識して積極的に海外M&Aを進めている点は評価できる。現在15%程度の海外売上比率を3年後には25%まで高める計画。顧客の海外進出に合わせて、外で拡がる需要を取り込んでいければ、同社の成長の余力は益々大きなものになってくる。

現在は拡大策に足を引っ張られているが、将来の利益の源泉に育つのが楽しみである。

※株式投資は自己責任でお願いします。文中の内容は現時点で予測できる範囲で想定されたものであり、正確性や投資成果を保証するものではありません。