KA.Blog

株式市場で気になる銘柄をピックアップして分析、検証していきます。主に中期~長期の投資で成果を上げ、値動きを追っていく予定です。株の他にも日常の話題やコーナーで綴っていき、むさくるしくない(?)ブログにしていきたいと思っています。

OSJBHD(5912)のアナリストレポート

★☆★☆富山近辺にお住まいの方に朗報!!

日経CNBC、stockvoice、ラジオNIKKEIなどでお馴染み、あのブーケ・ド・フルーレット代表の馬渕治好氏が高岡で自主開催セミナーを初めて開催されます!!

馬渕治好氏略歴
http://bd-fleurettes.eco.coocan.jp/sub1.html

内容 :「世界経済・市場展望」
(※世界の経済動向、主要市場の先行き、政策要因や投資家動向などの全体観について最新情報を踏まえながら面白くわかりやすく解説。なお質疑応答を含め、個別銘柄の株価判断はありません)
日時 :8月23日(土) 15:30~
場所 :富山県高岡市 アラヤビル(高岡駅から徒歩5分)
参加費:4000円

21日までの事前お申込制となっており、定員に達し次第締め切りとなります。
セミナー終了後は懇親会も予定されています(※自由参加。別途5000円程度)。

詳細を下記リンクよりご確認の上、お申込みください。
http://kokucheese.com/event/index/198413/


地方でこういうセミナーは貴重です!
ご興味のある方、この夏にワンランク上の自分を目指したい方は是非お誘い合わせの上ご参加ください!!

当然私も参加します!!(^_^)/

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14年8月17日現在
3ヶ月以内投資判断 「中立」
買いのタイミング  二番底を確認し、株価が横ばいを見せるところ、秋の臨時国会
3ヶ月以内株価予想 120円~150円(※10月1日に2株→1株の株式併合を予定)


要点

事業環境は良いが、競争激化や労務費の高騰などで業績のコントロールに難しさ。新中期経営計画も保守的。利益率の向上が課題。
・需給面では株券流通量や株主数の多さがネック。株式併合に向けた証券各社の信用規制などにより、整理売り継続の見込み。
・同業他社との比較では割高感。
・併合後も流通株数を減らすため、自社株買い・消却に期待。


【企業概要】
日本橋梁とオリエンタル白石を傘下に持つ持株会社。11年末に経営統合をしていた両社を吸収分割の形で再度分けた。


【業績】
前期は増収増益。主力の建設事業が伸びたことで、鋼構造物事業のマイナスを補った。


今期も増収増益を見込む。足元で豊富な国土強靱化関連の受注増が採算の改善にも繋がり好調。ただ最終利益は前期に計上した課徴金・訴訟引当金の戻入益が剥落することで大幅な減少を見込む。

第一四半期は減収減益。主力の建設事業が特に大きく落ち込んだ。ただ建設業においてより実態を表す受注面において今期は元々前期比11.7%減を見込むも、第一四半期時点では0.7%減に止まった。結果、残高は18.4%の増加。

事業環境は東京オリンピックに向けたインフラ整備やJR各社の進める耐震化など、需要を裏付ける要因に枚挙に暇がない。また高速道路3社も道路の老朽化に対し、今後15年程度かけて橋梁の造り替えなどの改修工事を進めていく方針。総事業費は3兆200億円を見込んでいるもよう。

更に国土交通省では、7月から2m以上の橋やトンネルの5年に一度の定期点検を自治体に義務付けた。新たな補助金創設なども検討するもよう(※ただし罰則は無い)。全国の自治体が管理する道路の主な橋のうち、40%以上は何らかの補修が必要とされており、危険性から通行が規制されている橋も1400か所近くに上っているとされている。需要が乏しい橋・道路の閉鎖は加味しても、同社に発注される業務は大きいものと見られる。

ただ中期経営計画では17年3月期までに売上440億円(前期比3.8%増)、経常利益13億円(同7.6%増)、経常利益率3.0%(前期実績2.9%)と、現状維持を目標とした保守的な計画。一応前中期経営計画との比較では上方修正した形にはなっているものの、やや市場の失望感を誘った格好になっている。


15年3月期中間期予想(KA.Blog)単位:百万円
売上   18200
営業利益 500
経常利益 450
当期純益 270


利益率の悪化、人件費の増加などを見込んで中間期の数字はやや苦戦が見込まれる。ただ下期は受注の選別効果で利益率は改善しそう。


有利子負債は16.6億円で、前期から8.8億円減少。
有利子負債比率(有利子負債÷自己資本)は8.8%
現預金は109.8億円
流動比率流動資産÷流動負債 ×100)は220.9%で前期の217.5%より改善。

有利子負債比率は小さく、実質的な無借金。流動比率も高く、財務的基盤は良好。


フリーキャッシュフローは前期18.0億円の赤字

前の期に比べて訴訟損失引当金が減少したことやたな卸資産が増えたことなどで営業CFが減少。一方、株式取得のための支出や固定資産の売却により投資CFは黒字化。トータルでFCFの赤字は前の期より減少した。


粗利率は11.3%で、前期の12.5%より悪化。
予想ROAは3.5%で、前期の3.1%から改善の見込み。

負債の減少などにより総資産が減少。利益率が通期を通しては改善することで、結果ROAは改善の見込み。


ファイナンスに関しては財務体質も良く、当面は行われないものと見る。


理論株価
買収価値を示すEV(時価総額-現預金+有利子負債)は252.3億円。今期予想EBITDA(営業利益+減価償却費)は19.3億円であり、結果EV/EBITDA倍率は13.1倍となる。同業他社の平均値もおよそ13.1倍と見立てられ、それらを元に計算した理論株価は141円となり、現状の株価は事業価値分析上妥当と捉えられる。


【株価推移】
バブル崩壊からリーマンショック後まで下がり続けた株価は、震災後の橋梁に対する補強工事の必要性や安倍政権による国土強靱化計画に対する期待感で急騰。ただ優先株の発行や筆頭株主ファンドによる売りにより、以後再度低迷の流れになっている。


【テクニカル】
昨年は230円が強力な上値抵抗線となる一方、12年10月、13年4月、7月、8月などの安値を結ぶ下値抵抗線とで形成される三角持ち合いを今年に入ってから下回ったことで、トレンドは崩れてきている。5月に最安値を付けた後は二番底を探りに行く動きに。

日足ベースでも各移動平均線を下回り上値が重い状態。4月、6月、7月の高値を結ぶ上値抵抗線も上値を抑える恰好になっている。MACDパラボリックは暗転。一目均衡表は雲下限に実線、遅行線が支えられる形。ただボリンジャーバンドの-2σを先日の第一四半期決算で下抜け、以後拡がっているところであることから、まだ二番底を付けたと言い切れない段階である。


【需給】
長期的には下落が続いていることで上値にしこりを残した格好。特に12年に暴騰した際に筆頭株主の売りが出て、流通市場に株券が大量に出回ったことで、需給は大いに緩んだ形。短期的には先週は決算を受けて窓を開けて売られたことから、一旦は売り一巡感が出てくる流れである。

信用買い残は約2708万株で、昨年12月の直近ピーク時からは整理売りが続いている。昨年の分割を考慮すると12年3月以来の低水準。先週の日証金ベースでも改善が見られる。ただ日々の出来高との比較ではまだまだ大きく、返済売りを重石に感じるレベル。

なお、10月に株式2株→1株に併合の予定。分割から1年半でまた戻す形で迷走。併合実施までの間、自社株買いなどの発生余地が少なく、信用取引を規制する証券会社も目立ち、買い意欲の盛り上がりに欠ける状況である。併合後も端株などの売り圧力が少し続きそう。


【同業他社比較】
同社の予想PERは38.4倍、PBRは1.8倍
今期予想営業利益率は3.1%、予想ROEは4.8%
配当利回りは0.4%
同業他社と比較すると、それぞれどのような位置付けだろうか。


PS三菱(1871)
三菱マテリアル(5711)系の土木建設。PC橋梁ではトップクラス。

予想PERは17.2倍、PBRは1.2倍
今期予想営業利益率は1.8%、予想ROEは6.6%
有利子負債比率は33.9%
配当利回りは0.9%

株式市場では同社と最もよく比較される銘柄。財務面では同社に優位性があるものの、その他の面では概ねこちらの方が優位的である。


駒井ハルテック(5915)
鉄骨、橋梁の大手。風力発電にも参入。

予想PERは34.6倍、PBRは0.6倍
今期予想営業利益率は0.9%、予想ROEは1.8%
有利子負債比率は27.9%
配当利回りは1.4%

PBRや利回りでは優位性があるものの、利益率が低い。


宮地エンジニアリングG(3431)
橋梁、建築に強み。駒井ハルテックと技術提携。

予想PERは29.2倍、PBRは1.1倍
今期予想営業利益率は2.9%、予想ROEは5.2%
有利子負債比率は38.5%
配当利回りは0.9%

財務面では同社に優位性があるものの、その他の面では概ねこちらの方が優位的である。


ショーボンドHD(1414)
橋梁、ビルなどコンクリート構造物補修では最大手。インフラ投資関連の最右翼。

予想PERは24.1倍、PBRは2.2倍
今期予想営業利益率は15.1%、予想ROEは8.8%
無借金経営
配当利回りは1.5%

利益率はダントツで株式価値も割安。全ての面において同業他社の中で優位性。


同業他社との比較ではやや割高な印象。


【課題】
まずはグループ各社のシナジー効果を最大限に高める経営の舵取りが重要である。経営統合から会社分割、株式に関しても分割から併合と、二転三転する経営方針に難。数年後を見据えたビジョンを明確にし、腰を据えた経営方針を示していかないと現場が混乱するだけのように思われる。

株式分割によって株価は低位安定してしまい、低位株好みの個人投資家資金を集め、結果株主数が倍近くの4万人に増えて管理コストがかかってしまった。併合を実施しても尚株式総数は多く、浮動株数が多い。そのため自社株買いと自社株消却を併用し、ROEを高めていく施策を採りたい。

事業的には現状国内の受注環境が良いうちに次なる需要を求めて東南アジアなどへの海外展開も押し進めたい。加えてM&Aによる規模拡大などで、人件費の高騰などリスクを最小限に抑える経営戦略を追求したい。


【総合評価】
足元で建設株が高値を更新している中で相対的に橋梁関連株に出遅れ感が感じられる。その橋梁関連株の中では相対的な割高感から出遅れが目立つ格好。本来であれば決算を受けて特に売られる理由も無い中身であったが、やはり需給妙味が悪く売り圧力が断続的に続いているものと思われる。

短期的には決算後の売り一巡感から先述した上値抵抗線(現状150円辺り)までの値戻しを試みる流れ。ただ引き続き市場全体の商いが薄い中で、信用の整理売りが断続的に出てくる見込みであることから、引き続き二番底模索の動きは継続しそう。

次の消費増税に向けて7-9月期GDPの浮揚策を講じる必要がある政府は、内閣改造後に9月末に開催されるであろう臨時国会において、公共投資の更なる強化を打ち出してくる可能性がある。その前に新聞各紙などで政策の予想が取り上げられることから、開催が近づくにつれて橋梁関連の材料が再燃する可能性は有り得る。景気動向に左右されない点も、昨今の地政学リスクなどの不透明要因に対する耐性となってプラス。

そのため足元では当面売り基調継続と見られるも、売り出尽くし感から株価が横ばってくるタイミングでは材料期待の投資妙味。動意付くと短期資金を集めやすい株価特性・株価水準ではある。材料が出た後は戻り売りのタイミングを測りたい。これらを総合的に考え投資判断は「中立」とした。


※株式投資は自己責任でお願いします。文中の内容は現時点で予測できる範囲で想定されたものであり、正確性や投資成果を保証するものではありません。