KA.Blog

株式市場で気になる銘柄をピックアップして分析、検証していきます。主に中期~長期の投資で成果を上げ、値動きを追っていく予定です。株の他にも日常の話題やコーナーで綴っていき、むさくるしくない(?)ブログにしていきたいと思っています。

サイジニア(6031)のアナリストレポート

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15年5月3日現在
3ヶ月以内投資判断 「やや売り」
買いのタイミング  決算を受けて落ちた場面、もしくは6月上旬頃
3ヶ月以内株価予想 6000円~10000円


要点

・業態は新しく、事業環境も良好。ただし案外利益率が低く、人件費などのコスト増も課題。
・テクニカル的にはフィボナッチや日柄のリズムに沿った流れが続いている。足元は決算などでサプライズが出ない限り下落継続か。
・需給面でも1万円より上の水準では価格帯出来高が大きく、戻り待ちの売りが大きそう。
・同業他社比較ではPBRに割高感。


【企業概要】
ビッグデータを利用したネットワークマーケティングサービスを、楽天(4755)やニッセン(8248)などEC・小売り向けに提供。レコメンデーション・エンジン「デクワス」を用いたアドテクを中心に、ユーザーが欲しい情報を自ら検索しなくても発見できるようにしている。既にこの分析・解析手法で日米で複数の特許を取得済み。ソフトバンク(9984)が筆頭株主。昨年12月IPO


【専門用語】

DSP(Demand-Side Platform)
ネット上の広告で広告主の予算や掲載面の管理、またターゲットとするユーザーへの広告枠の選定などを過去の成果を元に最適化してくれるツール。11年頃から拡大。

RTB(Real-Time Bidding)
リアルタイム入札。ネット上に広告を掲載する際に広告枠の競争入札を瞬時に行うシステム。


【業績】
前期は増収ながらも減益。顧客の増加により売上は増加したものの、管理部門の人員強化などでコストが増えた。


今期は増収及び黒字転換を見込む。中間期の時点では過去最高の売上を記録。レコメンドサービスが伸び悩む中で、成長分野として注力するアドサービスがカバーした。利益面で上場費用などをこなし、ほぼトントンのところに。本来更なる上積みが期待されたアドサービス部門においての失注分を、上場による知名度の向上やソフトバンクとの関係強化などによって、下期に挽回を期す。

今後はスマホ広告分野を強化していく計画。料金体系も月額固定課金のものが多いため、業績積み上げから安定感がある。

同社の強みはネット上の広告だけではなく、POSシステムなどを利用してリアル店舗に対するマーケティングサービスを提供できること。今話題の「オムニチャネル」や「O2O」の活用を目指す企業に対し、支援を提案できる。野村総研の試算によると国内O2O市場は現在の40兆円規模から17年には50兆円規模に急拡大の見込み。加えて海外進出も視野に入れる。

また、リクルートHD(6098)の研究機関が提供するキュレーションサービスに同社と共同開発したエンジンが採用され、他にも京セラ(6971)の子会社とも共同開発を行うなど、有力企業とのパイプが強い。バックボーンの強みから、今後の展開力にも期待が持てる。

ただし売上の伸びに対し利益の伸びが小さいのが難点。専門性が高い分野であり人件費が高止まりすること、エンジンの開発も個別企業の特性に合わせて共同開発の形態が目立ち、汎用性の低さがコスト増要因になっている印象も。


15年6月期第三四半期予想(KA.Blog)単位:百万円
売上   740
営業利益 40
経常利益 30
当期純益 30


注力するアドサービスの割合が一段と増すが、売上の伸び程の利益成長は期待し辛い格好。なお、第三四半期決算は15日発表の予定。


有利子負債は3750万円で前期から625万円減少
有利子負債比率(有利子負債÷自己資本)は4.4%
現預金は8.1億円
流動比率流動資産÷流動負債 ×100)は754.9%で前期の266.5%より改善。

ネット企業らしく実質無借金。IPO直後であることから、流動比率も極めて高く財務体質は良好。


フリーキャッシュフローは1110万円の赤字

前期末に比べて赤字幅や売掛金が減ったことで営業CFが黒字転換。一方、預金や有形固定資産の取得などが増えて投資CFは赤字幅が拡大した。結果、トータルでFCFの赤字は減少。


粗利率は30.8%で、前期末の21.1%より改善。
予想ROAは8.7%で、前期の-35.8%から改善の見込み。

今期の黒字転換見通しから、結果ROAは改善の見込み。


ファイナンスに関してはIPO直後で財務体質も良く、当面は行われないものと見る。


【株価推移】
上場間もなく6連続ストップ高を挟んで安値から一気に4倍化。その後は過熱感から5000円を割り込む場面まで調整が入ったが、ソフトバンクによる保有比率引き上げを受けて再度買い直された。全般的にIPOから日が浅く、人気業種でもありボラティリティの高い展開は続いている。


【テクニカル】
最高値16330円→3/18安値4620円より、フィボナッチ61.8%戻しにあたる11860円を4/2に達成。その後マザーズ指数の上昇局面にもかかわらず、推進力を失った展開が続いている。そして9日の安値7890円からやはり61.8%戻しの水準にあたる10350円を28日にほぼ達したことから、再度下落基調に。

上場直後の安値から1/13の最高値までが12日間。3/18安値から4/2までの上昇局面においてもやはり12日間という日柄を考えると、下落局面も1/13~3/18まで46日間費やしたことで、同程度の日柄調整が必要と見られる。4/2~4/9までの下落率33.6%を4/28高値10300円に当てはめると、現在は残り一ヶ月程度かけて6840円を目指す波動か。

足元75日前の株価がほぼ最高値を付けた日柄であることから、それに伴う整理売りも出やすい流れで、その分75日線の下落も続くことから下支えとしては期待し辛い。25日線も来週には下落に転じてきかねない日柄であり、5日線とのデッドクロスが実現してしまうと、一層上値を重くしそうな場面。

MACDパラボリックは再暗転。一目均衡表は遅行線が実線とのデッドクロスにかかる場面で、連休明けに反発したとしても持続力には疑問符。先行スパンに沿った下落が続きそう。一方でストキャスには割安感が出つつあり、ボリンジャーバンドは±2σが狭まってくることから、次第にボラティリティが低下する流れ。

今後は1月、4月の高値を結ぶ上値抵抗線を上抜けられる場面を見極めたい。決算などの材料で上抜けることができれば、一気に上値余地が拡がる可能性がある。


【需給】
上場間もなく高値を付けた後は下落基調が続いており、総じて需給は悪い印象。中期的にも3月下旬~4月初旬にかけて出来高が膨らんだことで、1万円弱から上の水準に価格帯出来高が集中。戻り待ちの売りが多く現れやすいゾーンに。

信用買い残は19.8万株で3月のピークからは微減となっているものの、未だ高止まりの状況が続く。ただ日々の出来高との比較では返済売りがやや重石に感じる程度のレベルで、極端に多くは無い。

6/17には全大株主のロックアップが解除される見込み。ただし会社関係者や共同開発会社などであるため、当面新規の売り圧力が増えることは無さそう。それでも未だアメリカ大手ベンチャーキャピタルのDCMが12%程度保有する第二位株主であり、その方向性には注意を要する。


【同業他社比較】
同社の予想PERは190.3倍、PBRは19.4倍
今期予想営業利益率は9.2%、予想ROEは9.4%
配当は無配
同業他社と比較すると、それぞれどのような位置付けだろうか。


フリークアウト(6094)
DSP大手で昨年6月IPO。アメリカにも展開したが、先般事業休止を発表。

予想PERは157.2倍、PBRは5.9倍
今期予想営業利益率は2.4%、予想ROEは3.8%
有利子負債比率は4.4%
配当は無配

先般下方修正を出して株価が急落。他社に比べて比較的IPOが先輩格なだけに、同社の見通しにつられてアドテク関連株が下落した。利益率が低下した分、全般的に割高感が出てきた感じに。


ALBERT(3906)
ビッグデータを活用した販促分析が主力で2月にIPO。レコメンドエンジン「Logreco」で同社と競合。

予想PERは65.8倍、PBRは16.3倍
今期予想営業利益率は18.4%、予想ROEは10.4%
無借金経営
配当は無配

同業他社の中では利益率が高く、株式価値も相対的な割安感。


VOYAGE GROUP(3688)
ポイントサイト「ECナビ」主体のメディア事業、顧客メディアの広告収益最大化を支援するネット広告プラットフォームのアドテクノロジー事業を柱に運営。昨年7月IPO。大株主にBNFこと小手川隆氏。

予想PERは18.8倍、PBRは5.3倍
今期予想営業利益率は12.8%、予想ROEは32.3%
有利子負債比率は5.7%
配当は無配

同社とは事業ポートフォリオがやや異なるため参考程度ではあるものの、株式的な割安感は強く、ROEは高い。


同業他社との比較ではROEがそれ程高くも無い一方、PBRは高い水準であることからやや割高な印象。


【課題】
レコメンドエンジンサービスは高い再購入率を顧客企業にもたらす反面、顧客企業の導入費用などから考えると年商2億以上のECサイトが対象になっているとみられる。その分、限られた大手顧客獲得に対する競争環境が激しく、囲い込みへのコストがかかってくる。他の中小ECサイトに対してもアプローチできるようなサービス提供も考えていきたい。

またDSPはRTBを通じた手数料モデルであり、高利益率が見込みにくい。前期DSPの売上がほとんどを占めたフリークアウトは、営業利益率が5.9%程度に止まった。また先般フリークアウトが出した中間決算によると、DSP事業は前期比10.5%程度の成長に止まり、成長力鈍化の兆し。そのためDSP一本足からのビジネスモデル脱却を企図し、その過渡期であることから、今期一転減益見通しの下方修正を発表した。

同社も事業ポートフォリオを明確に見直しつつ、総合的な成長を目指していきたい。日進月歩のネット技術業界において、絶えず人材のブラッシュアップも必要になってくる。人件費や開発費をこなして尚成長を続けるためには、当然売上の成長のみならず利益率にも目を光らせる必要がある。


【総合評価】
本来事業環境が良く、もっと急成長を期待しても良いジャンルではある。ただそのビジネスモデルから、業績の安定感がある一方で大化けは期待し辛い。また株式市場のテーマ性においてもビッグデータ関連は裾野が広過ぎて、しっかりと育ったスター銘柄が生まれていないジャンル。期待感に現実(業績)が追いついていない面もある。

同社も比較的若いIPO銘柄ということで、やや将来性が過大に見積もられている面も否定できない。上述のように株価のリズム的にも足元は調整モードの流れであると見られる。

したがって投資判断は「やや売り」とした。15日発表の決算時に上方修正などがあれば評価も変わってくる可能性はあるものの、足元の同業他社の決算やそれに対する反応を見ると、なかなかサプライズは期待し辛いのではないか。


※株式投資は自己責任でお願いします。文中の内容は現時点で予測できる範囲で想定されたものであり、正確性や投資成果を保証するものではありません。