KA.Blog

株式市場で気になる銘柄をピックアップして分析、検証していきます。主に中期~長期の投資で成果を上げ、値動きを追っていく予定です。株の他にも日常の話題やコーナーで綴っていき、むさくるしくない(?)ブログにしていきたいと思っています。

日本商業開発(3252)のアナリストレポート

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16年10月9日現在
3ヶ月以内投資判断 「やや買い」
買いのタイミング  1800円の節目を明確に超えたところか1600円以下で
3ヶ月以内株価予想 1500円~2300円


要点

・前期の渋谷区大型案件の剥落で営業減益は避けられず。ただ下期に業績偏重で、会社計画には上ブレ期待。
・チャート形状は良好。需給的にも売り一巡感が見られ、1800円の節目を上抜ければ上値余地拡大期待。
・他社との比較では割高感。


【企業概要】
住宅地に近接した土地を取得して、スーパーなどを誘致して土地の底地だけを保有する「JINUSHIビジネス」を展開。前期の従業員年間給与上昇率が上場企業の中で1位。


【業績】
前期は増収増益。渋谷区神宮前5丁目プロジェクトといった売上100億円超、通期売上の約7割を占めた大型案件の売却が実現。過去最高益を更新した。


今期は販売用不動産の仕入れ及び売却先の拡大により、過去最高の売上を見込む。ただ営業利益は利益率の高かった前期大型案件の剥落により減益を想定。営業外費用として、販売用不動産の取得にかかる金利・費用などが増えることで、経常利益も大幅減益に。

第一四半期決算でも大幅な減収減益。大型案件の剥落が影響する一方、前期に子会社化した熊谷組の不動産部門ニューリアルプロパティ社(NRP)による負ののれん益27.9億円を計上した。今期は来年1月に「地主私募REIT」の組成を行うため、売上・営業利益共に下半期に集中する予定。

現状、ケネディクス商業REIT(3453)に売却している物件を、今後はその私募REITに優先的に売却。当初200億円で開始した後、5年で1000億円規模のREITに育てる。

足元では60億円前後の資金を借り入れし、港区青山で販売用の土地を国内の不動産ファンドから取得。敷地面積が589平方メートルで、結婚式場を既に建設中。来年3月完成予定。これも含め販売用不動産残高は約350億円と過去最高となっている。

またNRPは、オーストラリア初の海底道路トンネルであるシドニー・ハ一バー・トンネルや、香港島九龍半島を結ぶ香港第二海底トンネルを所有・運営する海外PFI事業(公共インフラの建設・管理などを民間資金が行うもの)を手掛けるほか、マンハッタンやシカゴでも不動産を所有。海外展開を目指す「JINUSHIビジネス」の足がかりに。従来20億円程度だった海外への投資金額を3桁にまで拡大させる。

足元のマイナス金利環境下は不動産を生業とする企業にとっては追い風ではあるものの、日銀は先般の金融政策決定会合において長期金利0%での固定化を決定。さしあたり一段のマイナス金利深掘りの方向性は打ち止めと見られ、追い風は収まりつつある。


17年3月期中間期予想(KA.Blog)単位:百万円
売上   7900
営業利益 880
経常利益 880
当期純益 3540


前期は大型案件があったため特殊だったが、一般的に売上は下期偏重の傾向がある。いずれにせよ不動産は物件売却のタイミングがいつになるかで売上計上が期ズレを起こしやすく、四半期ごとの見通しは立て辛い。なお、通期見通しに関しては特に利益ベースで保守的に見積もる傾向が強いため、今期も最終的には上ブレ着地が見込まれる。


有利子負債は340.6億円で前期から106.2億円増加。
有利子負債比率(有利子負債÷自己資本)は249.6%
現預金は111.0億円
流動比率流動資産÷流動負債 ×100)は1024%で前期の574.4%より改善。

流動資産のうちの大部分が販売用不動産が占めるため、流動比率で安全性は計れない。その販売用不動産が80億円近く増加したのに対し、有利子負債は106億円増えている点は、財務体質の悪化と言える。他社との比較感でも負債比率が高め。


前期のフリーキャッシュフローは79.3億円の赤字

前の期に比べて販売用不動産が増えたことで営業CFが減少。またNRP社取得のため投資CFも赤字拡大。トータルでFCFは赤字となった。


粗利率は20.6%で、前期の51.7%より悪化。
予想ROAは4.6%で、前期の14.5%から悪化。

前期の大型案件が剥落することで、利益率は低下の見込み。


ファイナンスに関してはそれなりに行われる可能性が高い。


【株価推移】
14年末に名証から東証にメイン市場を移して以後は、追加緩和に対する期待感剥落から不動産関連株が下落するのに歩調を合わせ、緩やかな下落傾向が続く。


【テクニカル】
全般的に2400円弱の水準に上値抵抗線が引け、今年も3、4月の高値で三尊天井を形成。他方、今年の1月、7月安値で1300円台後半でダブルボトムを完成した。その水準から戻りを試す展開になっており、足元では15年後半の安値及び今年5、6月の戻り高値水準1800円突破にトライ。200日線までの各移動平均線も上回り、上値が軽くなってきている段階。

日足のMACDパラボリックは好転。一目均衡表も遅行線が厚い雲から抜け出して三役好転の形に。ストキャスは暗転しているものの、ボリンジャーバンドは+2σの拡大に合わせて上値余地が拡がっている展開。週足ベースでもそれぞれボリンジャーバンド以外は同様の傾向にあり、全般的には上昇トレンド継続を示唆している。


【需給】
長期的には上述のように緩やかな下落トレンドが続いていることで、総じて悪い印象。ただ中期的には6、7月の安値で下値の固さを見せた後、緩やかな右肩上がりの上昇を続けてきていることで、売り一巡感は感じられ展開に。

特に1800円の上値の節を明確に上放れれば、5月の本決算発表以後の急落過程において、1800円~2300円までわずか3営業日で急落した水準であり2000円からは大きな窓が開いている状態。価格帯出来高が薄く、戻り待ちの売りは出にくくなるゾーンである。

信用買い残は差し引き34.6万株で、5月のピーク以降は整理売りが進んでいる格好。一方、足元ではJPモルガンによる12万株の空売りが報告されている。ただそれを差し引いてもまだ日々の出来高との比較では返済売りがやや重石になる印象。

リズム的には3月末に最初の三尊天井の一端を形成してから半年期日を経過してきたことで、以後一ヶ月間以内にこの三尊天井形成で捕まった信用買いの返済売りは一巡する日柄になる。


【同業他社比較】
同社の予想PERは7.1倍(ただし負ののれん特益を排せば19.3倍)、PBRは2.7倍
今期予想営業利益率は14.2%、予想ROEは32.3%(ただし負ののれん特益を排せば11.8%)
配当利回りは2.8%
時価総額は312.4億円
同業他社と比較すると、それぞれどのような位置付けだろうか。


ケネディクス(4321)
独立系不動産ファンドで最大手級。伊藤忠(8001)と提携。同社が運営するケネディクス商業リート投資法人では関係が密。

予想PERは11.4倍、PBRは1.3倍
今期予想営業利益率は41.2%、予想ROEは11.2%
有利子負債比率は86.4%
配当利回りは0.9%
時価総額は1164億円

同社との比較で配当利回りは低いものの、全般的には実質的に割安感がある。


いちごGHD(2337)
不動産流動化やREITの組成。太陽光発電も運営。ウエイトリフティングの三宅選手が所属。

予想PERは17.0倍、PBRは3.3倍
今期予想営業利益率は14.7%、予想ROEは18.7%
有利子負債比率は218.4%
配当利回りは1.1%
時価総額は2262億円

PBR面や配当利回りでは割高感。ただその他の面では実質的に割安感がある。


トーセイ(8923)
不動産流動化に強み。中古マンション販売も。

予想PERは6.3倍、PBRは0.9倍
今期予想営業利益率は17.5%、予想ROEは13.6%
有利子負債比率は149.4%
配当利回りは3.0%
時価総額は352億円

同社とはあまり業態が重ならないので参考。株式的には割安感が強い。


同業他社との比較では全般的にやや割高な印象。


【課題】
特に首都圏において不動産価格の割高感が指摘されており、キャップレートの低下が顕著になってきている。いくら土地のみを取引するビジネスモデルであっても、そんな状況下で過去最高の在庫水準を持ち合わせるのはリスクが大きい。日銀の施策に左右される部分が大きい点も懸念される。


【総合評価】
今期の業績剥落分に関しては株価も随分織り込んできており、足元の株価復調傾向から売り一巡感は感じられるところ。また今期に関しては今までのところ順調に販売用不動産の売却が進んでおり、会社計画を上回る着地が見込める。

ただ他社との比較では全般的に割高感が強く、足元の事業環境から勘案して、将来の成長力には一抹の不安も。一方、今後は海外展開を強化していく方針であり、期待感は持てる。

足元のチャート的には申し分なく、1800円の節目を突破できれば上伸速度は一気に加速できそう。ただ日銀金融政策決定会合以後の不動産株全般に対するネガティブな反応が上値を抑える懸念、また大統領選挙など外部要因が市場全体を一時的に冷やす懸念はある。その場合でも下値は堅い印象であることから、目先あっても1500円割れまでとみる。

従って投資判断は「やや買い」とした。

株式投資は自己責任でお願いします。文中の内容は現時点で予測できる範囲で想定されたものであり、正確性や投資成果を保証するものではありません。