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株式市場で気になる銘柄をピックアップして分析、検証していきます。主に中期~長期の投資で成果を上げ、値動きを追っていく予定です。株の他にも日常の話題やコーナーで綴っていき、むさくるしくない(?)ブログにしていきたいと思っています。

メディシノバ(4875)のフォロー

本日はメディシノバ(4875)のフォローです。銘柄のフォローは随分久しぶりですね。最近忙しくてなかなか時間がないものですから。にしてもクリスマスにこんな事を書いているのも色気ないですね(-。−;)

この会社は創薬ベンチャー企業でいわゆるバイオ関連銘柄です。ヘラクレス市場に上場しながらも本社がアメリカにあることから外国株扱いとして受け止められ、売買に際しては証券会社毎により若干の制限があります。今年夏頃にアメリカNASDAQ市場への上場を表明した岩城CEOの悲願がようやく達成し、12月よりヘラクレス市場とNASDAQに重複上場しています。

この会社の概要に関しては古い資料となりますが、7月22日に行われた説明会の動画があります。ここで能弁なCEOの説明が面白くて分かり易いです。45分位ありますがなかなか飽きさせない説明になっており、この銘柄の特徴が掴めると思いますのでまず見てください。

↓Tokyo IPO主催の会社説明会動画
http://vspm.irstreet.com/browse/index.php?code=ca5s467xI5xlQ&pr=mms

そして現在の状況に関してはメディシノバのHPを直接見て貰うのが一番わかり易いかと思います。

↓メディシノバのHP(日本語版)
http://www.medicinova.jp/

この会社はまだ収益の柱となる薬のライセンスを導出できる状態にはありません。現在10本のプロジェクトがあり、それらが成功する事によって初めて本格的に売り上げを計上していけることになります。それまでははっきり言って研究開発費ばかりかかって赤字の垂れ流しという事になります。

なので既存の投資尺度ではこの銘柄の価値を計ることはできません。現預金が130億円分あるとのことですが、一つの薬をきっちりと完成させるには約150億円が必要とのこと。しかもそれだけ費やしたとして薬が必ずしも完成する保証はないわけですから、ギャンブル的な要素が強く、特に未だ実績がない会社ですから未知数という見方もあります。

ちなみに今一番の目玉は「気管支喘息炎治療薬」であるMN-001という開発コードのものです。これは現在臨床試験の最終段階まできており(Phase3。Phase1→2→3と進んで行く。Phase3は大人数の患者に実際に投与してみて効果があるのかどうかを確認する)、今後の株価動向はこれが完成するか否かによって大きく分かれてきます。またこのMN-001に関しては間質性膀胱炎にも効果があるとみられており、こちらの試験も現在Phase2/3の結果待ちで(Phase2/3とはPhase2とPhase3の両要件を満たすもの)、今年中には結果が出る予定となっています。

気管支喘息炎治療薬」の患者数は同社資料によるとアメリカだけで2000万人近くいるとのことです。同治療薬の世界市場規模は1兆7000億円程度であり、実際に市販される事になれば(上市されれば)数千億円規模の売り上げを期待できますから、ライセンス収入も莫大なものになると思われます。

ではPhase3の成功確率はどの程度かというところが気になりますが、同社資料によると業界平均で約6割程度だそうです。これを高いと見るか低いと見るかは皆さんに御任せ致しますが、得られるリターンの期待値で計算するとするとかなり割は良いと思います(ただPhase3が成功しても実際に認可されるかどうかは93%の確率だそうです)。

株価的には短期間で急騰しておりなかなか今のタイミングがベストとも言い切れないところでもあります。ただテクニカル的には5日線に支持され順調な切りあがりを見せています。週足ベースでも52週線を抜いてきたのは上場来初めてであり、絶えず右肩下がりを続けてきた同社の株価が転機を迎えた事は間違いないと思います。

またNASDAQ市場との評価の差を利用する投資手法も有効的です。22日終値は13.78ドルと日本円換算で約1630円程度。ヘラクレス市場と未だ80円程度乖離がありますから、少なくとも乖離分は安心して投資できるという見方もできます。無論市場での流動性や取引時間が異なりますから、必ずしも同値に収束するとは限りません。ただどちらの市場で取引されようと一株の価値は同じなのですから目安にはなるかと思います。

加えて中間選挙後から大統領選挙までの間、アメリカ市場は上がるといったアノマリーNASDAQ市場の追い風になっていると思います。実際に中間選挙後からアメリカ相場は右肩上がりですしね。日本市場も力強い上昇を続けていますが、国別投資のリスク分散という面でもメリットがあるかも知れません。

先日ダットンアソシエイツというアメリカの投資リサーチ会社が目標株価を20ドル(2300円強)の「Strong Speculative Buy」に設定したとありました。正直それ程反応があったわけではないですが、少なくとも向こうでは高く評価されているなという事はわかります。

↓アメリカヤフーファイナンスより(英語)
http://biz.yahoo.com/bw/061222/20061222005277.html?.v=1

また同社資料によるところのアメリカ創薬ベンチャー類似企業との時価総額を比較すると、圧倒的に同社の時価総額が低いことがわかります。例えばできるだけ現在の時価総額に近づけてマンカインド社と比較してみると、以前に比べて差は縮まりましたがそれでも実にまだ5倍近くの時価総額の差があります。

一方リスクはというと当然新薬が完成しないリスクが最たるものです。やはり未だきちんとした薬が出来上がっていない同社の評価は懐疑的なものにならざるを得ないかも知れません。ただそれだけに株価上昇のためのボラティリティは高いとも言えます。また出来上がったとしても他社製品に比べてメリットが薄ければ売れません(CEOは同社の薬に対して安全性を強調されていますから、この辺はそれ程問題にならないかも知れません)。

更に先日NASDAQ市場に上場した際、岩城CEOの時事通信社に対するインタビューの中で「アメリカの機関投資家のために流動性の向上が必要。早急に1億ドル規模の新株を発行したい」とありました。現在の株価水準で1億ドルと言うと750万株程度の増資となり、発行済み株式総数が約1千万株の同社にとって実に75%に当たる規模となってしまいます。

当然「早急に」とありますが、もしそんなに「早急に」必要であるならNASDAQ上場時に増資するのが直近のベストタイミングですし、ライツ・プラン(買収防衛策)を導入する程経営権を他に取られる事を気にしているわけですから、現実的に考えてこの株価水準で増資することは有り得ないと思います。何らかの新薬が完成し、株価が4000円、5000円と大きく上昇した際でないと増資してこないでしょうね。

そういったわけで、一種割り切った形で投資するのは面白いと思います。薬が完成する期待値を考えると下に下がるより上に上がる率の方が圧倒的に高いと思います。そもそも上場時の公開価格は4000円(株式併合考慮)で、全然各プロジェクトの研究の進んでいなかった当時にそれ位が適正価格だと考えられていたわけですから、今の株価は随分割安に放置されていると見るべきです。

この後の進捗次第では来年中に株価1万円も夢じゃないと思っています。このちょっと変わった銘柄に皆さんも注目してみてはいかがですか?来年の今頃、豪華なクリスマスプレゼントになっていれば良いのですが(;^_^A

※株式投資は自己責任でお願いします。文中の内容は現時点で予測できる範囲で想定されたものであり、投資成果を保証するものではありません。