脳の手術を受けてから3年以上経つうちの父ですが、ずっと介護老人保健施設で半寝たきりの状態が続いています。それでも何とか自力で起きあがれるようになり、繋がるものがあれば立てるようになり、それが5分、10分と伸びてきました。そして最近では歩行器を使って10数メートルは歩けるようになりました。3年間という時間はとても長くかかりましたが、それでも少しずつ改善してきています。
特に歩行器で歩けるようになったのは、ここ1ヶ月位のことです。母に言わせれば二つ大きなきっかけがあるようでして。一つは前回のブログにも書いた伯父さんの法事に向けて、久しぶりに公の場に顔を出したいこと。そしてもう一つ、それは母の事故です(3/21のブログ参照)。母の福祉車がエアバックを出す程の大破。それでその車を修理に出すか、それとも全くの新車を買うかという決断に迫られました。
車輌保険も入っていたので、保険会社から下りると言われた金額は85万円。修理なら免責分の5万円だけで済むのに対し、新車の福祉車であれば最低もう70万は出さないといけません。「やっぱり修理にしようか・・・」と母が父に相談した時、父は「そんなもん福祉車なんていらん。ワシもうすぐしたら歩けるようになるから、安い普通車を買えば良い」と言ったようです。
母も私もそれを聞いて感動すると同時に「またそんな強がりを言って・・・3年経ってもほとんど状態が改善しないのに、そんな簡単に歩けるようになるわけがない」と思っていたのですが、今まで半分嫌々やっていた「立つ」という動作も自ら進んでやるようになりました。そして母が試しに歩行器を買って使ってみると、自力で歩けるようになってきたのです。
正直ここまで回復できるとは思いませんでした。勿論期待はしていましたが、75歳という年齢を考えると段々と実現が難しくなってきます。まして3年という歳月で、施設でのリハビリは週に2回、しかも30分程度の気休めみたいなものです。母が毎日顔を出しては毎日独自でリハビリをさせていましたが、せいぜい父を持ち上げて立たせるというのが素人の力では限界でした。
今まで私も母も夢には出てきた光景でした。父が杖などを付いて自分で歩く姿は。そしてそれもかなり実現可能なところまで来ました。うちの嫁は父の元気だった姿は知りません。是非自分で歩ける父の姿を見せたいとも思います。
ところで今年4月から介護保険の要介護認定基準が変更され、父の要介護度も1つ緩和されて3になりました。今回の場合基準の変更もさることながら父の状態も良くなっているため、それは喜ばしいことかも知れません。施設の利用料も少しだけ安くなります。
ただそれによって今まで3年近く置いてもらった現在の施設から追い出される可能性も出てきました。まだそのような話は出ていませんが、父のように長期間置いてもらえるのは極まれなケースで、介護度の高さと母が毎日のように世話をしにいって施設への負担を軽くしているから特例中の特例で置いてもらっているのかなと思っています。
今日は母の日でもありますが、うちの母は我々に対しても含めて、色々と周りの事に献身的に世話を焼いています(ちなみに今日も町内の高齢者相手の活動に参加しているそうです。自分も十分高齢者なんですけどね(;^_^A)。そんな母が元気にしてくれいるから周囲の生活も成り立っています。母のバイタリティには驚きつつも感謝感謝ですね。ただ過剰に世話を焼き過ぎて時々鬱陶しさを感じさせるのも玉に傷ですが(;^_^A
ところで父が自力で歩行できるようになるのは誠に喜ばしい限りなのですが、まだ自分でトイレをできるまでには至っていません。そのような状態で平日は68歳の母一人の家に戻されても、正直困るのです。ですから、父にはこれからも急速に回復していってもらわねばなりません。
日本の現状を考えると今回の基準変更はある程度やむなしとも思っています。ただこれだけ豊かになった国日本で、大勢の人の老後が不安なだけという社会はどうなのでしょう?大部分の人は寿命をまっとうし、身体が不自由な老人となって最期を迎えると思いますが、それに対して前向きな気持ちになれないのは、かなり対応すべき優先順位の高い日本の欠陥だと思います。