KA.Blog

株式市場で気になる銘柄をピックアップして分析、検証していきます。主に中期~長期の投資で成果を上げ、値動きを追っていく予定です。株の他にも日常の話題やコーナーで綴っていき、むさくるしくない(?)ブログにしていきたいと思っています。

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3ヶ月以内投資判断「やや買い」
買いのタイミング 9月中旬以降
3ヶ月間の株価推移 104円〜140円

要点
・本業は順調に改善傾向にある。粗利の向上が寄与。ただし為替感応度が意外に大きく、円高では大きな減益となってしまう。
・株価は仕手性が強い。過去にMSCBを連発し、発行株式数は1.5億株。足元では自社株買いが終了し、買い支えの主体が無くなってしまった。
・当面上昇のきっかけが無さそう。為替の落ち着きと共に具体的な上方修正などのIRが待たれる。
・指標面ではやや割高。景気回復後の成長シナリオを投資家に示す必要がある。
・失ってしまった投資家の信用を回復するためには、積極的な株主還元策を示す必要がある。


【企業概要】
ネット関連機器の販売の持株会社。傘下にはコレガを持つ(コレガは主に個人向けブランド。昨年7月にアライドテレシス株式会社に吸収合併された)。国際的に販路があり、国内外の売上比率は半々。EUでは軍施設にも強み。下期は医療関係に注力。株主構成は会社関係で50%近くを占めており安定的。8/10に中間決算発表済み。


【業績】
中間決算では営業利益の大幅な改善を実現。その原動力は粗利の改善であった。利益率の高い製品の拡充やソリューションビジネスに力を入れ、原価の抑制に成功。前年は52.5%だった粗利は今中間期で57.3%と改善。通期の粗利計画目標53%を上回る。

売上比率は国内と海外が半々程度で、1円円高で通年約2.6億円の為替差損が発生。実際に中間決算も営業利益までは第一四半期と同じペースでの好調を維持したが、円高の影響で経常利益以下が失速した形になっている。今期想定レートはドル円で90円であるから、現在の水準で推移すると考えると今期予想は約10億円程度下ぶれる事になる。

同社をとりまく事業環境は悪くない。企業のIT設備投資回復期待に応じて、業績も好調を持続できるだろう。ネットワーク関連のPC周辺機器については医療向け中心に法人営業を拡大。今期も国内営業拠点を増やして、積極的に取り込みに行く。個人向けも無線LANiPhoneiPad等の端末による需要増で順調とみる(ちなみに筆者もコレガの無線LANを購入)。

期初予想を大きく上ぶれた中間期の営業・経常利益だったが、同社は下期の景気減速懸念と為替動向の不安定さから通期予想を変更していない。確かに為替差損の発生する確率は大きいが、12月末までにはドル円も現在水準よりはマシになるであろう事も加味すると、いささか保守的な見通しであると思われる。最終的には上方修正となってくるだろう。

10年12月第三四半期予想(KA.Blog) 単位:百万円 

売上   28000
営業利益 1800
経常利益 700
当期純益 550
9月末想定為替レート1$=85円

営業拠点の増加に伴う費用負担が一巡し、営業利益までは順調に回復を見せると見られる。第三四半期で上記数字を達成できれば、通期売上400億、営業利益25億すら夢ではない。ただし為替次第では、そこまで頑張ったとしても経常利益以下は期初予想より少し上のレベルだ。過度な期待は持てない。

有利子負債は前期末に比べて8億円近く増えてしまったが、営業キャッシュフローは改善されているので差し支えないレベルである。有利子負債比率も30%未満なので問題ないと思われる。流動比率も200%とファイナンスの心配は無いだろう。

指標面では特段割安感は無い。予想PERは28倍台、PBRも1倍を超えており、市場平均と比べるとやや割高に映る。


【株価推移】
低位株に属するため、動きはやや仕手めいている(余談ではあるが筆者がかつて所属した証券会社の顧客にも同社の仕手筋が存在していたが、基本的には失敗していた)。であるために値動きは荒い。2004年以降半年で株価が5倍化→1/5→5倍化→1/5を繰り返した。

しかしその後は役員によるインサイダー発覚や、MSCBの乱発により投資家の信用を失墜。発行済み株式総数が直近4年で75%増加し、1.5億株と膨らむ。リーマンショック後の大暴落期には資金繰り不安も囁かれ、一時29円という上場来安値を更新した。

その後は自社株買いや復配によって株価は戻り歩調。昨年5月からは実質的にずっと自社株買いが続いている格好になっていた。ただ丁度先週で足元の自社株買い終了を発表。金曜はその反動が大きく出た。目先需給バランスの均衡点を探る動きになると見る。


【テクニカル】
流動性は大きい。足元でのトレンドは下落転換しており、一旦7/2の大陽線形成時に空けたわずかな窓104円〜106円を埋めに行く動きになると見る。また上値は自社株買い期間中は137・8円が上値の限界となった。ここを抜けるのは容易ではない。

今回の自社株終了後の下落により、上値には随分としこりが残ってしまった。またこの先は特段株価を上昇させるようなカタリストも無い。円安になっても、特に円安メリット銘柄として受け取られない存在であり、具体的な上方修正などという目に見える形でのIRが出ないと、上値の重さは払拭できないだろう。

上記のような理由から、当面はこの水準のボックス圏相場になると見る。業績は本業が順調であるため、全体相場が今くらいの水準を保つのであれば、下値も100円を割ることは無さそうだ(後述のように自社株買い期待もある)。

買いのタイミングは株価が100円台に突入した際で、また為替に円高一服感が出た時が良いだろう。具体的には9月中旬頃にそれらの条件が整うのではないか。


【需給】
信用倍率はヒストリカル的に見て特に増えているわけでもない。むしろ自社株買いにより少しずつ減ってきている。ただしそれでも日々の出来高から見ると多い水準だ。これらが先々上値を押さえ込む要因にもなる。

足元では自社株買いが終わってしまった。しかしここ1年の流れを見ると、株価が100円を下回る場面では自社株買いを発動させて、緩んだ需給の引き締めを狙ってきている。財務的にももう少し余力はあると思われ、落ち着いてきた場面では再度の自社株買い取得もあり得ると思われる。


【同業他社比較】
メルコHD(6676)
PC周辺機器でシェアの大きいバッファローを傘下に持つ。こちらも4−6月期の決算内容は大幅な営業増益が好感されたが、株価は既に昨年1月から右肩上がりの上昇を続けてきていた。現在は織り込み済みとの見方から上値が重い展開になっている。予想PERは11.7倍と同社よりも割安だ。

アイオーデータ(6916)
個人向けのPC周辺機器に強みを持つ。11日に出た前期決算は黒字転換とやはり復調傾向。今期見通しも増収増益を見込み、予想PERは11.2倍。PBRも0.3倍と圧倒的な割安感を誇る。

プラネックスHD(6784)
以前レポートで取り上げたが、PC周辺機器を母体に、FX会社など多角的なサービスを提供している。やはり無線LANルーターの売上が伸び、情報通信機器部門は黒字確保。同ジャンルは足元好調だ。こちらは利益の大部分が金融事業によって占められているので、指数的な比較は意味が無い。


これらを考慮すると、業界環境はやはり良いようだ。足元では企業のIT設備投資意欲の高さが感じられる。ただしこれらの企業に比べると、同社の収益力は低いと言わざるを得ず、相対的な比較では弱い印象を受ける。


【課題】
事業面では本業の回復には申し分が無さそうだ。しかし為替の影響が大き過ぎる。これのせいで他社と比較すると収益力にリスクが生じる。説明会では「こればかりは我々ではどうしようもできない」と言っていたが、リスクヘッジなどに更なる工夫をすべきではないか。

営業方針としては国内拠点を開発して、地方向けの販路拡大に注力し、特に医療向けに注力していくとのこと。将来的には良いかも知れないが、まずは利益が出るまで時間がかかること、そして医療も含めて地方の疲弊が激しいため、思うような利益に結びつかないリスクが挙げられる。その辺りをどうこなしていくか。

前述のような理由で投資家の株式に対する信用は薄い。一度落としてしまった投資家の信頼を回復するのは容易ではない。昨今は自社株買い・復配の実施で少しずつ信用を回復しつつあるが、まだまだ市場の需給は緩い状況だ。取得した自己株の消却などを積極的に行って、更なる信用回復に努める必要がある。

※株式投資は自己責任でお願いします。文中の内容は現時点で予測できる範囲で想定されたものであり、投資成果を保証するものではありません。