KA.Blog

株式市場で気になる銘柄をピックアップして分析、検証していきます。主に中期~長期の投資で成果を上げ、値動きを追っていく予定です。株の他にも日常の話題やコーナーで綴っていき、むさくるしくない(?)ブログにしていきたいと思っています。

シミック(2309)のアナリストレポート

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3ヶ月以内投資判断 「やや買い」
買いのタイミング  現在
3ヶ月以内株価予想 1400円〜1650円

要点
・会社計画の達成は問題なさそう。下期の業容拡大に対する人員増のコストアップも吸収し、CROに偏らずバランスよく各事業を拡大することで成長持続へ。
・株式価値やアナリストの評価的には株価はやや割安なポジション。同業他社比では概ね妥当な水準。
・テクニカル的には1500円を超えられるかどうかが焦点。
・M&Aで規模の拡大を続けるしかない、というのが頭打ちを迎えつつあるCRO、SMO業界の悩み。規模の面では同社が他社に比べて有利。


【企業概要】
新薬の臨床試験受託業務(CRO)ではトップクラス。足下では医薬品受託製造(CMO)に力を入れ、売上ベースではCROとほぼ同水準の規模に。医薬品営業受託(CSO)と合わせて3本柱体制を目指し、各事業の有機的な連結が強み。韓国・中国と海外拠点も備えて、臨床試験などの効率化に取り組む。買収に積極的。


【業績】
前期は増収増益。増配も果たす。10年4月より子会社化したシミックCMOが寄与し、CMO事業が本格稼働。同事業の売上が前期比倍化すると営業利益も黒字化達成、増益に大きく寄与した。CSO事業も大幅に伸びて貢献。

今期も増収増益の見通し。シミックCMOも通期寄与。医薬業界のアウトソーシング化によるコストダウンの時流に乗り、事業環境は良好。CRO事業に関しては市場環境の変化による伸び悩みが予想され、まだ成長が見込まれるCMO事業・CSO事業を育てていく方針。5年後には全体で売上1000億円を掲げる。

5日に発表された第三四半期決算での営業利益進捗率は90%と順調推移。景気に大きく左右されない安定的な業態から通期見通し達成は確実視されており、投資家の目線は来期業績へ。


11年9月期予想(KA.Blog)単位:百万円
売上   44200
営業利益 4200
経常利益 4100
当期純益 2300

会社のアナウンス通り、下期は業容拡大のための人員増により原価率や販管費が増。ただ売上の増加分できちんと吸収できるものと思われる。来期はそのコストアップ分に対する収穫期待から、一段の増収増益に期待。

伸び悩みが心配されているCRO事業に関しても、規模のメリットからシェアは次第に大きく獲得していけそう。ただし全体のパイが小さくなる中では、利益率も徐々に小さくなっていくため、CMO事業の受注獲得が一段と求められる状況に。

有利子負債は94.2億円で前期比11.8億円増加。現預金は75.1億円で有利子負債比率(有利子負債÷自己資本)は56.3%。比較的有利子負債の少ない業界の中では、借入は大きめの印象。流動比率(流動資産÷流動負債 ×100)は180.1%と財務状況はまあまあ良好。フリーキャッシュフローも16.8億円の黒字。

ファイナンスの可能性は低そう。M&Aは引き続き積極的に行われていくものと見られるが、買収に向けた前向きな増資ならば、株価に与える悪影響も小さそうだ。


理論株価
買収価値を示すEV(時価総額−現預金+有利子負債)は274.8億円。今期予想EBITDA(営業利益+減価償却費)は59億円であり、結果EV/EBITDA倍率は4.7倍となる。同業他社の平均値がおよそ4.9倍と見立てられるが、それらを元に計算した理論株価は1511円となり、現状の株価は事業価値分析上は割安と捉えられる。


【第三四半期決算を受けたアナリストの評価】

野村證券 投資判断「ニュートラル」 目標株価1520円
投資判断は中立継続も、目標株価は5月に続き引き下げ。中期的には大手CROへの受注集中は続くとの見方は変えていないが、下期にかけて業容拡大のための人員増が従来想定以上に見込まれ、短期的に業績モメンタムは悪化。

大和証券CM 投資判断「2」 目標株価1880円
CRO事業の受注高が大幅に増加、来期以降の継続的な業績拡大を期待。

いちよし 投資判断「A」 妥当株価1980円
業績の順調な拡大見通しに変化なし。

総じてアナリストの見方は現在の株価が妥当か、やや割安に見ている評価。


【業界を取り巻く話題】
SMO(治験支援)業界トップは、同社子会社のサイトサポート・インスティテュートだが、9月のIPOイーピーミント(6052)が2位。IPO前後で同業界に連想買いが拡がれば、同社にも少しは思惑買いが期待できる。


【株価推移】
02年にJASDAQに上場してから2年で東証2部、1年で1部へとトントン拍子で出世。ただ株価は東証に上場してからは右肩下がりの流れに。業績はほぼ一環した右肩上がりなものの、成長ペースが緩やかで評価が低かった。

前期にCMO事業の拡大から業績が急拡大したことに合わせて反転の機運が高まると、株式の20分割をきっかけに反転を確たるものに。その後は震災や世界的な株価暴落の中で値を崩しても、ディフェンシブ性を背景に値持ちが良い。


【テクニカル】
2/7の第一四半期決算発表を受けて株価が200日線を上回ってから、震災や世界同時株安を受けて一時下回る場面があったものの、強力な抵抗線として下値を支え続けている。一方上値は3/29に付けた大陽線の上端に抵抗力が感じられるように、概ね1200円前半〜1500円でのボックス圏で終始している形。

ただ9日の長い下ヒゲ形成が需給を一気に好転させて、ボックス圏突破のきっかけを作ったようにも見える。すかさず持ち合いの中に戻ると、株価のディフェンシブ性も背景にスルスルと値を戻し、足下では一転持ち合いの上限に達している形。

特に19日の動きは5日線に支えられる格好で強含み、18日高値を抜いてきたところに期待が持てそう。そのままズルズルとボックス圏内に引き戻されなかったことで、2/21・5/6高値を結んで形成される上値抵抗線(現在では概ね1450円辺りに位置)を抜けそうな印象。

MACDは好転しており、緩やかな上昇トレンドが継続中であることを示唆。一目均衡表では雲の薄い部分を突破して、遅行線も実線を上回り、基準線と転換線が同値であるがほぼ三役好転と言って差し支えない形。パラボリックも好転している。

一方でストキャスやDMIは暗転しており、ボリンジャーバンド+2σも1470円辺りに位置。一旦上値はその辺りで抑えられそう。短期的には軽い押し場面が来週出てくるかも知れないが、1400円台を保てば75日線も再度上向いてくるため、下値は次第に固まってきそう。これらは週足でもほぼ同様の傾向が読みとれる。

1450円を上抜くと今度は1500円という厚い壁が上値を抑えそう。来週は1470円辺りで一旦頭打ち→1450円前後での軽い日柄調整→1500円トライ、となって、そこでもし抵抗力の強い1500円さえ上抜くことができれば、新値3本足にも大きな陽線が描かれることで、株価は次のステージへと移りそうだ。

ただ、元々値動きの小さい銘柄であることから、極端な上値追いは期待薄。あくまで緩やかな上値追いが続く形を見込む。一方秋口以降為替が円安反転してきた場合、相対的に上値も重くなりそうだ。翌期見通しが出る11月の本決算発表までは、トレンドを大きく変化させるきっかけはなさそう。


【需給】
信用倍率は1倍台で、差し引きの買い残も日々の出来高の範囲内であり、特段需給の重石要因になるような印象はない。一方で日証金は売り長の状態であり、逆日歩が付いている。買い方有利の展開が続くものと予想。

6月下旬から約1ヶ月半の間横ばいが続いた1400円台前半の価格帯が下値を固めている印象。ここを割り込まなければ需給バランスは大きく崩れないだろう。

また2月の分割発表時高値1562円(分割考慮前31250円)から半年が経過して、信用期日を無事通過。もっともこの辺りは今回は期間内に震災があったこと、また分割権利落ちに絡んだ売買から、実質的にはとっくに改善しているはずである。事実、4月時点で信用倍率は既に1倍台に改善されている。ただ心理的、名目的な効果が一定量期待できそうだ。


【同業他社比較】
同社の予想PERは13.7倍、PBRは1.6倍。予想ROEは10.9%、予想営業利益率は8.8%、配当利回りは1.9%となっている。同業他社はどういう状況だろうか。


EPS(4282)
医薬品開発サポート大手。9月IPOのイーピーミントの親会社。売上規模は同社の3/4水準。
予想PERは14.4倍、PBRは2.5倍。今期予想営業利益率は14.1%、予想ROEは16.7%。有利子負債よりも現預金の方が多いため実質的には無借金。配当利回りは1.9%
同社に比べて成長性・利益率・財務状態などは同社に比べて良い。その分株価が相対的に高い点はうなずける。


アイロムHD(2372)
SMO事業を中心に、医薬品の製造販売を手がける。売上規模は同社の1/3程度。
予想PERは10.6倍、PBRは1.2倍。今期予想営業利益率は3.9%、予想ROEは10.4%。有利子負債比率は190.5%。無配。
同社に比べて利益率、財務状況が悪いため、株価はその分割安に置かれている格好。また株式的な流動性の低さ、需給の重さなども絡む。


メディサイエンスプラニング(2182)
CRO中心。売上は同社の1/5。
予想PERは7.6倍、PBRは1.6倍。今期予想営業利益率は7.1%、予想ROEは21.0%。有利子負債よりも現預金の方が多いため実質的には無借金。配当利回り3.5%。
同社に比べて資本効率が良く成長性はあり、財務状態もしっかり。配当利回りも高い。ただ株式的な流動性が低く、その分割安に放置されている印象。
 

同業他社と比較すると、株価は概ね妥当な位置にあると言える。資本効率や利益率が低いのは、人員増のコストアップに因る部分も大きい様子。



【課題】
引き続きM&A戦略を積極化していくべき。CRO、SMO事業の売上があと1年程度で頭打ちとなるのは業界共通の認識。それ故に各社共に規模の拡大を図るためこぞってM&Aを重ねており、同社も手を緩めるわけにはいかない。

現状、規模の面で同社が他社をリードしている点が最大の強み。財務面などではやや他社に劣るため、現状の体制をしっかり固めたいところ。一方で現状の円高、世界的な株安局面はM&Aには魅力的な環境であり、多少無理をしてでも業容を更に拡大しておくべきチャンスかも知れない。

またこのように事業環境が飽和状態の中では、自身が顧客を作り出すような動きも必要であろう。すなわち創薬ベンチャーに対する出資などで新薬の開発を促し、顧客として取り込む形である。

こちらも多額の資金を要することになり、投資と事業拡大の両輪をバランス良く維持していくことが重要。経営陣にはその辺りの俊敏な判断が求められることになりそうだ。そうでなければ5年後に売上を2.5倍にする計画は、絵に描いた餅に成りかねない。


※株式投資は自己責任でお願いします。文中の内容は現時点で予測できる範囲で想定されたものであり、投資成果を保証するものではありません。