KA.Blog

株式市場で気になる銘柄をピックアップして分析、検証していきます。主に中期~長期の投資で成果を上げ、値動きを追っていく予定です。株の他にも日常の話題やコーナーで綴っていき、むさくるしくない(?)ブログにしていきたいと思っています。

東光高岳HD(6617)のアナリストレポート

今週のお題「秋においしい“甘いもの”」
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※今まで毎週レポートを更新してきましたが、有料銘柄診断の方が増えてきたことや、個人的に他に手間を取られることが増えてきたものですから、8月以来ぱったり作成できなくなっていました。今後も今の状態が続き、少なくとも年内は1ヶ月に一度程度レポートを出せれば良い方と考えています。

従いまして無料銘柄診断に関しましてはリクエストは随時承りますが、すぐにはお応えすることができません。ご迷惑おかけ致しますが予めご了承ください。


12年9月30日現在
3ヶ月以内投資判断 「中立」
買いのタイミング  中間決算発表前後、もしくは何らかの材料が報道された際
3ヶ月以内株価予想 1000円〜1600円


要点
・業績に関してはそれぞれ保守的であり、会社計画を上放れる公算。ただし利益率が低いため、早期に統合効果を実現することが課題。
・統合前のウエイト整理などから売りが膨らんでいるものの、それら特殊要因が除かれることによる売り一巡感から、大底確認後は上放れやすい。材料次第では大幅高も。
・EV向けの急速充電設備においては普及計画が緩慢。政府に働きかけて普及を一気に広め、同分野でのイニシアチブを獲得する必要がある。また、新興国の社会インフラ整備にも一枚噛みたい。


【企業概要】
東京電力(9501)系で電力流通・システム制御などの機器製造や取り替え工事を行う東光電気(6921)と、同じく東電系で柱上変圧器や電気自動車(EV)用充電器を手がける高岳製作所(6621)が経営統合し10月に誕生。新社長が東電元常務ということで、天下りに対する物議も。


【株式キーワード】
東京電力、節電、スマートグリッド、スマートメーター、チャデモ(EV向け急速充電器)


【業績】
両社単純統合ベースでは、今期は増収増益の公算。第一四半期決算は共に増収増益となり、無難なスタートを切った。

東光電気に関しては、東電向けの売上が落ち込む中で、一般市場向けに対する製品の比重を高めることが命題に。節電需要やスマートメーター、配電自動化システム等の新市場に広がりを見せるところでは事業環境は悪くないものの、海外からの競合圧力に晒されるところでもある。

一方、高岳製作所に関しても電力会社、特に東電依存度が売上の約半分と高く、足下は何とか更新・修繕需要があるため業績はしっかりしているものの、先々を考えると次第に尻すぼみの状況が懸念される。スマホ向けの伸びから基板検査装置事業を拡大していく計画。

両社は重複する事業が少なく、今回の統合はスケールメリットを拡大し競争力を増すためのものとの見方が強い。東電以外の電力会社の顧客獲得に向けて攻める一方、海外の低価格な変圧器・開閉器メーカーが、日本の電力会社の独自規格を満たして入札に参加してくるのを迎え撃たなければならない。

ただ、新社長が東電系ということで、引き続き東電と一蓮托生である体質は変わり無さそう。経済産業省からは「(東電と東光高岳との)随意契約はもう許されない。入札も個別に厳しく政府で見たい」と警戒されており、今後の距離感が課題に。

12年9月中間(※統合後の4−9月期)予想(KA.Blog)単位:百万円
売上   43000
営業利益 1170
税前利益 1270
当期純益 570

東光電気、高岳製作所共に会社計画は保守的な傾向があり、業績はしっかりとした数字を残して統合後の会社に引き継げる感じではある。統合効果は来期以後徐々に出していきたい。


有利子負債は両社計で57.8億円
有利子負債比率(有利子負債÷自己資本)は同23.5%
現預金は同135.9億円
流動比率(流動資産÷流動負債 ×100)は同201.5%で前期の201.5%と横ばい。

有利子負債比率は小さく、実質的な無借金であるため、財務体質は良好。


フリーキャッシュフローは前期同27.2億円の赤字

両社共に東電絡みの仕事が減ったことで利益が減少し、営業キャッシュフローも減少。結果、両社共に赤字転落となった。


粗利率は同20.4%で、前の期の20.0%より改善。
予想ROAは同3.3%で、前期の3.1%から改善見込み。

両社共に前期から東電絡みの仕事が落ち込んでいるため、今期からは他の比率を上げることで利益率を維持。統合後は利益率の一段の改善が期待できる。


ファイナンスに関しては財務体質も良く、当面は行われないものと見る。


【株価推移】
統合発表があった4/26以降、両社共に一旦は好感されたものの、統合比率が決定するとそのまま右肩下がりの展開に。以降は両社共に統合比率に沿って連動した株価推移となったが、持株会社の新規上場に備えたリバランスの売りが上値を抑える形になっている様子。新規上場に向けて信用取引が規制されたことなど需給要因が重なった。

地合や決算内容は特に意識されることなく、そのまま年初来安値更新の動きに。テーマ性の高い材料が出ても、信用取引が出来ない中では相場が長続きしなかったところも痛い。


【需給】
3月以降右肩下がりの株価推移になっていたため、上値のしこりが意識され需給は総じて悪い感じ。投資家は旧東光電気、旧高岳製作所の株券を引き継ぐため、それぞれの取得単価は交換比率によって異なってくる。

割当比率がそれぞれ0.195株、0.1株となっていることもあり、旧東光電気の株主は端株が発生することになる。一般的に端株分は買い増しせずに売却される傾向が強いため、その分の売りがそれぞれの経路を辿って最終的には市場に売り出される形になるものと思われる。それが新規上場後の売り圧力を呼び込みやすい。

また、新規上場後に改めてリバランスの売りが出てくることも考えられる。将来的には東電による保有株売却リスクも根強い。ただ売り一巡感が出るのも近そうで、ここから改めて売ってくる筋も減少するであろうことから、需給は一転引き締まってきそう。

チャートも一新されることから、底値確認後の上昇幅は大きくなってくる可能性がある。今風の材料性が高い銘柄であることから、売り圧力の低下に伴って材料が出た際には大きく吹き上がりやすい。


【同業他社比較】
市場での最終売買値から算出した理論株価による予想PERは12.9倍。PBRは0.5倍
今期予想営業利益率は両社単純合計で2.9%、予想ROEは同4.0%
配当は未定
同業他社と比較すると、それぞれどのような位置付けだろうか。


明電舎(6508)
発電・変電・制御装置を手がける。その他下水処理施設などの社会インフラ事業に強みをもち、海外案件の取り込みも積極的。スマートグリッド関連も。

予想PERは15.3倍、PBRは1.2倍
今期予想営業利益率は4.3%、予想ROEは8.5%
有利子負債比率は107.7%
配当利回りは1.9%

株式価値的には同社に比べて割高。有利子負債も多い。利益率は同社に比べて高いものの、特に大きな差はなく、統合効果で利益率が高まればすぐに上回れそうな感じ。


大崎電気(6644)
電力量計では国内トップ。同社と同じくスマートグリッド関連株としてはやされる。子会社にはFPDを手がける大崎エンジニアリング(6259)。

予想PERは11.2倍、PBRは0.7倍
今期予想営業利益率は4.8%、予想ROEは4.3%
有利子負債比率は86.5%
配当利回りは2.6%

株式価値では同水準程度ながらも、利益率などは同社よりも若干上手。どちらかというと今期は子会社に足を引っ張られそうな感じ。低価格のスマートメーターを開発し、同社の強力なライバルに。


日新電機(6641)
住友電工(5802)系の電力機器メーカー。スマートグリッド関連株としてはやされる。スマホ、タブレット用液晶製造装置や太陽光用パワコンなど、材料性が豊富。

予想PERは11.3倍、PBRは0.9倍
今期予想営業利益率は7.6%、予想ROEは7.4%
有利子負債比率は8.9%
配当利回りは2.2%

株式価値では若干割高ではあるものの、その分利益率、財務体質などは良い。材料性も豊富で、株式市場的にはウケが良い銘柄。


シンフォニアテクノロジー(6507)
電子精密メーカーで、半導体・液晶搬送装置などを手がける。高岳と同じチャデモ関連株。またスマートグリッド関連としても材料性。

予想PERは18.1倍、PBRは0.9倍
今期予想営業利益率は3.1%、予想ROEは4.2%
有利子負債比率は147.9%
配当利回りは2.0%

株価的には同社に比べて割高。財務体質も悪く、利益率に関してもそこまで長けているわけではない。


他社との比較では同社の財務体質は良好なものの、利益率の悪さが目立つ。統合効果で早期実現がカギ。


【課題】
スマートメーターなどの国際競争入札の実施により、今まで東電の庇護下におかれていた時よりも厳しい環境にさらされる。今回の統合はそれを見越したものではあるが、上述したように、利益率の一段の向上及びフリーキャッシュフローの黒字化が課題。新経営体制下で聖域無き構造改革を速やかに実現し、東電に頼らず利益を出せる体質にしなければならない。

東電との適度な距離感を保つためにも、他の後ろ盾が大株主に欲しいところ。富士電機(6504)はGEと組み、東芝(6502)はスイスのランディス・ギアを買収し、共に日本の価格の1/3〜1/4と言われるスマートメーターを国内向けに投入しようとしている。

それに抗するためにも日立(6501)や三菱電機(6503)といった大手総合電機メーカーに接近し、資本関係を結ぶことができれば、業績・財務共に安定感を増すことができる。

後ろ盾を厚くすることで、将来の海外展開力もつけていきたい。特に電力関連の設備が整っていない東南アジアやインドといった新興国に対し、官民挙げてインフラ整備に協力することで「日本流」を持ち込むことが可能となる。海外での需要を作り出せれば、同社は一気に飛躍することが可能になる。

また注目のEV向け急速充電設備に関しては20年にまで全国4000カ所と伝わっているものの、官民挙げての普及に尽力する必要がある。ガソリンスタンドは現在全国に37000カ所存在するが、8年かけてもその1/8程度では物足りない。EVの普及そのものが難しそうだ。

そしてあまり時間をかけ過ぎると、ようやく利幅が取れるようになったところで参入企業が次々と出てくるのがオチ。その間海外で「チャデモ」以外の新しい規格が出るリスクも高まる。あまり時間的な余裕が無いため、特に政府に働きかけて早急な普及を一気に押し進める必要がある。

電力供給スタンド自体は、電気自動車以外にもスマホなどのモバイル端末の充電拠点としてのニーズがあり、社会インフラ的にも必要な施設である。電気自動車自体も、住宅の予備電源として機能させることができる取り組みも進んでいる。我々の新しい未来予想図を描くために、同社の存在意義は今後益々大きなものになっていくであろうと思われる。

※株式投資は自己責任でお願いします。文中の内容は現時点で予測できる範囲で想定されたものであり、正確性や投資成果を保証するものではありません。