KA.Blog

株式市場で気になる銘柄をピックアップして分析、検証していきます。主に中期~長期の投資で成果を上げ、値動きを追っていく予定です。株の他にも日常の話題やコーナーで綴っていき、むさくるしくない(?)ブログにしていきたいと思っています。

フュートレック(2468)のアナリストレポート

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14年7月20日現在
3ヶ月以内投資判断 「やや売り」
買いのタイミング  新事業の立ち上がりなど新規材料が表面化した場面、もしくは450円割れで
3ヶ月以内株価予想 400円~700円


要点

・依存度の強いドコモ向け、利益率の高い音源・カード事業で苦戦。上場来初の「減益・赤字・無配」に。ただしテーマ性は豊富
・昨年5月の高値以降、丁度半年おきに高値で出来高が増え、しこりを作る。足元も先般の急騰場面でしこりを作ってしまい、目先は整理売りをこなす必要性。
・他業界での音声認識技術活用を提案し、ドコモ向け依存度を減らして事業リスク分散を図りたい。


【企業概要】
音声認識・アプリケーション開発が主軸。ライセンス事業が売上の9割を占め、そのうち音声認識・UIソリューション事業分野が7割。ドコモ(9437)と密接で、ドコモ向け売上が全体の2/3。アクロディア(3823)と資本・業務提携。また富士通(6702)と組んで富士通が提供するクラウドサービスに採用されている。マザーズコア指数構成銘柄。


【業績】
前期は減収減益。前の期に発生したドコモ向けサービス「しゃべってコンシェル」関連の特需が剥落し、売上は全部門でマイナスとなった。


今期も減収減益で上場以来初の「減益、赤字、無配」の見込み。利益率の高い音源・カード事業の売上減少が響く。一方で主力の音声認識事業の収益化がGoogleAppleの無料化の波に押され遅れ、また、規模の拡大も想定ほどには至っていない。

今期から2年間は踊り場と認識し、再成長のため新事業の創出に力を入れる。その第一弾として年内をめどにiPhoneなどで録音した音声データを文書ファイルにするサービスを始める。同サービスに強いアメリカの会社に出資し、英語、スペイン語など7カ国語に対応したサービスを提供。3年後に3億円の売上高を見込む一方で、人件費などの費用負担増の吸収を急ぐ。

また主力音声認識事業選択と集中を進め、収益化を急ぐ。足元で注力しているのはカーナビ向けで、自動車特有のノイズ対策を施しながら改良を重ね、既にパイオニア(6773)の製品に採用されている。また今後身につけるデジタル機器「ウエアラブル端末」への組み込み、今後成長が見込まれるロボット産業での採用、学校でのタブレット端末の普及が進む教育事業への開拓に営業の力点を置く。

その他音声入力式日報作成アプリが各金融機関などへの導入実績があり、今後の成長性に期待をかける。


15年3月期第一四半期予想(KA.Blog)単位:百万円
売上   400
営業利益 -200
経常利益 -205
当期純益 -210


利益率の悪化、人件費の増加などを見込んで第一四半期は大きめの赤字が出てきそう。ここをボトムに業績の立て直しを図る。


有利子負債は5.0億円で、前期から5.0億円増加。
有利子負債比率(有利子負債÷自己資本)は15.0%
現預金は27.8億円
流動比率流動資産÷流動負債 ×100)は777.7%で前期の668.1%と改善。

有利子負債比率は小さく、実質的な無借金。IT関連企業らしく財務体質は良好。


フリーキャッシュフローは2.1億円の黒字

前の期に比べて利益が減ったことや売掛金が増えたことなどで営業CFが減少。一方、有価証券の売却などで投資CFの赤字は縮小。トータルでFCFの黒字は前の期より減少した。


粗利率は67.6%で、前の期の69.4%より悪化。
予想ROAは-7.1%で、前期の10.4%から悪化の見込み。

利益率の高い音源・カード事業の減少が響き、利益率は悪化。


ファイナンスに関しては財務体質も良く、当面は行われないものと見る。


【株価推移】
05年末の上場時は新興バブルの真っ直中で分割考慮5025円まで上昇した。しかしその翌月に発生したライブドアショックによって株価は急降下。一気に1/25程度の水準にまで叩き売られた。

その後は12年まで概ね500円前後で低位安定し、その間に業績を積み上げ。同社の技術がドコモ向けに採用されたことなどの材料から買い上げられる場面があったものの、ドコモのiPhone参入などもあって失速。業績が一気に悪化してきたことで、株価も再度下値を目指す動きに。

今年に入って5月の本決算で赤字転落が示されるとストップ安から叩き売られる流れに。その売りが出尽くして戻り局面にあったが、今月に入ってアメリカ企業に出資し新サービスを開始すると伝わると、期待感からストップ高を見せる場面も。足元はそこからの調整局面にある。


【テクニカル】
長期的には昨年5月の高値以降下値切り下げの流れが続いており、下落トレンドを維持。ただ13年2月、6月、8月、10月、今年の4月の安値を結ぶ下値抵抗線を5月の決算発表で勢い良く下放れ。その反動もあって、足元では戻り歩調が強まっている。

先般のストップ高で開けた窓を埋め短期的な調整一巡感は出つつあり、75日線による下値支持が期待される一方で、75日線自体は未だ下落が続いていることからやや頼りない印象。一方で上値は52週線が頭を押さえる形になっており、7月高値もそこまでで押さえられている。

日足ではMACDパラボリックは暗転。一目均衡表はかろうじて雲を上回っているものの、下支えとなる雲が薄いためやはり頼りない。ここを割り込んでしまうと三役逆転の形に。ストキャスは割安感が出ている。一方週足ではMACDパラボリック共に好転しており、一目均衡表は上値を押さえる雲まで距離があるため、戻りやすい環境にはある。


【需給】
昨年5月の高値形成以後は下落トレンドが続いており、総じて悪い流れに。特に短期的には先般のストップ高で上値に大きなしこりを残した格好に。

このしこりが昨年5月高値の週(出来高385万株)、今年1月の戻り高値の週(同300万株弱)、そして7月高値の週(445万株)と丁度半年毎の信用期日に重なっており、そのサイクルで捉えるなら足元は再度半年かけた下落トレンドに入っていると見るのが自然な形。

信用買い残は差し引き82.3万株で昨年4月の水準まで取り組みが悪化。日々の出来高に比べて大きく、この返済売りが上値を抑える要因になりそう。


【同業他社比較】
同社は今期赤字見通しで、PBRは1.5倍
今期予想営業利益率は-18.9%、予想ROEは-9.9%
配当は無配
同業他社と比較すると、それぞれどのような位置付けだろうか。


アドバンスト・メディア(3773)
音声認識技術「AmiVoice」を開発。au向け「おはなしアシスタント」に採用される。

今期は赤字見通し、PBRは3.5倍
今期予想営業利益率は-9.1%、予想ROEは-3.3%
有利子負債比率は14.6%
配当は無配

株式的にも同社のライバル企業。こちらは長年営業赤字が続いており、音声認識技術の収益化の難しさを物語る。今期の利益率に関しては同社よりマシであるが、PBRでは割高。


フューチャーアーキテクト(4722)
情報システムのコンサル・開発。子会社のアセンディアがPC用音声認識ソフトなどの開発・販売を手がける。

予想PERは11.4倍、PBRは2.0倍
今期予想営業利益率は12.0%、予想ROEは17.5%
有利子負債比率は11.8%
配当利回りは2.9%

業態は大きく異なるため参考。安定的な利益を出しており、配当利回りは高い。


NJK(9748)
NTTデータ(9613)の連結子会社。子会社で音声認識などの認識技術に特化したオリジナルパッケージ開発及び販売事業を行う。

予想PERは15.4倍、PBRは0.5倍
今期予想営業利益率は4.6%、予想ROEは3.3%
無借金経営
配当利回りは2.3%

こちらも業態的には大きく異なるため参考。東証2部銘柄で流動性も低いため、割安に放置されている。


ACCESS(4813)
携帯や電子書籍向けの閲覧ソフト開発。ドコモが筆頭株主

予想PERは112.7倍、PBRは0.7倍
今期予想営業利益率は3.0%、予想ROEは0.6%
無借金経営
配当は無配

事業内容は異なるが、かつてのドコモ依存度の高さが参考。iモードが下火になるにつれ業績が悪化した。足元では何とか電子書籍向けに活路を見出しつつある。


完全な比較対象とできるのはアドバンスト・メディアのみになるが、共に赤字見通しで厳しい業界環境を映す。ここまで利益を積み上げてきた分同社の方に優位性があるが、ACCESSのように上手く手持ちの技術を新しい顧客向けにカスタマイズしていけるかどうかが今後の焦点である。


【課題】
ドコモ向けの依存度の高さを早急に解消し、事業リスク分散を図る必要がある。しゃべってコンシェルはiPhoneのSiriに対抗する形で導入されたものの、当初は物珍しさもあって話題にはなったが、現状ユーザーにとって必須の機能とは成り得ていない。ドコモ自体のAndroid端末シェア減少も続く中で、他業界での活路を見出したい。

家電への音声認識技術導入に対しても同様で、あくまでメーカー側の付加価値創製に一過性の需要があるに過ぎない印象がある。作り手側の自己満足に終わっているケースが多い。

今後は音声認識技術が社会にとって自然でかつ必要な存在にできるか、メーカー側に有効な活用方法を提案できるかがカギになると思われる。


【総合評価】
業績の踊り場懸念、特に株価的には需給バランスを大きく崩していることで、何らかの材料が無い限り株価は上向き辛い環境にあると見る。

音声認識技術はGoogleAppleと言った世界最大手が開発し、無料で提供している点は大きな逆風ではある。ただ法人が構築するサービスの中で、特にセキュリティや専門性などが求められる分野において、全て無料の技術だけで対応するわけにはいかない。むしろ無料化により社会インフラに自然に組み込まれ、ユーザビリティが向上すればプラスである。今後家電やウェアラブル端末、教育などの分野での成長性は十分期待でき、過度に悲観する必要は無さそうだ。

さらに日本語の場合は多数ある同音異義語の存在などが障壁となっているため、認識率は60%~80%程度(同音異義語が少ない欧米系言語では90%)とされ、参入障壁の高いジャンルではある。

今後例えば議事録の作成がコンプライアンス重視の流れで義務化などになれば、同社の活躍する場は一気に拡がる。また訪日外国人の増加などで音声認識技術の重要性が増してくる流れもあり、テーマ性としては様々な可能性を秘めていると言える。

よって現状の業績・需給状況、またマザーズコア指数の過熱感から中期的な株価の方向性としては「やや売り」とした。ただ新展開の手掛かりは見えている分、長期保有であれば買い持ちしてみたい銘柄ではある。


※株式投資は自己責任でお願いします。文中の内容は現時点で予測できる範囲で想定されたものであり、正確性や投資成果を保証するものではありません。