防衛大学校入校話の続きです
http://www.ric.hi-ho.ne.jp/joeshow/KA.Blog/20200531.html
点呼が終わると「容儀点検」なるものが実施されました基本的には月曜の点呼の後は容儀点検があり、一週間の始まりをビシッとした服装で過ごすためのチェックがなされます一学年の最初の頃は、基礎を身につける意味合いもあって基本毎日行われます容儀の乱れは心の乱れ
容儀点検でチェックされるのは基本的に「作業服にシワが無いようにアイロンがけがなされているか」「靴はちゃんと曇りなくピカピカに磨かれているか」「着こなしがきちんと出来ているか」がポイントです。チェックは4学年が行うのですが、特に最初は別小隊の4学年に厳しくチェックされました同小隊の4学年だと甘くなりがちなので
「容儀点検」が開始となると、まずは「休め」の姿勢で自分の番が来るのを待ちます目の前に4学年が立つとすかさず「気を付け」そこで上から下までなめるようにチェックされますそして「回れ右」と言われると180度回転し、今度は背後を隅々調べられます視線が物理的な圧力を伴っているかのように、チクチク刺さる時間です
そしてもう一度「回れ右」を命じられ、改めて4学年と正対すると、審判が下りますそこで例えばシワがあれば「プレス(アイロンがけ)不備」と言われ、それを指摘された1学年は大声で「プレス不備」と復唱します。
その他にも「短靴の磨き不備」とか「着こなし不備」、最上級は「全部不備」とか色々ありますが、やはり一発目ですから色々難癖付けられて全員落とされるのが通過儀礼です基本的にアイロンがけは同部屋とアイロンを奪い合いながら、丁寧にやりますからそんなに露骨なシワがつくはずもありません。それを着る時にちょっと曲げたりしてしまうとシワになってアウト、というケースはありますが
で、実際の私はどうだったのか。勿論不備でしたしかも最初は背は低いけれど合気道部の怖い4学年にターゲットにされ、徹底的に狙われました「お前、これでプレスしたと言えるんか」などと詰め寄られます。
しかも作業服に縫い付けた名札の「糸」の間隔が大きいと指摘。なかなか説明が難しいのですが、縫い付けた糸と隣の糸との間隔に関して、ボールペンの先っぽが入るようではアウトなのです普通のミシンで縫うよりも細かい間隔で、もう絶対に名札が作業服から剥がれないように細かく細かく細かく縫い付けないといけないのです。しかも糸が極力わからないように。多分うちの母親もここまで細かいのを手縫いでやったことはないのではないかというレベル
というわけで、自分では細かく縫ったつもりでも「おい、ボールペンの先が入るぞ」と指摘されると、そこから胸の名札を引きちぎられましたそして投げ捨てられ「お前はプレス及び名札不備だ」と宣告され「プレス及び名札不備」と復唱。気持ちはどん底に沈んでいました(つづく)