防衛大学校入校話の続きです
http://www.ric.hi-ho.ne.jp/joeshow/KA.Blog/20201119.html
「カスってる」人の大きな特徴は「ブレがある」こと。シバきの基準がブレているので、この時は大丈夫だったものがこの時は地雷であるとか。ある人はやっても大丈夫なのに、この人がやったらダメだとか。要は「気分屋だな」というのがあります
I君が捕まって私が許されたのも、たまたまその気分だったのでしょう。それからまた数日が過ぎて、結局私は○○さんに「再逮捕」されました何をしでかしたかは忘れてしまいましたが、「消灯後、オレの部屋に来い」と呼び出し。
消灯後に呼び出すというのは、この世界では「違法」です消灯後はきちんと就寝し、翌日のために鋭気を養い、万全な状態で業務をこなすのも責務だからです。しかしカスってる上級生に、そういった道理が通用するはずもありませんそれ故、消灯後の呼び出しは、より深刻で凶悪な懲罰を意味しました。普段以上に気合いを入れて挑むことになります
「入ります」
普段通りに勢いよく入室要領の動作を行い、上級生の部屋に入ります。消灯後なので、室内は闇と静寂の支配下に置かれています外灯の光がわずかに部屋の中に入り込み、○○さんを背後から照らします。元々背の高い人でしたが、人型の輪郭がぼんやりと机のところで仁王立ちしている様が見えました。こういった恐怖心を過剰演出するのも、Sっ気のある人ならでは
深夜なので「声をおとせ」と言われ、普段よりも抑えた調子で一連の入室要領を終えます。○○さんの同部屋の方は普段大人しい常識人でもありますが、ちょっと気の弱そうな感じもある人。なので二人から責められることは無いと思っていましたが、一方でちょっと○○さんの暴走を抑えフォローしてくれないかなという淡い期待もありました。
ところがその同部屋の方は「あぁ、また始まったか」というような感じで黙って室外に出て行ってしまいました私としては唯一のセーフティーネットが切れてしまい、期待が霧散5月で比較的暖かい日が続いていましたが、氷室に心を閉じ込められたような薄ら寒さを背筋に覚えながら、これから起こる出来事の覚悟を決めていました(つづく)