いよいよ書くネタも尽きつつある防衛大学校話の続きです。
http://www.ric.hi-ho.ne.jp/joeshow/KA.Blog/20210504.html
先に「同期で殉職した者は居ない」と書きましたが、それは部隊に配属されてからのお話。実は学生の際に、しかも1学年の時に2名の同期を亡くしています。
一人は事故で。というのは彼は山岳部に所属していたのですが、夏休みを利用した校友会活動の一環で、たまたま私の住む富山県の立山登山に行っていたのです。そこで滑落し、命を落としてしまいました。当然全国ニュースにも出る大事故でした。
同行していた同期の女子学生は隣の中隊の女の子だったので話したこともあったのですが、彼女も滑落して大ケガを負い夏休み中はずっと入院。私も帰省中にその事故を知り、本当はお見舞いに行きたかったのですが、どこの病院かわからなかったので断念しました。退院後もしばらくはリハビリが必要な状態で、訓練などは免除されていました。
そしてもう一人は残念ながら自殺です。秋~冬にかけての頃だったと思いますが、学生会館の屋上から飛び降りたということ。遺書は無かったようで、同部屋などの話から、やはり上級生による厳しい指導に耐えかねて、突発的な行動だったのではないかとされています。
自衛隊には警察の代わりに警務隊という独自の警察機関があり、敷地内で起こった事件の捜査権があります。そのため外部のニュースになることもなく内々に調査され、処理されます。私が在籍していた4年間で自殺はこの1件のみでした。
ある土曜日の朝です。土曜なので、起床ラッパを気にせずに寝ていられるはずでした。しかし起床ラッパの代わりに鳴ったのが非常呼集のラッパ。先にも書いたように、非常呼集はぶっちゃけ事前に「ありそう」という空気があるので、無警戒だった我々は完全に不意を突かれました。ドキッとして跳ね起き、同部屋に「おい、非常呼集だ!起きろ!!」と促します。
ところが非常呼集ラッパの後に続いたのは「学生は着替える必要は無い。ジャージ等で構わないので直ちに舎前に集合せよ」というアナウンスでした。よもや土曜の早朝に起こされるとは思わず、上級生なども「なんだよー」と不機嫌そうな表情。ぶつぶつ言いながら眠い目を擦りつつゾロゾロと集まってきました。(つづく)