KA.Blog

株式市場で気になる銘柄をピックアップして分析、検証していきます。主に中期~長期の投資で成果を上げ、値動きを追っていく予定です。株の他にも日常の話題やコーナーで綴っていき、むさくるしくない(?)ブログにしていきたいと思っています。

枯れざくら~昔の防衛大学校物語 日陰者

いよいよ佳境の防衛大学校話の続きです。
http://www.ric.hi-ho.ne.jp/joeshow/KA.Blog/20210504.html

任官拒否に関して「契約違反」だの「税金泥棒」だの色々批判があるのは感情論としてはわかります。多分私も防衛大学校に入っていなければ無責任にそう言っていたと思います。ですからまるで「抜け忍」や「前科者」のように後ろ指を指されないよう、その後の人生ではその事実を隠しながら生きていかないといけないのかも知れません。

ただ現実的な面から考えると、任官拒否というのは学生のみならず自衛隊にとっても必要な制度だと思います。一番大きい理由は、それで組織として健全な状態を保てるからです。ご存じのように公務員は規則を守り犯罪など起こさない限り、無難にさえ過ごすことができれば「クビ」はありません。また降格処分もありません。

幹部自衛官が有能でやる気があるならば問題はありません。しかし私のように適正が無いと自覚している人間がリーダーシップを取り続けることは組織にとって有害です。そう自覚し、やる気が無くなった人を縛り付けておいたらどうなるか。やる気の無さは他人に伝染しますし、ましてや命のやりとりをする非常にセンシティブな組織ですから、大きな事故に繋がる可能性があります。

自衛隊も常に人手が足らず、充足率が低いまま回っている組織で猫の手も借りたいのは事実です。しかしだからといって(原因は人それぞれ違いますが)モチベーションや使命感が著しく低くなってしまった者を引き留めて、無理に連帯感を求めても上手くいくはずがありません。自発的に組織から去るシステムを用意しておくのは必要でしょう。

先に殉職の話を書きましたが、実はもう一件「自殺未遂」の話もありました。これも同期の話なのですが、卒業を控えた4学年の時に突然消息がわからなくなりました。点呼で人数が合わない「脱柵」です。

単位を取ってもう自由な時間がある4学年は、空き時間を使って彼を探すようにと指令を受けて、私も構内を探しました。防衛大学校の敷地は訓練もするので、日本一敷地面積が大きい大学なのです。それ故、人の目が届かない場所がたくさんあります。

やがて彼は見つかりました。どこで見つかったかというと、敷地を離れて海岸沿いに海上要員の訓練施設があるのですが、そこで入水自殺を図ろうとしたのだとか。元々精神的に不安定感のある人物でしたが、幹部自衛官になることに対して何らかの不安を持ち、思い悩んだということでした。

記憶が曖昧なのですが、確か事情が事情なので「事故」扱いにはならず、また卒業も近かったので温情で「放校」ではなく任官拒否の形で卒業となったはずです。こういう彼のように追い詰めないためにも、もう少し任官拒否はオープンであっても良いように思います。

ちなみに任官拒否者は卒業式には出られません。なので有名な「帽子を放り投げて駆け抜ける」ようなこともできません。次に進む陸海空の制服を着て、後輩に見送られながら正門を出て行くことは出来ず、校内で私服に着替えて裏門からひっそりと出て行くのです。厳しい4年間を耐え抜いたのに寂しい最後になりますが、まあこれは仕方無いですね。

(※この件に関してはまだ書き足りていないので、反論がある方は最後まで読み切ってからにしてもらえると助かりますが、いずれにせよ誰かを説得しようとする意図は無いので議論する気はありません。所詮感情の話ですからわかり合えることはなく、時間の無駄です。ブログは「俺様メディア」なので、好きなことを書かせてもらっています。意見のある人は自身のブログなりSNSなりでご自由に書いてください。というわけでつづく)