前回の娘のお泊まり会話の続きです。
陽が暮れてきて、花火の時間になりましたまだぼんやりと陽が残っているくらいの薄明かりなのですが、あまりに真っ暗の中で花火をやるのも危険なので、毎年これくらいの時間にやるようです。毎年買っている花火問屋さんが今年はコロナの関係で花火が仕入れられないということで、急遽ネットで買ったという花火はやや火力強めのものでしたが、子供達には大盛況
一方、その頃。子供達が花火に目を奪われている裏側でイソイソと「火の神」の衣装を着込む私他のお父さんが私をさりげなく囲んで、園児達にバレないように隠してくれます。
頭に被ったヴェールが目元にかかり、やや視界を遮ります。また着た衣装も裾が長く、踏んづけてしまいそうになります。「これでたいまつ持って歩いたら危ないんじゃないか」と焦りましたが、そうこうしている間に花火が終わり本番開始。先生が「あ、向こうから火の神様が現れましたよ」と言うと、園児達の視線が一斉に私の方に刺さります
丁度その時間帯には陽も随分落ちて闇の支配力が高まってきていた頃合い。たいまつを右手に掲げ「厳かにゆっくりと」歩みを進める私こと「火の神」。キャンプファイヤーの薪を中心に円陣を作って座っている園児達の目の前を、一周ぐるりと回って、指定された位置に戻ってきます。歩いている最中に「あ、○○(娘の名前)ちゃんのパパだ」とクスクス笑われ、すっかりバレバレの私
「皆さん、目の前の炎を見つめてください」暗記したセリフ通りに喋る私。無駄な抵抗ながらも声色を変えて、荘厳な趣きを演出してみます。ただやはり暗闇に炎という、非日常的なシチュエーションは大人でも感じるように、それまでキャッキャッと騒いでいた子供達も神妙な感じになります。なので、余計に緊張感の高い空間になってきます。ヘマは許されません
幸い、他のお父さんに揶揄されながらも必死に覚えた甲斐があり、「皆さん、火遊びは絶対にしてはいけませんよ」と、つつがなく最後のセリフを言い終えることができましたそれから他の4人のお父さんのたいまつに火を移し、5本のたいまつに灯が点ったところで、キャンプファイヤーの薪にくべます。すると炎が闇夜に立ち上り、楽しいキャンプファイヤーの時間の始まりです。
そこで私はお役御免。皆が炎に夢中になっている間にそっとフェードアウトして、衣装を脱ぎました(つづく)