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日経平均は本日続落。前日のNYは高安マチマチ。NASDAQは下げたものの、ダウやS&Pにはここまでの下げの一服感が出ました。原油安を特段嫌気する向きも無く。
それを受けた日経平均も朝方こそ買いが先行。ただ特にユーロで円高が進むと、次第に売りが優勢になりました。中国元が引き続き安く4年半ぶりの水準で始まると、またリスクオフムードが台頭。中国自体は大株主の株式売却凍結延期が報じられたこともあってプラスで推移するものの、日本の方はお構いなしに円高・株安モードに。更には前引け前に北朝鮮で核実験か、というような報道もあって、一段と下げ幅を広げました。
昼には北朝鮮による水爆実験の成功報道を受けて、先物は一時18000円割れ。後場は日銀のETF買いや、外のアジア株式がそこまで下がっていないこともあって下げ渋りの動きを見せました。引けで18200円は回復できなかったものの、後場の高値圏での引けに。売買高は20億株台、売買代金は2.4兆円台と前日よりは膨らみました。大発会から3日連続安は95年以来の記録に。
投資判断は「やや売り」。本日はまた一時パニック売り的な動きを見せ、防衛関連株が急騰する反面、Appleの減産や為替の円高進捗を受けて特に電子部品株が弱い動きでした。
Appleは昨晩のNY市場でも弱く、前回もAppleに話の中心を絞って色々書きましたが、根本的に次の革新的なガジェットを生み出せないのが致命的でもあります。ただ今回の減産報道は本来次の新製品(iPhone6c?)販売を予感させることで、地合が良ければ前向きに捉えられていたものと思います。
Appleの株価下落はアメリカ株式市場に大きな影響を与えるので、単なる一社のミクロ的な話と片付けるわけにはいきません。日本株同様にアメリカの各指標も一時10月以来の安値水準を付ける場面があり、チャートの崩れが確定的となっています。
長いスパンで見ると、アメリカ株は09年から既に6年間上昇が続きました。7年目の昨年はマイナスにはなったものの、後で「実は押し目だった」と振り返られるかも知れません。ただ前回の02年~07年までの5年間の上昇を抜いてきており、そろそろ感が出てきてもおかしくはありません。
そしてここまでの株高の原因は偏にアメリカの緩和策でした。QE、QE2、QE3がこの6年間の株高を生み出してきたことは、今更に言う必要も無いでしょう。それが大転換したのですから、それでも尚買われるには新たに別の買われる理由が必要です。
それは何でしょうか?アメリカの経済成長がちゃんとはまれば誰も文句無いでしょう。今のところ確かに数字的にはアメリカの経済成長持続の流れが見られます。ただ、その「持続性」に対して、あまり自信を持って「買いだ」と言い切れる人は少ないのではないでしょうか。事実、原油安が起きても売られるような足元の弱さです。シェールが出ても原油を輸入するアメリカにとって、原油安はプラスのはずです。
一番困ったのは、世界的に緩和が効かなくなってきていることです。どんなに中央銀行が利下げをしてもデフレ圧力が抜けきらない、というのは実は日本だけの話ではありません。欧米でも物価は上がりにくくなっており、インフレ率は目標の2%に届いていません。結局、ITがもたらす慢性的なデフレ圧力(または賃金を欲しないロボットが人間の仕事を奪う現実)が、次第に実体経済を蝕んでいるように思います。
またアメリカでもQEでばらまいた分のお金がきれいに市中に流れているわけではありません。グローバル化した企業がより金利の安い国で借りることもできますし、そもそも既に大量に現金を保有しているので、借りる必要が無いからです。
実際、昨年12月の下落の発端はECBの追加緩和にありました。追加緩和を実施したのに「まだ足りない」ということで下げ始めました。その後アメリカの利上げで一瞬持ち直しかけたところで、日本の「準」追加緩和策が足りないとまた売られる流れになりました。もうだいぶ緩和というモルヒネが効かなくなってきており、身体がより強い薬を求めてマヒしているような状態です。
ということは、アメリカも今回利上げしたので(今後は利下げというカードを一枚手に入れたから)弾が一発補充できた・・・というロジックはあまり意味を持たないような感じになってきました。何故なら結局その弾は効かないからです。これからまた5年程時間をかけて、身体にモルヒネが効くような健康体に戻さない限り、緩和できることそのものに意味が無いように思われます。
勿論、利上げそのものに意味が無いとは決して言いません。ただそれは長い目で見て意味あるものであり、ここ1、2年というスパンで見ると「正常化のために耐えるべき時期」という段階になることがわかります。
では次に中期に見て今年の話に絞っていきますと、まずアメリカでは大統領選挙という大きなイベントがあります。ここ最近は共和党と民主党が8年交代で政権を担当してきたので、次は共和党の番・・・であるはずなのですが、今のところトランプさんの暴走が目立つだけで、共和党も手を焼いているような感じです。
私が昨年取材してきたアメリカでは、冷静に第三位候補のルビオ氏が最有力視されていました。今やっている世論調査は有権者のほんの数パーセントを対象にしているに過ぎず、論じるに値しないそうです。また、例年まだ選挙というお祭りを面白おかしく楽しむ段階なので、真面目に考えている人は少ないそうです(まだ選挙まで日があり、主張が二転三転する可能性が強いため)。一方、民主党の方はヒラリーさんで当確な感じ。そのため、まず現段階で実現可能な政策に対応した期待感が高まる段階ではありません。
対して日本の方も選挙が夏にあります。今回参議院で自民党が21議席増やせれば、憲法改正に障害が無くなるため、そのために高齢者に3万円ばらまいて票を買収する方向に話が行っているわけですが、ともあれ全て選挙にターゲットを絞って政権の目が向いていると言えそうです。逆に言えば選挙までは与党は全力を尽くすと言えますし、また夢を見られやすい時期なのかも知れません。
そのもっと前の段階ではどうか。とりあえずまず1月の相場展開は下方向に見ています。12月の弱さが続きそうですし、実際にやっと年末の3日間が掉尾の一振で買われたくらいで、日銀金融政策決定会合以降は弱いまま。誰も1月相場に期待していません。まあしていない分、買われる余地があるとも言えるのかも知れませんが。
今度は株式の需給面で話をすると、例年1月はNISA枠ができるので、個人投資家は入りやすいと思います。特に12月結構下げましたから、個人投資家の買いは出てきそうです。
一方、外国人投資家は昨年トータルでも、また最近でも売り越し基調できています。また、信託銀行もここ最近は売りが目立ち、GPIFを頼りにした買いにも限界が来ている印象です。ゆうちょ銀行の預金枠を1000万円→1300万円に増やしたので、ちょっとゆうちょ絡みの買いは増えるかも知れませんが、それはもっと先の話。
となると、さすがに個人投資家の買いだけで今の相場を支えられるとは思えません。オイルマネーもすっかり引き上げてしまい、それが戻ってくるには少なくとも原油価格の安定というバックボーンが必要です。特に日米共にびっくりする程の暖冬ですから(NYは最近少し寒くなったようですが)、灯油需要すら増えません。この辺り、原油価格が簡単に上がる雰囲気はありません。
やはり日本株が上値を取るには上値を積極的に買う肉食系投資家の存在、それは逆張り好きの個人やGPIFといった国内勢ではなく、外国人投資家の復権が欠かせません。そうでない限り、日経平均2万円回復は夢のまた夢です。
日本株に関しては大発会以降、空売り比率40%超えが続いています。昨年同様、空売り比率が高水準となると継続性があるので注意が必要です。
また今週末にSQを控えることから、SQ前の水曜ということも多少は影響したのかも知れません。ただ、本質的には海外にあまたの不安要因があるので、デリバティブ要因が強く影響しているという見方は適当ではないでしょう。
新興市場は「中立」。本日は両指数共に軟調。外部要因や為替などに影響されにくいマーケットで、今一番元気な(押し目買いを狙いやすい)個人投資家の主戦場ですから、マザーズ指数は今年に入って逆行高が続いていましたが、前回も書いたように東証1部がぼこぼこにされれば、新興市場も無事では済みません。本日はさすがに力尽きました。
個別ではラクーン(3031)の出来高が9000万株に迫り、同社の発行済株式総数1800万株を実に5回転させる大商い。フィンテック関連はさくらインターネット(3778)や本日新たに材料視されたJトラスト(8508)など「なんだかよくわからんけど、新しい材料だ」と、わからない分余計に買われます。ブロックチェーンがなんだか説明できる人はほとんどいないでしょう。
まあそれでも上手く売買できる自信があるなら乗ってみるのも良いでしょう。勿論自己責任であればどんな売買をしようと自由です。そういう肉食的な元気な部分が残っている間は、マーケットも死んでいないと言えるのかも知れません。
・・・とか何とか書いているうちに、文字数制限にかかってきたので今回はこの辺で。
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※株式投資は自己責任でお願いします。文中の内容は現時点で予測できる範囲で想定されたものであり、正確性や投資成果を保証するものではありません。