KA.Blog

株式市場で気になる銘柄をピックアップして分析、検証していきます。主に中期~長期の投資で成果を上げ、値動きを追っていく予定です。株の他にも日常の話題やコーナーで綴っていき、むさくるしくない(?)ブログにしていきたいと思っています。

誤解です、五回。

先日、風邪で弱りながら仕事も終わり、18時頃に電車で自宅へ帰る時の事です。

いつもこの時間帯は帰宅する人たちで満員なのに、人身事故の影響で私の乗る電車は更にギュウギュウ詰めの状態でした。ただでさえ弱っている体にそれはそれは酷な状況でした。そんな私たちを乗せ電車は走り出します。

私の前には50過ぎ位の太めのおばちゃんがいました。電車が動き出して間もなく、おばちゃんは私の方を振り返り、今にも舌打ちせんばかりの嫌な顔を見せます。

その時、私はこのおばちゃんが何に対して不愉快なのかわかりませんでした。ギュウギュウ詰めで私の体が当たってるのが嫌なのであれば、私だってあなたに押されているのだからお互い様だし、おばちゃんにくっついていたくはないですし、万が一にも痴漢だ等と言われたら救われません。

おばちゃんは顔を前に向き戻し、電車はしばらく走ります。そのうちまたおばちゃんがこっちを向いて先ほどと同じ嫌な顔を見せました。

もう一体何やねん!私は内心イライラしていました。私がしているヘッドフォンから音が漏れているとか何かか?でも結構音は下げて聞いているし、音漏れしないヘッドフォンを選んで結構満員電車に気をつかっているつもりです。しかもその時聞いていたのはバラード調の大人しい曲で、恐らくは漏れていないと思います。電車のガタゴトする音の方が良く聞こえる位だし。そんな顔で見られたらギュウギュウ詰めの状態と仕事の疲れと風邪で具合が悪いのに益々気分が悪くなる!!

電車が次の駅にようやく到着しました。そこが私の降車駅だったので、扉が開いて降りる人の流れに乗り、そのまま私も一緒に降りようとしました。そしたら袖をグッと捕まれ、何事かと思って振り返った私に一言
「あんた口の中でくちゃくちゃするの止めてくれる?あんたはヘッドフォンで聞こえないかも知れないけどさぁ!」

はぁ?私はその時ガムを噛んでいたわけでもなければ、何か食べていたわけでもない。むしろギュウギュウ詰めの状態に耐えるために歯を食いしばっていた位です。どっからそんな音が出んねん!!

百歩、いや千歩譲って無意識に何か口を動かしていたとしましょう。でもそれは体調が悪くて唾液がいつもと違う感じで出ていたか何かだったと思われます。また、私は数年前、顎を痛めて顔の形が変わる位の大手術をしています。それで唾液の腺が変わってしまった可能性だってあります。

そんな事情を知らない癖に無神経な人だと思ってかなり腹が立ちました。そんなこと今降りようとしている人間を捕まえてまでわざわざ言うことか!?私は聖人君子ではないので「お前の化粧臭さの方がよっぽど迷惑なんじゃい!ボケッ!!」と思いましたが、具合が悪すぎて何も言えないまま電車を降り、今に至ります。

そんな電車での愚痴をネットで公開しつつ、今日の小説の前フリとしました。品のない話ですみません・・・

               台風一過

第五節 眠れる森の名探偵

上司を含めマイカー組は何とか通常通り出社できたらしい。しかし地球に優しい鉄道組は全員遅刻を余儀なくされた。結局私が何とか会社に着いた頃には昼を過ぎていた。それでも尚出社できていない(あるいは意図的にサボった?)社員がほとんどであった。今日はとても営業できる状態ではない。

飲料メーカー大手である我が社の中で一番のヒット商品は缶コーヒーのシリーズで毎年数億本売れている。CMには癒し系と言われている有名女優を起用し他社の追随を許さない。皆我が社の缶コーヒーを飲んで一息入れて欲しい。

ところがそのコーヒーを飲んでも一向に気持ちが静まらない人物がいた。先ほどの電話の相手である上司の平井である。営業企画部長のくせに、それでは宣伝に説得力がなくなるではないか。
「ええい、どいつもこいつも!ただでさえこのクソ暑いのに!」

業界大手である我が社も今年はクールビズが採用されていた。ノータイなのは結構としても、冷房の設定温度が28℃であるから、上司の熱は充分に下がらない。今日は御陰様で仕事にはならないようであった。

「平井さん今日は一段と機嫌が悪いわね」
同僚の伊東藍である。彼女とはオフィスは同じであるが所属部署は異なっていた。彼女は経理担当である。

ここだけの話私たちは社内恋愛をしている。まあここだけの話といっても、半分以上職場の人間には知れ渡っており、特に不倫だの略奪愛だのといった際どい愛の形ではない。至極普通のお付き合いをさせていただいている・・・といったところである。

「まあ、今に始まったことじゃないけどね。」
とだけ答えてお互い自分の仕事に戻った。あまり余計なことばかり言っていると平井にどんな怒りの口実を作ることになるか知れたものではない。

というわけで今日に関して言えば出社することが仕事であるかのようであった。仕事が全く進まなかったので逆に残業もなかった。今日みたいな日に残業をして帰れなくなったらたまらない・・・

17時過ぎには会社を出た。帰りも覚悟はしていたが、やはり電車は不通のままであった。何とか運行再開にこぎつけたと思ったらまた人身事故の繰り返し。長時間待ってようやく電車が隣の駅に到着・・・と思えばまたストップの繰り返しであった。

諦めが早いのが私の自慢であることは既にお話した通りであるが、今回もその才能を如何なく発揮し、駅から歩いて数分のカプセルホテルに泊り込むことにした。やれやれ、愛しの我が家に帰れる日は来るのだろうか・・・

その数分の行程でカプセルホテルへ向かう道の途中でさえ、数え切れない程何台もサイレンを鳴らしながら走るパトカーや救急車とすれ違った。そしてその後、同数の、いやそれ以上の霊柩車とすれ違うことになるのかも知れない。眠らない街、コンクリートジャングルと言えばハードボイルドタッチであるが、物騒な世の中だと一言で言い切ってしまうと味気ない。

諦めの早い私の性格のお陰でカプセルホテルの一室を確保できたわけであるが、もう少し遅れていれば野宿する必要があったのかも知れない。同じような境遇におかれたサラリーマンたちでカプセルホテルは満員御礼であった。平日の、しかも都心から若干離れたこんなカプセルホテルが満室になるなんてまずないであろう。

とりあえずテレビをつけニュースを見る。やはりトップはこの異常な事件の続報であった。今日だけでついに300件以上の人身事故があったそうである。しかも都内だけで。投身自殺のケースもあるようだが、大半はやはり誰かに突き落とされて死亡しているのであった。犯人が逮捕されたケースもあり、未だ逮捕されないケースもあるようだった。これだけ目撃者や人がいるのに犯人がすぐ捕まらないのも都会の悲しいところだ。やはり東京砂漠である。

さらにというか、やはりというかニュースはそれだけでは終わらなかった。昨日に続き品川や新宿、池袋等といった各地域で通り魔事件が多発したとのこと。また、近所トラブルでの殺人事件、家庭内殺人事件、といった殺傷事件がおびただしく続発しており、キャスターもどの事件をピックアップすれば良いのか四苦八苦し、心持ち早口で原稿を読み上げているようでもあった。

実は今朝のニュースの段階でも結構な数の事件が発生していたようだ。昨晩にも路上で若い女性が襲われ、深夜のコンビニが破壊され・・・と報道されていたようであるが、寝坊した結果、それらの情報発信を受信する余裕がなかったのである。これだけ通信メディアが発達しているにも関わらず、である。

それにしても皆どうしてしまったのだろうか?何かが起きているということは漠然とながら皆等しく感じていることである。だが、何が起きているのか説明できる人間は現段階で恐らく日本には、いや、地球上にも一人もいないのではないか?やはりテロの線が強いか。人の神経に作用する化学兵器が知らぬ間に散布されているのではないか・・・と、昨日と同じように考えていると猛烈な睡魔が襲ってきた。なるほど、名探偵は良く眠れるんだな・・・(つづく)