KA.Blog

株式市場で気になる銘柄をピックアップして分析、検証していきます。主に中期~長期の投資で成果を上げ、値動きを追っていく予定です。株の他にも日常の話題やコーナーで綴っていき、むさくるしくない(?)ブログにしていきたいと思っています。

閉鎖的な国から '17帰郷 中編

どうもその不二越事件に関しては、皆ヤフートップニュースのタイトル「富山県人は閉鎖的だから採らない」という一行だけ読んで、やれ「正論だ」「皆そう思っている」などというネットのコメントを見かけます。私も見なければ良いんでしょうけれど、ついつい気になって見てしまい、イラッとします。

前回も書いたように、そこは富山県人自身も皆認めているところです。なのに、この話題が出る度にネットで富山県人の閉鎖的な体験談などが県内外から一々書き込まれて、まるでセカンドレイプ状態です。

また、私自身は不二越が東京本社に一本化するという話自体は心情的には残念ですけれど、まあそれはそれで会社側の経営方針ですから外野がとやかく言う話ではありません。折角本社所在地が不二越町という町名にまでなって、地鉄の駅まである最恵国待遇なんですけれど、それはまあ仕方無いですね。

地元のYKKにしても、あるいは同じような機械業態のファナック(6954)や安川電機(6506)、スイスのABBに至るまで、地方で頑張っている企業はたくさんありますが、まあそれは各々の経営方針ですからね。後の結果を見て判定することはできるかも知れません。

今回の問題点はそこではなくて「富山県人で東京の大学に行かないヤツはホワイトカラーでは極力採用しない。だけどブルーカラーなら採用するけどね」というくだりです。

ちゃんと全文を読んで、そこを議論しているとこが極めて少ないです。有識者と言われ、某有名経済誌などに記事を寄せている人ですらその程度。「会長の言うことは正論だ」「グローバルの時代だから優秀な人材を確保するためには当然」と、擁護する記事が並びます。

中には「富山県全体で不二越を叩いていること自体が閉鎖性の証拠」なんて書いている記事もありました。はぁ?そりゃそういう発言があれば富山県知事を始めとして一言言わずにいられないでしょうし、富山労働局だって「不適切」って言いますよ。言わない方が怠慢でしょう。

まあ世間を斜めから俯瞰したようなことを書けばクリック数が稼げると思っているのかも知れませんし、今後も広告などを貰う付き合いがある関係上、ポジショントークが必要なのか知れませんが。とにかく中身はありません。

全部の議論が「富山県人が閉鎖的か否か」「優秀な人材を確保するためには狭い地域から踏み出さないといけない」という部分に集約されているのですが、今回わざわざ「富山県人は極力採用しない」と地域指定で言われているのです。

不幸にも富山県で産まれてしまった場合で不二越様にどうしても入社したい場合は、会長が居なくなって方針が変わるか、唯一逃れるには「東京(あるいは海外の)大学」に進学しない限り、その重い十字架は外れないのです。

これは今の人手不足のご時世、なかなかチャレンジングな発言です。まるで今まで不二越は人を見て採用してきませんでした、出身地を鑑みて採用してきました、と公言しているようなものです。これを聞いて、今会社のために必死に働いてる従業員は果たしてどう思うのか?

まあ幸い、アメリカのトランプ大統領がどんなに政治を停滞させてもアメリカ株が高値を更新し続けるように、会社はトップがアホでも何とか上手くいきますから、これが不二越の業績に影響するとは思いませんが、なかなか不見識な発言です。(つづく)