KA.Blog

株式市場で気になる銘柄をピックアップして分析、検証していきます。主に中期~長期の投資で成果を上げ、値動きを追っていく予定です。株の他にも日常の話題やコーナーで綴っていき、むさくるしくない(?)ブログにしていきたいと思っています。

拝啓、田中芳樹先生

私が大好きで、かつ尊敬している小説家は田中芳樹先生であります。「銀河英雄伝説」が代表作かつ出世作でいらっしゃいますが、これは私が中学生の時に読んで度肝を抜かれた作品でした(××)およそ一人の人間がこんなことを思いつくのかーと、読みながらも目からウロコが落ちっ放しでした(T_T)それから先生の作品は全て購入しています。

一方、先生は「遅筆」で有名であられます。というのは、出版のペースが大変遅く、シリーズ物の場合、次回作が出るのに随分間が空くという傾向があります。

その中で最たる物は「アルスラーン戦記」シリーズですが、当初先生は全14巻で完結される予定でお書きになられるとのことでした。7巻までで1部完結、8巻から第2部ということで、第一部までは比較的順調に刊行されていました。

ところが第2部開始辺りから、その「遅筆」ぶりを如何なく発揮され、9巻が出た後でピタリと続巻が出なくなりました。9巻が出たのが私が高校生の時。それから時は流れ6年後の1999年、ようやく10巻が刊行されました。

それから再び6年の歳月は流れ・・・先月ついに第11巻が発刊されたのでした(T▽T)高校生の私が三十路になりつつあります(××)勿論私はすかさず購入しましたが、10巻までの中身をすっかり忘れてしまったので、再度読み返す必要があります。そして、このペースでいくと全14巻が完結するのは18年後、すなわち、私も50近くになってしまう恐れがあります(-。−;)

確かに良質な作品を仕上げるために妥協せずにじっくり時間をかけてコトコトと作り上げていただいた方が嬉しいですが、6年はちょっと(・・;)できれば先生、もう少しペースを上げていただければと思いますm( _ _ )mアルスラーン以外の作品も十分面白いですが、私の性格的には一つずつ作品を仕上げていっていただければ有り難いです。他にも「創竜伝」、「タイタニア」(こちらは他の作家さんに後を託されたようですが・・・)等「宿題」はたくさん残っておられますので・・・

というわけで、私の文体はかなり先生の影響を受けています。ただし、内容は先生の書くものと真逆ではないかなと思っています。もっともレベルもプロとど素人ですから真逆ですが(-。−;)

そして、私が先生と同じ悩みを持つのは大変恐れ多いことですが、最近締め切りに追われる作家さんの気持ちがわかるようになってきました。毎週日曜にわずか2ページ分ずつ書き上げるのも厳しくなってきております(;^_^A

そしてこの前携帯が壊れてしまい修理に出したのですが、通勤中とかに思いついたアイデアや表現等のストックが全部消えてしまいました(T△T)そのうち作者ネタ切れのため休刊日となる日が来そうです(・・。)ゞ テヘ

そんなスリリングな展開も背景にあるということをご理解いただいた上でお読みいただければと思います。前回までの分は毎週日曜のブログを確認していただければと思います。

                  台風一過

第七節 安眠の日々はなかなか訪れない

突然夢から現実に引き戻され目が覚めた。腹筋が一気に収縮し跳ね起きる。全身汗でビショ濡れ、呼吸も荒い。嫌な夢を見たものだ。普段あまりこんなスリリングな夢は見ない。せいぜい小学生時代の友達と遊んだり、高い所から落ちそうになったり、テレビタレントと付き合っていたり・・・そういった類の夢がほとんどだ。古来中国では変わった夢を見る度に吉凶を占っていたようであるが、この夢は占うまでもなく良い暗示ではなさそうだった。

時計を見るとまだ午前4時。こんな時間に目覚めたのは嫌な夢を見たからだけではない。カプセルルームの外が異常に騒がしかったからだ。何人かの人の囁きや機械的な音が聞こえる。夢の最後でホームの端に寄ってきた人々のざわめきが目覚めても尚耳に残っていたが、その理由がわかった。一方そのせいで数瞬の間、夢と現実、人界と死界の区別が付かなかったが。

もう少し眠っている権利は何人たりとも侵すことのできない神聖不可侵な権利であるはずだが、一体誰が騒いでいるのだろう?ただ、今回の場合はむしろ救われた部分もあるのだが。

廊下とカプセルを遮断しているただ一枚のカーテンを開けてみる。既に私以外の宿泊客が各々カプセルから首を出して何事が生じたのか確認していた。その姿はまるで母鳥に餌を求める雛鳥のようにも見えて滑稽であったが、構成員は全て中年の男性であり、私もその一部であったから救われない。

廊下ではうつ伏せに倒れている男性が一人いて、その周りを警官が取り囲み、ホテルの支配人が事情徴収を受けていた。倒れている男性はこちらからは見え辛いが、まるでサスペンスドラマのワンシーンのように鑑識に写真を撮られていることや、線を引かれたり、テープが貼られている所から推測するに、既に死亡しているらしい。

騒ぎに気づいてカーテンが閉まったままのカプセルだった部分も開き、今や全員太陽が昇りきる前に起こされることになった。皆もこれから仕事があるだろうに。しかし私にはまた一つ不謹慎な考えが頭をよぎった。「今から警察の事情徴収があるだろうから、会社には公に遅刻していけるぞ!」

ところが警察は支配人に一言二言告げた後に慌ただしくホテルを飛び出して行った。どうやら現場の維持を支配人に指示し、次なる現場へと向かったようであった。猫の手どころか猫に寄生しているノミの手も借りたい程の忙しさなのではないだろうか。

太陽が昇るまでもう一眠り・・・できるほど、私の心臓には毛が生えていない。人が一人死んでいるのである。私が寝ていた至近距離で。しかも殺人事件であり、私の隣で寝ている男性が犯人であるのかも知れないのである。そしてこればかりは現実世界の出来事だった。頬をつねらなくてもわかる。

同じようなことをここに宿泊している人間の大多数が感じているようであった。ほとんどの人間がホテルから出る準備をする。私もこんな所にいつまでいても落ち着かないから着替えを済ませフロントへと向かった。フロントでは支配人が客から説明を求められ大忙しだった。一応他の階で寝ている客もいるわけであり、館内放送をかけてまとめて説明するといったわけにはいかないようである。

やはりというべきか、チェックアウトの際には身分証明書の提出を求められ、コピーを取られた。警察の要請であるらしい。後日落ち着いた時に事情徴収されるのであろう。皆応じる他無かった。応じない場合は自分が犯人であると言っているようなものであるから・・・。

ようやく外に出た時には太陽は少しだけ顔を出していた。空の端がほのかに水色に変わっている。相変わらずけたたましくサイレンの音はあちこちに響く。警察に比べれば少しでも眠ることができた私は幸せ者である。全く、この地域には一体何が起こっているのであろうか?変わらないのは無機物であるビル群と太陽だけであるようであった。そしてゴミを漁るカラスの群れがいつも以上に不吉に映った(つづく)