KA.Blog

株式市場で気になる銘柄をピックアップして分析、検証していきます。主に中期~長期の投資で成果を上げ、値動きを追っていく予定です。株の他にも日常の話題やコーナーで綴っていき、むさくるしくない(?)ブログにしていきたいと思っています。

通信業界群雄割拠の時代

今日は市場もお休みなので、ソフトバンク(9984)を始めとした通信業界を取り巻く環境について考察したいと思います。一応私は大学で通信工学というものを専攻していましたが、経営に関してはまた別問題ですので、あまり役には立たないかも知れないですね。

とりあえず今のソフトバンクの株価に対して弱気の私も孫さんのビジネスモデルに関しては全く異論を差し挟むつもりはありません。むしろ尊敬する経営者であります。日本で一大ブームを巻き起こしたインベーダーゲームのブームが過ぎ去った後、大量に余った基盤をアメリカに持ち込んで最初の財を築いたと言われています。その先見の明は若い頃からあったんですね。

よくソフトバンクの弱点として有利子負債の多さが挙げられますが、これだけ金利の安いご時世ですから、今の内に借りれるだけ借りて、将来のための設備を整える。大事なのはシェア獲得ですから、先行投資にお金をかける。これは十分理に適った行為だと思います。税金対策にもなりますし。

先日の会見によると「ADSLの営業利益は数十社で500億程度に対し、携帯電話事業は3社で1.3兆円」ということらしいですから、携帯電話事業は宝の山だと思います。余談ですが、私は銀行業も宝の山だと思っています。これらのパイをいかに既存企業から奪っていくかですね。

携帯電話事業は数年後新たに3社が加わることで競争が激化し、IP携帯ができると仮定。通話、通信し放題で月額2980円定額制が主流となるとして、人件費や設備維持費等を差し引いて1台あたりとれる正味の利益が500円としましょうか。全体で1億台契約がとれるとすると500円×12ヶ月×1億台=6000億円。一社あたり単純平均で1000億円の営業利益を生むことができるという計算になります。ADSLよりは全然入りが良いです。

後は最大手ドコモの牙城をいかに崩せるかがポイントになりますね。まあ孫さんならかなり良い勝負には持ち込めるのではないでしょうか。

・・・というのは実はとっくの昔から予想はついたわけです。確かに一つのハードルとして総務省が新規参入を認可するかどうかというのがありましたが、それは今までの総務省とのやりとりを見ていれば数ヶ月前には認可の予想がついたはずで、将来の収益にもある程度皮算用はできるわけです。

それなのに株価が7300円というのは何故か?単純に考えて東洋経済予想の7年営業利益200億円(携帯事業は抜きで)、携帯事業が軌道に乗る10年には控えめに見て500億円位としましょうか。それに携帯事業の営業利益1000億円プラスすると営業利益は3倍、つまり株価も3倍の2万円となっても良いはずです。

では何故将来の株価を織り込んでストップ高にならないの?というのは株価は実は2年程度までしか先を読まないからです。至極当たり前の事ですが、この先10年後にソフトバンクは通信ジャンルでNTTを抜いて天下を取っているかも知れないですが、その間に何が起こるや知れません。

ここでもう一つ別の仮定をしましょう。そもそも携帯電話が電話番号などを必要としないもう一つのモバイルの登場により駆逐されるというシナリオです。

ライブドア(4753)が必死に模索している無線LAN事業がスカイプとの融合で電話代タダのモバイルフォンと同様のサービスとなり、ライブドア無線LAN事業で謳っている「月額500円」で使い放題のサービスとの組み合わせで携帯電話の対抗馬となるとするとどうでしょう?

今後ライブドアはサービスの拡大と共に全国細かく無線LAN基地局を設置していくことになるでしょう。他の電波に干渉するような大きなアンテナを必要としないので携帯電話参入の認可も要りません。というよりも、形態としてはあくまで携帯電話ではないですから。エリアはどんどん拡大、端末も携帯電話型の端末が主流になり、最早他社の2980円の定額でさえ消費者には高く受け取られる状況です。

こうなってくると営業利益はぐっと減ります。ライブドアの1契約あたりの正味利益は100円程度ということになりましょうか。この場合、純粋な携帯電話会社(ドコモやau)は大打撃です。消費者は安い方へ流れるでしょうし、各社料金体系を下げないといけませんから。

そういった場合、ソフトバンクはまだドコモやauよりは比較的ダメージが和らぎます。というのはヤフーのサイトや各グループ金融機関等と相互利用による付加価値を加えることが出来る可能性がある分メリットがあるからです。

というわけで話をまとめますと、まず私は数年前から掲げているのですが、「長期で見て既存通信業界は弱気、ソフトバンクやライブドアのような新興通信は比較的強気」です。

ですが、短期的、中期的には先ほど挙げたように色々な環境の変化から波があると思います。更に別のシナリオとして外資が入り込んできて競争激化ということも考えられなくはないわけです。

今の時点で既に懸念されているように設備投資費もかかります。営業にかける費用もかかります。ADSL事業以上に投資が必要になってくるでしょう。

そう考えるとソフトバンクのビジネスモデルは好し、ただし不透明感が残るため、手放しで評価できないというのが市場での株価に表れているということになります。

特に携帯電話事業は初期投資が莫大にかかります。5年前の繰り返しで、一旦は営業黒字になったものの、次の年からしばらくは赤字ということになると、純粋に株価上昇が期待できるかというところは疑問符です。

となると視点を変えて、今回の携帯電話事業の新規参入により手放しで喜べるのはむしろ携帯電話通信用のアンテナを作っているような会社、例えば日本アンテナ(6930)等が潤うのでしょうね。長期的に保有される方にはお勧めかもしれません。

ですので、あまり期待を先行し過ぎると思わぬ大打撃を被ることになりますので、進捗状況や相場環境を見据えつつ、確実に投資をしていくことが当たり前ではありますが重要ですね。