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※投資信託は専門外ですが、一応取り上げてみました。投資信託なので短期的に見る方はおられないと思いますが、長期的な世界情勢も予測し辛いので、とりあえずは株と同様四半期単位のスパンで検証してみます。
13年7月7日現在
3ヶ月以内投資判断 「やや買い」
買いのタイミング 現在
3ヶ月以内基準価格予想 10000円~11000円
要点
・株式と債券の資産配分が半々のファンドであるが、基準価格の値動きは日本株との連動性が高い。
・同種類のバランス型投信との比較ではパッシブファンドであるため信託報酬は低いものの、不動産の組入が無い分リターンに劣る。
・足元の景気回復期待から基準価格は上昇期待。ただし相反する資産を組み入れリスクを小さくしたファンドであるため、大きな上昇は望めない。
【ファンド概要】
セゾン投信の運用で07年3月設定。世界30カ国以上の株式、10カ国以上の債券に分散投資。インデックス型投資のパッシブファンドで株式と債券の基本資産配分比率は半々。原則として為替ヘッジは行わない。オープン型で12月決算。分配金は0円の再投資型。
【手数料・運用報酬】
購入・解約時に手数料のかからないノーロードタイプ。純資産総額に対して実質約年0.75%の信託報酬等がかかる。
【直近の組み入れ比率などステータス】
※最新の月報より
1位 U.S.500・ストック・インデックス・ファンド 25.1%
2位 U.S.ガバメント・ボンド・インデックス・ファンド 21.7%
3位 ユーロ・ガバメント・ボンド・インデックス・ファンド 18.3%
4位 ヨーロピアン・ストック・インデックス・ファンド 12.0%
5位 ジャパン・ガバメント・ボンド・インデックス・ファンド 9.6%
他、全8銘柄
上位5銘柄で約87%を占める。
地域別組入ランキング
1位 アメリカ 46.8%
2位 ヨーロッパ 30.3%
3位 日本 13.7%
【海外情勢及び特徴】
アメリカには金融緩和終了に対する思惑から債券価格の下落が続いている。一方、シェールガス革命や量的金融緩和の成果による景気回復期待や投資家姿勢のリスクオンの流れから株式市場には資金が流入。リーマンショック後の高値を更新し、上場来高値圏にある。
一方のヨーロッパ圏は未だ各国の財政問題、それにまつわる緊縮財政の継続による低成長、高止まりしつつある失業率・・・などなどの諸問題を抱えており、全般的にまだ底打ち感が見られない。一方で一部の国にインフレ懸念も生じていることから、このまま金融緩和を維持することが難しいジレンマも抱えている。
【基準価格推移】
運用開始以後は設定価格を上回る推移が続いていたが、リーマンショックによる混乱を受けて急落。一時6500円を割り込む場面も。その後は回復局面に入り、昨年11月以降の日本株高を受けて8000円から11000円辺りまで半年で急回復。
一方で債券市場、特に最も組み入れ比率の高いアメリカの債券市場は日本株と反比例する形で昨年11月以降売られ(=金利が上昇)し、実質的には日本株との連動性が強い商品のように見受けられる。
【ファンド間比較】
同ファンドの直近の基準価格は10247円、直近5年間のリターンは8.4%であるが、他のファンドと比較してどうであろうか。
財産3分法F(不動産・債券・株式)毎月分配型 『愛称:財産3分法ファンド』
03年8月設定。世界の債券、国内不動産、日本株を2:1:1の割合で組入れ分散投資。
直近の分配金 50円
購入時手数料 約3.2%、実質的信託報酬 約1.0%。
直近の基準価格 6086円
純資産額は4700億円超で、バランス型の投資信託では最大。基準価格は低いものの、毎月の分配金を加味すると、直近5年のパフォーマンスは10.7%と高い。
りそな・世界資産分散ファンド 『愛称:ブンさん』
05年11月設定。アメリカやヨーロッパなどの債券、REIT、株式に1/3ずつ投資。原則為替ヘッジは行わない。毎月決算。
直近の分配金 15円
購入時手数料 約2.1%、実質的信託報酬 約1.4%。
直近の基準価格 7483円
総資産額は1100億円超で、バランス型の投資信託では3位。毎月の分配金を加味すると、直近5年のパフォーマンスは14.1%と高い。
グローバル3資産ファンド 『愛称:ワンプレートランチ』
05年9月設定。債券、株式、REITへの投資割合は1:1:1を基本とした分散投資。原則為替ヘッジは行わない。毎月決算。
直近の分配金 20円
購入時手数料 約3.2%、実質的信託報酬 約1.5%。
直近の基準価格 6295円
総資産額は800億円超で、バランス型の投資信託では5位。毎月の分配金を加味すると、直近5年のパフォーマンスは4.3%と低い。
しんきん グローバル6資産ファンド(毎月分配型)
06年6月設定。国内外の株式、債券、REITへの投資を1/6ずつ行う分散投資。原則として為替ヘッジを行わない。
直近の分配金 25円
購入時手数料 約2.1%、実質的信託報酬 約1.1%。
直近の基準価格 7110円
総資産額は300億円程度。毎月の分配金を加味すると、直近5年のパフォーマンスは17.5%と高い。
他の資産分散・バランスタイプの投資信託と比較すると、分配金が無く信託報酬が低い割にはパフォーマンスが悪い。資産配分として他の投資信託は不動産を組み入れており、その比率も1/3である一方、同ファンドは資産の半分が足元で下落の目立つ債券。その分パフォーマンスに差が出てくる状況にあると見られる。
【評価】
足元で世界的な債券価格は下落傾向にある。一般的には景気回復傾向が見られ、金融緩和の収束の動きが出ているため。反面株式市場は上昇している。
同ファンドは元々相対する二つの商品を等分に組み入れており、またインデックス連動タイプの商品であるから、大幅な値上がりは期待し辛い。時間をかけた着実な上昇を見込む貯蓄性の強い商品である。
一方で上述のように基準価格と日本株の連動性が強い傾向にあるため、究極的には日本株の先行きを気にする必要がある。それを勘案すると、現在日本株は上昇基調にあるため、基準価格の見通しに対しても多少強気な姿勢を持っても良さそうだ。
資産配分に関しては、足元で不動産を組み入れていないこと、またヨーロッパの配分比率が多めであることはマイナスである。ただ長い目で見た場合、これらの資産に巻き戻しの動きが出た際に投資家一人一人が機動的な解約をできるかどうか。あまり日々の経済動向を追いかけるつもりの無い投資家向けの商品と言えるだろう。
つまり長期的な観点から保有、または他のファンドとの組み合わせで保有するといった総合的なポートフォリオ形成の一部品として有意性の出る商品である。信託報酬などのコスト面では他のファンドに比べて魅力的ではあるが、逆に言えばそれ以外のメリットがあまり見あたらない印象。そのため積極的な資産形成を好む人には不向きと言えるだろう。
※投資は自己責任でお願いします。文中の内容は現時点で予測できる範囲で想定されたものであり、投資成果を保証するものではありません。また同ファンドの中身に関して目論見書などを必ず再確認してください。