そんなこんなで、いよいよ兄との初対面の日私と母と姉の3人で車で駅まで迎えに行きました実はこの3人の中で兄と血縁関係にあるのは私だけという奇妙な関係でもあります。
やがて新幹線が到着し、乗客が次々と改札を通っていきます私は緊張していない・・・と言うと嘘になりますが、まあ事前に電話での感じを母から聞いていましたし、写真を見ても温和そうな人だったので、そこまで肩の力は入っていませんでした。むしろ母の方が緊張していた様子
ところがなかなか兄らしき人が改札を通ってきません遂にはほぼ全ての降客が出てきてしまい、今から改札に向かってくるような人影もありません。一応改札は一つしかないので、間違いようはないはず「あれ?新幹線の時間間違えた?」と母が言い、兄に電話をかけて確かめようとしましたけれど、留守電に切り替わります
「えぇ、どうする?」なんて母と言いながら更に5分程待ってみると、遠くから兄と奥さんらしき人がやってきましたどうも新幹線を降りてからトイレに行っていたようですが、何とものんびりしているというか。そこも案外父に似ているような感じもありますけれど
というわけで、なんだかんだで兄と私は無事初対面を果たしました。勿論「兄さん」「弟よ」なんて言いながら、涙ながらに抱き合ったりはしません。正直、兄弟といってもまだ全く実感は沸きませんし、今まで他人として暮らしてきた者同士が突然シンパシーを感じることも無いでしょう。40年超の歳月はあまりにも長すぎて、ここからそれを埋めるのには相当な労力を必要とします。
当然お互いの会話も敬語。私はまあ性格的にそんなに初対面の人とも壁を作らない方ではありますが、乗り込んだ車の中での会話はどうしてもぎこちなさが抜けませんでした。(つづく)