KA.Blog

株式市場で気になる銘柄をピックアップして分析、検証していきます。主に中期~長期の投資で成果を上げ、値動きを追っていく予定です。株の他にも日常の話題やコーナーで綴っていき、むさくるしくない(?)ブログにしていきたいと思っています。

東光高岳HD(6617)のアナリストレポート

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13年4月7日現在
3ヶ月以内投資判断 「やや売り」
買いのタイミング  本決算発表前後、もしくは1600円を回復する場面があれば
3ヶ月以内株価予想 1200円~1550円


要点

・業績は今後統合効果を出していくことで、利益率を高めていく公算。前期数字は概ね会社計画を上ブレそう。
・需給的には信用買い残の増加傾向が目立ち、上値の重石要因に。
・同業他社との比較では利益率の低さが目立つ。外資参入で競争激化懸念が強い電力計以外、東電以外の事業をいかに伸ばしていくかが課題。
・電気スタンド、スマートメーター関連株として話題を集めるが、それぞれが収益に与える影響は極めて不透明。


【企業概要】
東京電力(9501)系で電力流通・システム制御などの機器製造や取り替え工事を行う東光電気と、同じく東電系で柱上変圧器や電気自動車(EV)用充電器を手がける高岳製作所が経営統合し昨年10月に誕生。新社長が東電元常務ということで、天下りに対する物議も。


【株式キーワード】
東京電力、節電、スマートグリッドスマートメーター、チャデモ(EV向け急速充電器)


【業績】
統合初年度の前期はしっかりと黒字を確保できた見込み。第三四半期時点でも東電向けの売上が復調したことで、前年同期の両社合計ベース売上高との比較では18.9%の増加。

今期からは東光電気分の業績が通年寄与することで、更に嵩上げされる形に。中期経営計画では完全統合される来期に売上1000億円を計画。統合効果発現により年20億円のコスト削減も企図。

節電需要や配電自動化システム等の新市場に広がりを見せるところでは事業環境は悪くないものの、引き続き筆頭株主である東電向けの需要が安定せず、将来的に売上比率は5割を下回ること必至。省エネ関連システム事業などでは、中小企業の節電意識の高まりから年間20億円程度の受注拡大を目指す。

次世代電力計であるスマートメーターでは、東芝(6502)との共同出資会社である東光東芝メーターシステムズでの受注を目指す。東芝はメーター世界最大手のスイスのランディス・ギアを買収し、共に日本の価格の1/3~1/4と言われるスマートメーターを国内向けに投入しようとしている。他の外資との競争が激しさを増す中で、国際規格への対応に取り組む。

それぞれの分野において、今までは東電をピラミッドの頂点とした「電力ムラ」で守られてきた分、今後の競争激化に不安。

足元では台湾の新工場が稼働し、半導体検査装置や変圧器などを生産。スマホなどの伸びから台湾に進出する半導体メーカー向けに供給体制を整える。また、これまで国内変電所に特化していたが、電力需要が拡大するアジア市場向けに電力関連機器の生産体制を敷く。これら「脱東電」を目指す一般向け市場の開拓が急務。


13年3月期予想(KA.Blog)単位:百万円
売上   74600
営業利益 2700
税前利益 2800
当期純益 21300


東光電気、高岳製作所共に最終四半期に季節性要因があって、売上は大きくなる傾向がある。それでも会社計画に届かないと見るが、利益ベースは保守的であることから、上方着地となりそう。


有利子負債は108.2億円で、前期の2社計との比較では3.3億円減少。
有利子負債比率(有利子負債÷自己資本)は22.7%
現預金は170.0億円
流動比率(流動資産÷流動負債 ×100)は170.6%で前期の2社加重平均207.5%より悪化。

有利子負債比率は小さく、実質的な無借金であるため、財務体質は良好。


フリーキャッシュフローは前期2社計で27.2億円の赤字

両社共に東電絡みの仕事が減ったことで利益が減少し、営業キャッシュフローも減少。結果、両社共に赤字転落となった。


粗利率は20.3%で、前の期の2社加重平均20.5%より若干悪化。
予想ROAは2.0%で、前期の3.1%から悪化見込み。

今期からは東電以外の比率を上げることで利益率を維持。統合効果が出るのはもう少し先の様子。


ファイナンスに関しては財務体質も良く、当面は行われないものと見る。


【決算後のアナリスト評価】
みずほ証券 投資判断「アンダーパフォーム」 目標株価1200円

東電向けの依存度が高く、来期に完全統合を終えるまでコスト削減が見込み辛い。


理論株価
買収価値を示すEV(時価総額-現預金+有利子負債)は168.0億円。今期予想EBITDA(営業利益+減価償却費)は48.5億円であり、結果 EV/EBITDA倍率は3.5倍となる。同業他社の平均値がおよそ8.1倍と見立てられるが、それらを元に計算した理論株価は2803円となり、現状の株価は事業価値分析上は割安と捉えられる。


【株価推移】
再上場前に株価が低迷していたこともあり、再上場後は反動から買われたものの、再度失速。その後は地合の回復に合わせて切り返しの動きが続いた。決算を受けて一段と買いが進んだものの、2/6に高値を付けると、足元は調整が続いている。


【テクニカル】
足元は120日線や安値1090円→高値1658円の半値水準である1374円辺りに下値を支えられる格好にはなっているものの、75日線(ただし上に向かっているため抵抗力は小さい)、25日線に頭を押さえられている格好。また一目均衡表でも雲下限や、遅行線が雲上限に上値を抑えられそうな形になっている。

ただし、これらは地合が良いこともあって、一旦は上抜くことが可能と見る。ストキャスも好転していることで短期的には上向きのトレンドが発生している。

しかしMACDパラボリックが暗転し、ボリンジャーバンドも-2σが下方に拡大していることから、中期的なトレンドは下降気味。後述の需給面を見ても、やや下方圧力が強いことから、本決算でトレンドの変化ができなければ、やがて下落に転じてくるであろう75日線が重石になってきそうな感触。


【需給】
再上場後は全終値の平均を上回っていることから、比較的需給が良い状態。チャートの見かけ上でも高値圏に位置し、上値が軽そう。

ただ中期的には1月の決算発表で出来高が膨らんで以降の水準を下回っている(特に1500円前後でもみあったところも下回っている)ことから、やや上値にしこりを残している状態。

信用買い残は差し引き30万株弱あり、再上場後では最大水準となっている。日々の出来高が5万株前後に止まるのであれば、上値を抑える要因に。将来的には東電による保有株売却リスクも根強い。


【同業他社比較】
同社の予想PERは1.1倍、PBRは0.4倍
今期予想営業利益率は2.8%、予想ROEは43.4%
配当利回りは1.8%
同業他社と比較すると、それぞれどのような位置付けだろうか。


明電舎(6508)
発電・変電・制御装置を手がける。その他下水処理施設などの社会インフラ事業に強みをもち、海外案件の取り込みも積極的。スマートグリッド関連も。

予想PERは15.7倍、PBRは1.4倍
今期予想営業利益率は4.3%、予想ROEは8.8%
有利子負債比率は145.3%
配当利回りは1.8%

同社に比べて利益率は高いが、有利子負債も多い。ただし利回り高く、225採用銘柄であるという点も強み。


大崎電気(6644)
電力量計では国内トップ。同社と同じくスマートグリッド関連株としてはやされる。省エネサービス会社などと組み、中小ビルや店舗向けの電力システム事業に参入。子会社にはFPDを手がける大崎エンジニアリング(6259)。

予想PERは14.4倍、PBRは0.6倍
今期予想営業利益率は4.8%、予想ROEは6.3%
有利子負債比率は82.2%
配当利回りは2.7%

利益率は同社よりも高い。どちらかというと今期は子会社に足を引っ張られそうな感じ。低価格のスマートメーターを開発し、同社の強力なライバルに。


日新電機(6641)
住友電工(5802)系の電力機器メーカー。スマートグリッド関連株としてはやされる。スマホ、タブレット用液晶製造装置や太陽光用パワコンなど、材料性が豊富。

予想PERは11.8倍、PBRは0.8倍
今期予想営業利益率は6.9%、予想ROEは6.5%
有利子負債比率は9.4%
配当利回りは2.4%

利益率、財務体質、利回りなどは良い。材料性も豊富で、株式市場的にはウケが良い銘柄。


シンフォニアテクノロジー(6507)
電子精密メーカーで、半導体・液晶搬送装置などを手がける。高岳と同じチャデモ関連株。またスマートグリッド関連としても材料性。

予想PERは47.1倍、PBRは1.0倍
今期予想営業利益率は2.1%、予想ROEは2.1%
有利子負債比率は61.9%
配当利回りは1.9%

株価的には同社に比べて割高。財務体質も悪く、利益率に関してもそこまで長けているわけではない。


同社の前期は負ののれん益が209億円発生すること、東光電気分が半期分しか計上されないことから、他社との単純比較は困難。今期の四季報予想などを参考にすると、予想PERは13.5倍、予想ROEは3.6%に落ち着く。

それと他社とをざっくり比較すると、株式価値的には概ね割安なものの、利益率は低い。他社は競争の激しい電力計以外のジャンルで稼げていることから、電力計が主軸の同社や大崎電気などは厳しい状況にあると言える。


【課題】
電気自動車向けスタンドが株式市場における同社の材料ではあるものの、足元では燃料電池の普及による水素ステーションの存在も上がってきており、次世代スタンド競争の方向性はまだはっきりしていない。

最大手のトヨタ(7203)やホンダ(7267)も電気自動車よりも燃料電池車の開発に力を入れている様子で、電気自動車は近距離用車両の位置付け。その場合、電気自動車の充電はあくまで自宅や敷地内を想定する形になりそう。

年初の報道では「政府が電気自動車用の充電設備に500億円以上を補助。急速充電器の設置を進め、現在の4倍の設置を目指す」と伝わって材料化したこともあるが、3月下旬には他方の水素ステーション関連株として岩谷産業(8088)が人気化。

また電気スタンドの規格においても、日本のチャデモVS欧米コンボの世界標準対決が続いており、決着への趨勢も気がかり。コンボ方式の方が旗色が良くなってきていることもあり、本当に普及が進むかどうかはまだまだ不透明である。

株式的には電気スタンド、スマートメーター関連株として話題を集めるが、上述のようにそれぞれが収益に与える影響は未だ見極め辛い。期待先行が強過ぎる印象。まずは脱東電路線を確立し、それ以外の分野でしっかりと評価される銘柄になってもらいたい。


※株式投資は自己責任でお願いします。文中の内容は現時点で予測できる範囲で想定されたものであり、正確性や投資成果を保証するものではありません。