KA.Blog

株式市場で気になる銘柄をピックアップして分析、検証していきます。主に中期~長期の投資で成果を上げ、値動きを追っていく予定です。株の他にも日常の話題やコーナーで綴っていき、むさくるしくない(?)ブログにしていきたいと思っています。

今週もなんだか

先週はうんざりするような事件が多かったですが、今週も振り返ってみるとロクでもない事件が多かったですねぇ。正直昔は色んな事件が起きても、遠い国の出来事のように無関心だったのですが、歳のせいもあるのか、情報伝達のインフラが整い過ぎて繰り返し訴えかけてくるせいか、妙にウンザリして脱力してしまいます。

↓福岡の飲酒事故
http://news.goo.ne.jp/news/asahi/shakai/20060826/K2006082600094.html?C=S

↓稚内の母依頼殺人
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060831-00000018-mai-soci

何かねー、切ないですねー。特に依頼殺人は意図的にやっていて、かつ自分の母親ですからね。依頼された方もたった30万で引き受けるなんて、世の中世知辛過ぎです。しかも依頼した方は、自分は友達が脱衣所で母親を殺してくる間二階で待っていたとのこと。母親が殺される所は見たくないとの理由で、一階で行われている理不尽で陰惨な現場の出来事を想像し、母親の悲鳴を聞きながら部屋で友人を待っていたのかと思うとゾッとします。

そして極めつけに後味が悪いのがこのニュースです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060830-00000053-mai-soci

もうね、何なんでしょうね、一体。この男のせいで被害者のご両親の人生、50数年の人生は滅茶苦茶にされました。こういう男が世の中には実際存在するんだなと思うともうただひたすら力が抜けるばかり。司法の手によって正しく裁かれる事を祈ります。

毎週小説を書いていますが、現実社会の方がよっぽど惨く、救いようがないですね。事実は小説より奇なりと言いますが、現実社会から目を背けたくなるような出来事ばかりです。

さて、今日は日曜なので小説の日です。前回までの分は毎週日曜のブログを参照してください。


                      正義のみかた

※この作品はフィクションであり、実在する、人物・施設・団体とは一切関係ありません。

第九章 黒板のない教室

それから数日が経過した。既に敦君の身柄は警察署内から福岡少年鑑別所へと移されている。少年鑑別所では少年たちが非行に走るようになった原因や今後どうすれば健全な少年に立ち戻れるのかを、医学、心理学、社会学、教育学などの専門的知識や技術によって明らかにするため様々な検査、テスト、面談が行われる。その結果は鑑別結果通知書として家庭裁判所に送付され、審判や少年院、保護観察所での指導・援助に活用される。つまりはここでの結果次第で敦君の量刑が左右される事も有り得る。

先日面会した時にある程度敦君には鑑別所内での心構え、立ち振る舞い方を伝えておいた。鑑別所内の行動で自身の量刑を不利にするような事をむざむざすべきではない。鑑別結果通知書は学校の内申書に似た様なものだと言ってしまうと少し不謹慎なのだが、人間が人間を判断する以上、心証を良くしておくに越したことはない。犯した罪の重さは動かしようもないが、決まる量刑は変化し得るからだ。しかし敦君の耳に届いていたのだろうか?あの時彼は終始私の説明にぼんやりと、時折熱もなく肯くだけであった。

少年鑑別所に収容されている敦君に2度目の接見を申し入れたのは5月31日の昼過ぎであった。正式に敦君の身柄は福岡地方裁判所に逆送される事となり、来るべき刑事裁判に備えてこちらにも敦君にも下準備が必要となる。

実は一点まだ引っかかっている部分があった。仕事上確認しておきたい点でもあるのだが、どちらかというと個人的な興味という要素の方が強いのかも知れない。それは敦君の家族関係についてであった。

以前福岡北警察署内で接見した際に敦君が語ったところによれば、幸恵さんを狙った理由は「母親に似ているから」であった。私は今回の裁判での展開にあたり、キーポイントを「親からの愛情不足」として弁論を展開するつもりだ。「彼はその成長過程において教育の母体である家庭で十分な愛情を与えられていない。その結果今回の悲劇が生じた。今後家庭では得られなかった愛情について思い知ってさえくれれば十分に更正の余地がある」という論法だ。奇をてらわない正攻法とも言うべきであろう。

言い換えると事件の責任の一端を親に担ってもらうということになる。親が愛情を与えて育ててくれれば今回の事件は起きなかったという論法であるのだから。親のスネかじりとは良く言うが、これは究極のスネかじりという言い方ができるかも知れない。

この日は朝から小雨がパラつき、はっきりとしない天気であった。梅雨前線が少しずつ南から日本列島に迫って来ているらしい。私の愛車アリトも幌をまとっての出動となった。

市街地から車でたっぷりと30分はかかる郊外に置かれた少年鑑別所は緑に囲まれた自然豊かな場所であった。もっとも緑の陰に隠された、有刺鉄線付きの無機質な塀にも囲まれているのであるが。

建物の内部は数年前に増改築された影響もあり比較的キレイな作りになっている。ただそれも昨今の少年犯罪の増加により増床せざるを得ないという事情があったためで、皮肉な結果と言えるだろう。

鑑別所はあくまで少年の資質の調査を主業務とし、少年を教育する場所ではない。であるため、鑑別所内で少年達に課さられる様々な課題は、それを通じて少年達がどのように振る舞うかを調査するために使われている。

丁度私が到着した時間は敦君の心理テストの最中であったようだ。もう十数分で終わるとのことで、鑑別所内でしばし待たされる事となった。

その時間を利用して所長の菊池さんに挨拶をする。頭には白髪が目立ち始めているがまだ40代後半で体格も良い。仕事柄何度も顔を合わせているため、今では私の顔もすっかり覚えてもらっている。今日は開口一番愚痴からスタートした。
「昨今政府は予算削減、人員整理に躍起になってるでしょ?お陰で職員数の減少や高齢化が徐々に進みつつあるんですよ。これでは監視に精一杯で少年達の心のケアまではとてもとても」
手を振りながら話す所長に対し、私は反応に困った。私に言われてもなぁ・・・

挨拶も程々に面会室へと場所を移す。ちなみに少年鑑別所内の面会室は警察署の接見室とは異なってまるで応接室のような作りになっており、随分とリラックスした状態で会話することができる。

座って待っていると程なく敦君が現れた。約10日ぶりの再会である。
「やあ、ここでの生活は慣れたかい?」
「毎日つまんねーことばかりやらされるよ。裁判やるんならさっさとやってもらいたいね」
前回の接見時とは打って変わって多少イキがっている様子が見て取れる。自分の置かれている状況に慣れてきたのだろう。それでは少し困るのだが・・・

「まあ今日はそんなに時間もないし、早速だけど本題に入らせてもらうよ。既にお父さんからは君の子供の頃の話は聞かせてもらってはいるんだけど、君自身の口から君の過去について色々聞かせて欲しいんだ」
「それが一体何になんの?裁判で俺のガキん時が関係あるわけ?」

何も被告が弁護人に対して非協力的なのは珍しい事ではない。特に被告自らが依頼したわけではない今回のようなケースではよくあることだ。だからといって「あ、そう」で済ませられない。こちらからも信頼を勝ち取れるように辛抱強く当たるしかない。それが仕事だ。

「それが関係あるんだ。特に君には言い辛い事かも知れないけどお母さんとの関係性について・・・」
「なんでまたうちのババァの話が出てくるんだよ!?」

少し身を乗り出しながら語調を強める。強い拒否反応だ。しかしあらかた予想が付いていた反応でもある。