KA.Blog

株式市場で気になる銘柄をピックアップして分析、検証していきます。主に中期~長期の投資で成果を上げ、値動きを追っていく予定です。株の他にも日常の話題やコーナーで綴っていき、むさくるしくない(?)ブログにしていきたいと思っています。

こっちのサギは絶滅しません

最近毎週のようにニュースを振り返る場となってしまいましたが、今週はこのニュースです。

振り込め詐欺で1億5千万搾取
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060907-00000013-yom-soci

実はこれとは別の振り込め詐欺が実家に父宛で届いたそうです。遂に届いたかーという感じです。内容は「東京管理事務局」なるところから「特定商取引消費料金訴訟」なるわけのわからない料金に関して「民事訴訟」を起こされており至急連絡せよ、連絡なき場合は原告の申し立てが認められて資産が差し押さえられるシステムになっているよ、というものです。

架空請求業者一覧
https://www.pref.kagawa.jp/chuoseikatsu/menu09/newpage58.htm

ちなみに憎たらしいのは文末に「似たような架空請求の手口があるよ」的な事が書いてある点ですね。どんどん手口は巧妙化しています。

今回の件は心配した母から連絡を受けて早速私がインターネットで調べて「あぁ、同様の文章が全国各地に届いているようだからほっとけば良いよ」とアドバイスして事なきを得ました。うちの母も一応振り込め詐欺に十分注意しているのでわかっているのはわかっているようですが、やはり不安には思うようです。そりゃ普通そうですね。

それにしてもインターネットで見ると「他界した父宛てに届いた」「寝たきり状態の父宛てに届いた」と憤慨の声が多く上がっています。私の父も実際未だ歩けない状態で半寝たきりのような感じです。無論送付している業者はそこまで調べずに手当たり次第送付しているわけですが、非常に腹立たしく思います。

実際にそれらの業者は逮捕されても数年したら出所してくるでしょう。振り込め詐欺でショック死したお婆さんもいる程なのですが、彼らを強く取り締まる法律は今のところありません。これだけ全国の人々が嫌な気分にされているのにです。しかもお金を使われてしまって自分名義の口座に残っていなければ取り返す事もできません。使ってしまえば返す必要がないのであれば、彼らにとってみれば数年刑務所暮らしをするだけで何億と稼げるわけですから、やらなきゃ損って感じになっているわけです。振り込め詐欺に対する法案の強化策を期待します。

罰則強化に加えて、非常にアホな話と思われるかも知れませんが、私は振り込め詐欺のシステムを誰か、例えば国が「特許申請」しないかなーと思うわけです。どういう事かと言うと、もし特許が認められれば振り込め詐欺を真似る奴は詐欺罪と共に特許侵害でも訴えられるわけです。つまり振り込め詐欺をすると自然に2重の罪になり、罪が重くなるという具合です。自分ではなかなか良い考えだと思うのですが、現実的にはどうなんでしょうね?難しいですかね?

今回1億5千万も一人で払ってしまった人は何故そんなに払う前に然るべき機関に相談しないのか個人的には不思議でなりませんが、やはりダマされてしまう人はどうしてもいるものです。まずは全員で払わないように心がけるところが振り込め詐欺撲滅の第一歩だと思います。誰も支払わなければ手間、切手代、電話代がかかるだけで誰も詐欺をしようとは思わないわけですから。

難しいかとは思いますが、国、地方自治体、警察に何とかしてくれと思う前に我々の心構えだけはしっかりとしておく事が肝要だと思います。金の話が出たら問答無用ですぐ電話を切る。またかかってきてもガチャ切りする。もしくはしばらく電話線を抜く。これくらいやっておけば家や会社に何て誰もわざわざやってきませんから対策としては十分だと思います。姿を見せたら向こうの負けですからね。

さて、日曜は小説の日です。前回までの分は毎週日曜のブログを参照してください。


                           正義のみかた

※この作品はフィクションであり、実在する、人物・施設・団体とは一切関係ありません。

第十章 白いカーネーション

「君は幸恵さんを狙った動機についてお母さんに似ていたからだと言ったね。だとすれば今回の事件は君のお母さんの存在が鍵を握っているのは間違いない。その原因から掘り下げて行く事で弁護を有利に進めたいんだよ。君だってできるだけ早く外に出たいだろう?裁判の結果次第では控訴も考えられるけど、まずは最初の第一審が重要なんだよ。」
「刑事じゃあるまいし。うちのババァについて話す事が事件の原因と関係あっても、あんたの仕事は事件の原因を突き止めることじゃないだろ?」
「裁判の進め方については今の段階では君にも言えない。だけど僕に任せて欲しい。今まで何度となく裁判を経験しているんだ。有利な進め方を知っている。」

敦君は「はぁーっ」とこれみよがしに大きなため息を付く。まだ乗り気ではないらしい。
「怖いのかい?それとも恥ずかしいのかな?」
「何がだよ!?」
「幼い頃に虐待を受けた心の傷で母親の事を口の端に乗せるのも躊躇われるのかい?もしくはこの歳にもなって親の庇護下にあると思われるのが恥ずかしいのか?」

賭けという程大げさなものではないが、かまをかけて敦君のプライドを突っつく作戦に出た。荒っぽいがこの手のタイプには有効だ。反応はすぐに出た。

「そんなわけないだろ!うざいんだよ!」
「じゃあ嫌な事はさっさと終わらせた方が良いだろう?君の本当の所を知りたいんだ」
不満を顔いっぱいににじませながら敦君は一言二言話し出した。案外根は素直な奴だ。溝口さんの言っていた通りかも知れない。

結果として敦君のお父さん、雄三さんから聞いた事の裏付けが取れた。子供の頃に母親から虐待を受けた事、ある日突然母親が消えた事、その後3つしか離れていない姉が母親代わりになった事。そして最後には父親の口からは聞けない話、つまり敦君が父親の事をどう思っているかという話を聞き出す。

「ガキん時は親父にむかついた。気の弱い、意気地のない親父だと思った。何やってるんだよ、ダメ親父。甲斐性がないからババァに逃げられるんだろう!ってな。俺が悪い事をしても叱ろうともしない。放任主義ってやつかな?」
「だから自分は非行に走った。叱られればもう少し真面目になったのに・・・かい?」
「そんな事は言ってないだろ!?親父は気にしているんだ。自分の体の事、家族を養う事ができなかった事、ババァに逃げられた事、そして俺たちを満足に育てられなかった事。親父は優し過ぎるんだよ。気にし過ぎだ!ババァに強く言えないから逃げられるんだ!」
「お母さんの事を許すつもりはないのかい?」
「許す?はっ、他に男を作って俺たちを置き去りにしていったババァの事をどう許せって言うんだよ!」
「ではまだ憎んでいるんだね?」
「当然だろ!?うざいって。二度と俺の目の前には出て来ないで欲しい。出て来たらまた何をするかわからない・・・」
さすがに「殺す」とまでは言わない。語尾はガスが抜けるように空気中に溶けて消えた。

それにしても男女間の仲の事まで息子に言われるようでは雄三氏も立つ瀬がないが、最後の部分はかなり本音で話が聞けたと思う。母親の事は今でも憎んでいるが父親に対しては同情すら感じているというところか。

第三者の、しかも面識もない者である私の立場から言えば、蒸発したお母さんにはお母さんなりの論理がある。自分の人生は一度きりなのだ。ならば有意義に送りたいと思うのはごく当然の事かも知れない。倫理的にはなかなか世間に受け入れられないことではあるが、私は職業柄、そういった立場の人たちの弁護も引き受けることがあり、様々な立場の側から物事を見たり考えたりすることができる。ある種の職業病とも言えるかも知れない。無論、敦君にする話ではないが。

彼の中で母親は死んでいる。しかし実際には死んでいないから今回のような事件が起きてしまった。母親は自分を捨てた裏切り者。その憎悪が他人を巻き込んだ悲劇に発展してしまった。

やがて面会時間も終わり、今日のところは私はそのまま自宅へ帰宅する事にした。事務所へ連絡を入れる。裁判の準備は着々と進み、特に滞っている仕事も今のところ無い。

人気のない外れの国道でアリトを運転しながら考えていた。洋子達を殺した少年の家庭は、両親ともに教育の義務を放棄したような印象を受けた。私はあの少年を憎むのと同程度にその両親も憎んでいる。一体親として何をやっていたのか!腹立たしさから力の入った足がアクセルを強く踏みこむ。アリトは主人の八つ当たりに不満の唸り声を上げムキになって走る。

やはり学校よりも家庭での教育の影響は大きい。少年犯罪の場合、比重が大きくなるのはどうしても教育という視点だ。子供を育てるのは大人の責任。であるなら子供の犯した罪の全責任を子供に負わせるのはおかしいということになる。

一方被害者である若葉氏にしてみれば、どこに責任があるかなんて重要ではない。単純に家族を殺した犯人が憎い。それ相応の報いを与えてやりたい。しかし国は犯罪者の人権も守らなければならない。その温度差が被害者を更に苦しめる事になる。そして今回私はその片棒を担ぐ事になった。敵役だ。同じ事を体験しているだけ、私も被害者の気持ちはわかる。辛い。辛いがどうしてもやらなければならない。通らなければならないイバラの道だ。

しかしそうして傷ついて通った後には何があるのか?それ相応の結果が待っててくれるのだろうか?明確な答えもわからないまま、私はキレイに舗装された道を市街地へ向け飛ばしていた。