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株式市場で気になる銘柄をピックアップして分析、検証していきます。主に中期~長期の投資で成果を上げ、値動きを追っていく予定です。株の他にも日常の話題やコーナーで綴っていき、むさくるしくない(?)ブログにしていきたいと思っています。

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3ヶ月以内投資判断「やや売り」
買いのタイミング 当面保留
株価推移 3ヶ月以内 600円〜1000円程度の範囲で乱高下

要点
武田薬品(4502)との主力抗癌剤候補化合物CBP501共同開発打ち切りにより、収入が途絶えた。早期に他のパートナーを探さなければならない。
・現在の株価は過度に売られ過ぎた反動局面。水準的には700円辺りが居心地が良さそうだが、もう少し値動きの荒い展開が続きそう。
・他社と比べると開発力に見劣り。もっとパイプラインを増やす、創薬以外の事業を合わせ持つなどして、リスクヘッジを考えるべき。


【企業概要】
抗がん剤開発に特化した創薬ベンチャー。昨年9月にマザーズ新規上場。前期末に開発パートナーだった武田薬品と提携解消。


【創薬ベンチャーの特性】
一般的に一つの新薬が世に出回るまでには研究開発の膨大な時間(早くて10年)と資金(物にも因るが150億かかると言われる)がかかると言われ、加えて多くの開発コストを投じても、必ずしも満足のいく結果の出る新薬が出来上がるとは限らない。

大手製薬会社は独自でそのリスクの全てを抱え込むような事をせずに、これら創薬ベンチャーとの提携で、その研究のノウハウやリスクを「外注」しようとする。その際にかかる諸費用を一部負担することで、将来上市する際のライセンスなどを獲得する権利を得る。

創薬ベンチャーの多くの収入源はマイルストーンと呼ばれる開発の進捗率に応じた一時金を得る事で成り立っている。勿論これらが主目的ではなく、最終的に新薬をきちんと導出して国に承認してもらい、その権利収入で莫大な利益を産みだし、次なる新薬開発に充てることを目指している。

従って一般的に創薬ベンチャーの株主は、これらの無事な完成を期待して、当分は株主還元を受けられないがほとんどだ。一方できちんと薬が世に出回れば、世界中でオンリーワンの商品となるため、莫大な利益還元をもたらす可能性がある。


【発生事象】
メインで開発していた抗癌剤候補化合物CBP501の武田薬品との共同開発が6/15に開発方針の相違により打ち切りに。金銭補償として5億6千万円受け取ったが、これで同社の取引先が無くなった事を意味し、株価は大きく売られる事となった。

新規提携先を模索し、フェーズ2開発継続目指すが、その間の開発費は全額自己負担となり、同社にとっては大きな荷物を背負い込む形になっている。運転資金は約3年超を確保しているが、先行きは不透明。


【開発中の新薬】
(進捗状況の進んでいるもの順に表記)
名称         用途             進捗
CBP501 悪性胸膜中皮腫・非小細胞肺癌向け アメリカFDAにてフェーズ2 
試験地域を米国、ロシア、南米に拡大し症例登録推進中

CBS9106        未定        前臨床試験段階(動物実験等)

CBS2400s       未定        最適化試験実施中

現段階において、きちんとした形で開発の青写真が描けるのはCBP501のみ。その主力商品が武田との共同開発打ち切りとなったのだからダメージは大きい。

【業績】
創薬ベンチャー企業にとって業績はあまりアテにはならない。新薬が承認され、実際にクライアント先である薬品会社から発売されるようにならない限り、わずかな開発継続のための一時金を受け取るに過ぎないからだ。一般的にはIPOによる資金調達も研究開発費捻出のために行われ、上場時から営業赤字の企業がほとんどだ(従って上場市場も新興市場に限られてくる)。

同社も例に漏れず前期営業・経常利益は共に赤字。最終利益のみ武田から受け取った補償金により黒字に転換している。

資金繰りを伺う上で最も気になる研究開発費について、前期は12.3億円(受取研究開発費控除前の総額)計上した。今期は独自で全てを賄うため、17.8億円を丸々研究開発費として見込む。ただし今期でCBP501の研究開発費の大部分を計上してしまう見込みであることから、来期以降の開発費は抑えられると見ている(ただし計画通り順調にフェーズ3まで進捗すれば、であるが)。

今期は唯一の売上計上先である武田との提携が解消された事により、売上見込みは0。正直創薬ベンチャーの中でも極めて厳しい状況であると言える。どんなベンチャーでも少なからずパトロンとなるクライアント企業が付いて、進捗状況に応じたマイルストーン(一時金)を受け取っているからだ。

同社は3年は運転資金に不安は無いと強調するが、枯渇してくるとどうしてもファイナンスの必要が出てくる。パートナーが見つかれば一気に株価は爆発するだろうが、新しくパートナーが決まるまでは約1年の歳月を要する。早くても今期中に決まるかどうかというところだ。

11年6月期予想(四季報)単位:百万円
売上   0
営業利益 −1970
経常利益 −1970
当期純益 −1970

※今期は売上見込みが無く、個別予想に大きな意味がありません。よって四季報予想並びに会社予想をそのまま採用します。

キャッシュフローに関しても、創薬ベンチャーの場合あまり論じても意味は無い。ほとんどが金食い虫だからだ。前期はIPOで調達した資金と武田による一時金が増加要因となっていたが、今期以降は双方共に無くなる(補償金の入金は今期に発生)。


【株価推移】
昨年8/18に上場来最安値295円を付けてから株価は反動により大反転。学会でCBP501のフェーズ2臨床試験の概要が取り上げられた事を材料に三週間で約4.6倍となる1362円まで一気に戻した。その後9/22に715円まで調整すると、9/24にはストップ高となって再反転。足元はジェットコースター相場となっている。

現在の株価は提携先企業が見つかる事を前提とした水準になっている。今期中に提携先が決まる見込みは薄く、もし見つかったとしても武田以上の好条件で組めるかは不透明である事にも留意しなければならない。一般的に創薬ベンチャー企業の株価は上場後一貫した右肩下がりを演じ、業績ではなくニュース(期待)で動くものであるが、その足元におけるボラティリティはかなり高いと言える。


【テクニカル】
完全にテクニカル的のみに割り切って見れば、今の反発局面は直近反騰時の安値311円→1362円のフィボナッチ61.8%押し水準713円から説明が付きそうだ。リバウンドの上限は週足での1・2月の高値を結んだ上値抵抗ラインの延長線が1070円〜1090円辺りに位置してくるため、その辺りまでが限界だろう。

ただし今はあくまで勢いが先行している形。テクニカル的な見方はあまり参考にならないかも知れない。また1000円超えは武田が付いていた時以上の株価水準になるため、普通に考えると適正な水準とは言えない。流れに乗るにはかなりのリスクを覚悟の上となろう。

一方で間もなく75日線が上昇転換してくることになる。株価が75日線近辺まで落ち着いてきた場合、同線が強力な下値支持線として意識される事になってくるだろう。その場合は需給面では緩やかな上昇トレンドに入る可能性もある。

【同業他社比較】
アンジェスエムジー(4563)
自社品から提携開発品まで多数のパイプラインをもつ。
http://www.anges-mg.com/project/pipeline.htm
ただし売上は5億円程度。最終赤字はずっと付きまとう。それでも実績がある分、同社より評価は高くなる。

LTTバイオファーマ(4566)
売上割合は創薬とEIP(錠剤の形を成形する金型)で半々。と言っても、それぞれ数千万規模の売上のため、EIPはあくまで付随事業。
http://www.ltt.co.jp/souyaku02.html
フェーズ3段階に入っているパイプラインもいくつか存在し、足元は投資が落ち着いてきている印象。疑義は解消。中国企業が筆頭株主で、事業展開の期待あり。

オンコセラピー・サイエンス(4564)
同社と同じく癌治療薬の開発・販売。こちらは提携先の獲得や政府支援金などを柱に、資金が上手く回っている格好。業績も足元では順調だ。
http://www.oncotherapy.co.jp/rd/page3.html

そーせいG(4565)
イギリスの同業などを買収し、積極的に海外展開。ただし赤字は続き継続の疑義発生中。
http://www.sosei.com/jp/pipeline/

メディシノバ・インク(4875)
研究開発中パイプライン9。NASDAQ市場にも重複上場するという異色の銘柄。海外の方が圧倒的に創薬ベンチャーに対する理解があり、資金も集め易い。
http://www.medicinova.jp/outline/mn221_2.html

これらの企業と比較すると、やはり同社の企業価値は弱いという印象だ。時価総額ベースではLTTバイオファーマと並んでいるが、パイプラインや実績などで比較してもLTT社の半分以下の時価総額が妥当とも言えるだろう(一方でLTT社はもう少し買われても良いのではないか)。

【課題】
何度も挙がっているが、とにかく提携先を確保する事が喫緊の課題とも言える。海外の方が創薬に対する理解や資金力があり、海外大手と手を組む事ができれば、同社にとっても大きな強みとなる。

また他社に比べてパイプラインの少なさが目立つ。抗癌剤に特化している点は片方で強みなのかも知れないが、リスクも大きい。創薬以外の事業も合わせ持つことで、多少リスクをヘッジするという形も必要だろう。

そしてまずは何と言っても実績を創る事だろう。上市の実績を創る事によって、提携先も関係者に理解が得られ易くなれば、差し延べてくる手の数も自然と増えてくるのではないか。

全てはCBP501を何としてでも承認までこぎ着けること。これ以外のパイプラインは現段階では用途すら決まっておらず、どんなに早くても5年以上の歳月は研究開発に費やす事になってしまう。CBP501に同社の命運がかかっているとも言える。ただしやはりこの製品一つに同社の全てを託すのは、リスクが大きいと言わざるを得ない。

目先には心配が無いかも知れないが、将来的にはファイナンスは不可避であろう。そのタイミングまで株価を維持する努力が必要であり、他の創薬ベンチャー同様に積極的なIRは必須である。

※株式投資は自己責任でお願いします。文中の内容は現時点で予測できる範囲で想定されたものであり、投資成果を保証するものではありません。