KA.Blog

株式市場で気になる銘柄をピックアップして分析、検証していきます。主に中期~長期の投資で成果を上げ、値動きを追っていく予定です。株の他にも日常の話題やコーナーで綴っていき、むさくるしくない(?)ブログにしていきたいと思っています。

日東電工(6988)のアナリストレポート

今週のお題iPad 2欲しいですか?」
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3ヶ月以内投資判断 「やや買い」
買いのタイミング  75日線での反発確認後、もしくは年初来高値5210円を更新後
3ヶ月以内株価予想 6150円

要点
・業績は急回復。来期は最高益更新も視野。ただし成長余地は小さく、顧客業界の回復に業績が左右される。
・事業価値で計算した理論株価は4618円。足元の株価にはスマートフォン、水処理、iPad2関連など様々なテーマ性のプレミアムが付与されている状態。
・アナリストの評価は総じて高め。ただし今後はそれの引き下げリスクも考慮に入れる必要がある。
・長期的なトレンドは上場来高値からの半値押し水準である6150円辺りに向かっているものと見て取れる。


【企業概要】
液晶光学フィルムを始め、自動車やパソコンなどの電子機器に使われるインダストリアルテープ・HDDフレキなどニッチな部材を取り扱う。またバイオ、水関連銘柄など多様な切り口を持つ。リチウムイオン電池向けのセパレーター開発事業に関してはTDK(6762)に子会社の株式の過半を譲渡。独自での開発から方針転換。


【業績】
前期実績は大幅な増収増益。政策的な後押しによる自動車・液晶テレビの需要回復が追い風となってリーマンショック以降の景気悪化から素早く立ち直ってきた。

今期も増収増益の見通し。液晶タッチパネル部材が日本を含むアジアを中心に拡大。またスマートフォンタブレットPC用部材に使われるインダストリアルテープも好調。他方で生産好調による歩留まりの改善から利益も伸長。その結果通期見通も上方修正してきた。ただし第三四半期自体は円高や価格対応のため前四半期比やや弱含んだ。

足元の月次売上の進捗状況は良好だが、1月末の決算発表時には会社から最終四半期は季節的な要因と機種切り替えのタイミングにより第三四半期よりも減収になる見込みと言われている。この辺りが好業績でも株価の上値を抑える要因となっているようだ。

なお最終四半期における想定為替レートを81円として保守的。ただ同社の為替感応度はそれ程高くないため、大差無ければ業績に与える影響は限定的と見られる。

11年3月期予想(KA.Blog)単位:百万円
売上   644000
営業利益 88000
経常利益 88000
当期純益 59000

今期の会社計画達成はほぼ間違いなさそうだが、液晶用偏光フィルムのパネルメーカーからの値下げ要求が強いようで、今後の利益水準が低減する恐れがある。利益率が高いインダストリアルテープに関しても、顧客企業の売上がこれから大きく増えるような見込みは見出せず、結果売上が少し増えても、最終的には会社計画にほぼ沿った線で着地する事になるのではないかと見る。

翌期までは何とか増収増益推移は期待できそうで、過去最高益更新も視野に入って来るであろうものの、やがて成長鈍化の方が懸念されるような流れになってくるのではないか。

有利子負債は681億円。前期より1割近く減少し、一方現預金は1921億円ある事から、実質的な無借金経営。フリーキャッシュフローは484億円の黒字。ファイナンスリスクは特に無いように思われる。


理論株価
買収価値を示すEV(時価総額−現預金+有利子負債)は7239億円。今期予想EBITDA(営業利益+減価償却費)は1280億円であり、結果 EV/EBITDA倍率は5.7倍となる。大手電子部材メーカーの平均値が5.3倍である事を勘案すると、それらを元に計算した理論株価は4618円となり、現状の株価は事業価値分析上は割高と捉えられる。


【第三四半期決算を受けたアナリストの評価】
JPモルガン証券:「Neutral」 目標株価 4500円
足元の株価は短期業績の想定以上の好調、タッチパネルというテーマ性に乗って株価はややプレミアムを付与されても良い。

日興コーディアル証券:「1」 目標株価5800円

メリルリンチ証券:「買い」 目標株価5500円
市場シェア拡大を背景とした偏向フィルムの安定推移、スマートフォンの拡大を背景としたITOフィルムの需要拡大、株価水準の値頃感や収益性の高さを評価。

GS証券:「買い」 目標株価5600円(1年間)
来期の最高益更新を見込む。

野村證券:「2」 目標株価5200円(1年間)
好調な業績は株価に織り込まれた。液晶フィルムにおいても、今後競合環境が激化するリスクを懸念。

総じてアナリストの印象は高めだが、それらを受けて株価は高い水準まで買い進まれた。実際それに対応する形で野村證券のように投資判断を引き下げてくるところも出始め、先々は格下げリスクに留意しなければならない。


【株価推移】
株価は過去最高益の達成確度が高まった06年2月に1万円超えの上場来高値を実現した。その後はリーマンショックによる世界的な需要減速から約3年で1/7水準にまで下落。

ただし業績は赤字に転落する事無く、その後急速な回復を見せる。それに呼応する形で株価は下値を切り上げつつ、外国人投資家の買いを背景に半値戻し付近にまで戻ってきた。来期最高益を更新する見込みが出てきた場合、更に水準が切り上がってもおかしくはない。

足元の株価にはタッチパネルや逆浸透膜による水関連というテーマ性の分も上乗せして評価され、全体相場の回復局面の中で一層勢い付いている面もある。


【テクニカル】
まず長期的には上場来高値10890円→08年安値1412円の半値戻し水準である6151円というラインが意識されて来る。特に07年の1年間、株価はその辺りで揉み合いを見せ、価格帯出来高が多くなっているゾーンと言える。株価は現在そこを目指して推移しているものと受け止められる。

ただ短期的には2/18の高値を抜けずにもたついている印象。金曜も全体相場が上げる中で逆行安となった。3/1・2の日足は小さなアイランドリバーサルの形状になっており、短期的なトレンド転換を示唆している。その証拠が金曜の戻りきれない値動きに繋がっているとも読みとれる。

MACD、ストキャス等が暗転している事を鑑みると、まずは25日線は割り込んでくる可能性が高いと見る。しかしながら前述の長期的な上昇トレンドを転換するまでには至らず、75日線で反転・上昇してくると予想される。一目均衡表などを見ても、弱気転換する材料は表れていない。


【需給】
需給面では足元で変化が見られる。11月からの上昇局面において、信用倍率では売り長の状態が継続して見られ、逆日歩も付いていた。しかしながら年初来高値を付けた2/18辺りから需給バランスが逆転。丁度昨年8月安値からの期日通過を迎えて、売り方の買い戻しが高値更新の原動力となったものと推察される。

もっとも、そこまで大きく需給バランスが崩れたわけではない。買い残は127万株と日々の出来高の半分以下の水準。株価の方向性が明確に上向き出せば、すぐにでも売り長の状態に戻る可能性がある。


【同業他社比較】
同社の予想PERは14.6倍。また第三四半期時点での営業利益率は14.1%となっている。同業他社と比較すると、それぞれどのような位置付けだろうか。


富士フイルムHD(4901)
液晶フィルムなどの製造。バイオ関連も強化。時価総額は同社の1.7倍程度。同社と同じく現預金の保有額が有利子負債を上回っており、実質的に無借金。

予想PERは20.6倍、営業利益率は7.4%。同社と比較すると割高な印象を受ける。


JSR(4185)
半導体・ディスプレー・ゴムなどを取り扱う。時価総額は同社の約半分。やはり実質的な無借金。

予想PERは17.3倍。営業利益率は11.7%。同社と比較するとやや割高な印象。


クラレ(3405)
ポバールの世界シェア8割。液晶用偏光フィルムの生産が主力に。同社とは共同でシンガポールで工業排水再利用処理の実証実験を行う。時価総額はやはり同社の約半分で実質的無借金。

予想PERは15.4倍。営業利益率は14.6%。同社とほぼ同程度の水準。


日本合成化学(4201)
三菱ケミカルHD(4188)子会社。液晶に使われるポバールフィルムの生産はクラレ以外では日本合成化学のみ。時価総額は同社の1/15程度。やはり実質無借金。

予想PERは9.8倍。営業利益率は11.5%。事業規模が小さいこともあって同社よりはやや割安な印象。


電子材料セクターの平均PERが15〜16倍程度である事を考慮すると、同社は株式的にほぼ平均的なポジションに位置していると見られる。


【課題】
タッチパネルに使われるITOフィルムは同社が世界的にもトップに近いシェアを維持しているものの、数年前はダントツのトップを誇っていた。しかし当時はスマートフォンなどがここまで爆発的に普及すると考えられておらず、生産力を持て余していた中で韓国・台湾勢が猛追。足元の需要増による収益機会の全てを受ける事ができなかった。

この辺りは事業戦略的な読み違えも否定できない。もっとも同フィルム事業などの化学合成品分野は、顧客メーカーによる思わぬ用途での利用で拡大していく場合もあり、需要の読み辛さは確かに存在するだろう。

現在同社は多数の分野での用途向けに多数の部材を開発していて、将来の利益の源泉のバリュエーションは豊富だ。ただむやみやたらに作り出していくよりは、世界需要を読み解いて重点的に開発資源を集中し、顧客企業にこちら側から提案していくことでそういった将来の需要を自社で作り出していく事が重要ではないか。

どの分野でも言えることだが、トップシェアを握った企業の価格支配力が強く、その後の経営戦略が圧倒的に有利になってくるからである。そうすれば競合多数によるパネル価格の下落などに苦しむことなく、また原材料高に応じて製品価格に転嫁もし易くなる。需要動向を読んだ生産戦略が一層必要になってくるものと思われる。

※株式投資は自己責任でお願いします。文中の内容は現時点で予測できる範囲で想定されたものであり、投資成果を保証するものではありません。