KA.Blog

株式市場で気になる銘柄をピックアップして分析、検証していきます。主に中期~長期の投資で成果を上げ、値動きを追っていく予定です。株の他にも日常の話題やコーナーで綴っていき、むさくるしくない(?)ブログにしていきたいと思っています。

日本ユニシス(8056)のアナリストレポート

今週のお題この春始めたいこと
3ヶ月以内投資判断 「やや売り」
買いのタイミング  25日線突破までは見送り
3ヶ月以内株価予想 490円〜590円

要点
・業績は下降傾向。震災による顧客企業のIT投資の縮小を考慮すると、翌期以降の回復力は弱まりそう。
・株価水準は600円より上にはしこりが残っており、頭を抑えられそうな印象。
・販管費などのコストが他社に比して大きく利益を圧迫。更なる削減を要する。
・株価的にはテーマに乗れば上昇の可能性はあるが、業績に織り込むには時期尚早。


【企業概要】
三井物産(8031)系でITを活用したコンサルなどのサービス全般提供。官公庁、金融、電力業界などに強み。クラウドに力点。最近では電気自動車の充電システムにおいて顧客管理、課金決済システム構築が話題。震災における直接的な物的人的被害は無い。


【市場テーマ】
電気自動車、急速充電器、クラウド、等


【業績】
前期実績は減収減益。顧客企業のIT投資の落ち込みによって、主力のサービス・ソフト等売上において大幅な減益。

今期は増収減益の見通し。最終利益はわずかに減益を見込むも、減益要因は今期から開始された資産除去債務に関する会計基準の適用によって、将来発生する資産除去に関わる費用を予め計上しておく会計処理によるもの。その影響額が第三四半期で約4.5億円の下押し要因に。従って実質的には前期比増収増益。

第三四半期までの業績は赤字となっているものの、例年季節要因によって最終四半期で利益を計上する構造になっている。ただ主力のサービス・ソフト等売上は顧客企業が引き続きIT投資を抑制することから減収となっており、出口が見え辛い。

受注残高も主力の同売上は低下傾向に。合計額こそアウトソーシングの伸びにより拡大となっているものの、同売上の伸びが他の付随サービスの売上を伸ばすから、この部分が伸びてこない事には継続した売上の維持は見込み辛くなってくる。

希望の光はハード等の売上が8四半期ぶりに増加に転じたこと。これらの増加はシステムサービスに先行して回復する特性があるので、ひとまず底を打ったという事は歓迎したい。

11年3月期予想(KA.Blog)単位:百万円
売上   265000
営業利益 8000
経常利益 7300
当期純益 4100

今回の震災により、顧客企業のサポートに注力する必要が出てきた。その分既存の受注の進捗が停滞し、今期会社計画の達成にやや暗い影を落とす。特に電力業界向けの営業支援事業は「それどころではない」というのがクライアントの本音だろう。

翌期にも影響が出てくる事は必至。他のIT企業でも「顧客企業の不要不急のIT投資減少は避けられない」と見る向きが多く、折角足下回復し始めたところに冷や水となった事は違いない。赤字子会社の切り離しもあって増益は見込めそうだが、何らかの国策に沿ったテーマに乗れなければその幅は小さいものに止まりそう。

有利子負債は769億円。前期より38億円減少したものの、有利子負債比率(有利子負債÷自己資本)は106%とIT企業の中では高い数字。流動比率(流動資産÷流動負債 ×100)も131%と何とか可の範囲に。

一方現預金は271億円。フリーキャッシュフローは86億円の黒字。売掛金の回収、法人税支払いの減少が増加要因に。まずは負債圧縮に努め、財務の健全化に注力すべき段階では。ファイナンスリスクはそれなりにあるものの、過去公募を実施せずに社債・借入で対応してきたこと、また万一実施されたとしても筆頭株主の三井物産による引き受けの可能性が高い事から、影響度合いは小さそう。


理論株価
買収価値を示すEV(時価総額−現預金+有利子負債)は1083億円。今期予想EBITDA(営業利益+減価償却費)は227億円であり、結果 EV/EBITDA倍率は4.8倍となる。同業他社の平均値がおよそ5.5倍と見立てられるが、それらを元に計算した理論株価は695円となり、時価総額が他社と比して小さ過ぎる分、現状の株価は事業価値分析上は割安と捉えられる。


【震災後のアナリストの評価】
岡三証券 投資判断「中立」 
ハードウェア等の納品が遅れ、震災の影響が同業他社比で大きい


【株価推移】
2006年10月に2440円の高値を付けてから株価は下落歩調。以後の業績が右肩下がりとなっている事になぞらえて、株価も水準を切り下げてきた。昨年10月からの上昇も、長期下降トレンドの中での自律反発の域を出ていない。第三四半期決算発表時は赤字縮小が好感されたもののトレンド転換にまでは至らず、先日の震災によって安値を更新。底打ちの兆しが見えていない。


【テクニカル】
震災による急落から株価はリバウンドを試したものの、結局震災前の戻りを実現できていない。550円ラインに上値を押さえられる格好で横ばいを継続中。市場全体の上昇に乗り切れず、市場の雰囲気好転によりかろうじて命脈を保っているとも言える。

下降してきている25日線が近づいた時に株価がどちらにブレイクするかがポイントであるが、上放れた場合は窓埋めの流れからも瞬間急騰の場面もありそう。ただし全ての窓を埋めるには何らか別の要因(更なる全体相場の上ブレか同社に対するフォローの材料の出現)が必要で、出遅れに対する買い戻しというのはあまり膨らまなさそうな印象。

最安値を付けたところでも出来高もさほど膨らんでいないため、底打ちの確認はできていない。約5年続く下降トレンドから、株価にこれ以上の下押しもあまり無いと思えるが、一方で上昇のカタリストも見い出し辛いところ。セリングクライマックスを見届けるか、長期上値抵抗線である06年10月、08年9月の高値を結んだラインの延長線が位置する680円を突破するまでは、流れが変わったと言い出し辛い。

ただ同業他社も同じような値動きであり、例えば一番利益率も高い野村総研が震災前高値を抜いてくる位に強含めば、他社の株価も牽引される事も見込まれる。


【需給】
日証金・信用残共に足下では買い分が増えて受給は悪化傾向にあるものの、それでも信用倍率は1倍台であり、残高も日々の出来高に比して控えめな水準に止まっている。これらが特段上値を抑える要因になるとは思われない。

ただし昨年12月〜3月にかけて売買が盛り上がった際に、600円〜700円辺りのゾーンでしこりが溜まった格好になっている。その分、600円から上では売り圧力が強く、上値の重さが意識される展開となりそう。


【同業他社比較】
同社の予想PERは16.7倍。PBRは0.7倍。今期予想営業利益率は3.3%、予想ROEは4.9%となっている。同業他社と比較すると、それぞれどのような位置付けだろうか。

NTTデータ(9613)
金融勘定系システム首位。官公庁にも強みがあり、買収で規模の拡大を進める。海外進出に積極的。
予想PERは19.7倍、PBRは1.2倍。今期予想営業利益率は6.5%、予想ROEは6.2%。有利子負債比率は70.0%。EV/EBITDA倍率は4.5倍。
巨人らしく利益率は高め。

野村総研(4307)
金融、特に証券系に強みを持つ。ネットバンキングシステムにおいて同社と協業。
予想PERは18.0倍、PBRは1.6倍。今期予想営業利益率は11.4%、予想ROEは10.2%。有利子負債比率は26.7%。EV/EBITDA倍率は6.9倍。
利益率は大きく、資本効率も良い。ただし時価総額が既に大きいためEV/EBITDA倍率は高め。

CTC(4739)
クラウド四天王のトップクラス。クラウドビジネスに注力し、M&Aにも意欲的。無借金経営。
予想PERは15.1倍、PBRは1.1倍。今期予想営業利益率は7.3%、予想ROEは7.6%。EV/EBITDA倍率は5.2倍。
こちらも利益率は高く、資本効率も良い。

同業他社との比較では、同社の利益率の低さ、資本効率の悪さが浮き彫りになってくる。


【課題】
主力のサービス・ソフト等売上をいかに伸ばしていくか。前述のようにまずサービス・ソフト等の主力売上が伸びていかないと、そこから派生する様々な売上の増加には結びついていかない。

業績を他社と比較すると、同社の販管費の高さが目に付く。そのため営業利益率が低く抑えられているが、売上の増加が期待できない中でもこのコストを抑える事ができれば十分に増益の見通しを立てる事はできるので、売上の増加と平行して取り組むべき課題。

中国における次世代交通システムの需要を取り込めるのではないかという点では希望が持てる。中国は新5カ年計画において「産業構造の高度化と省エネ推進、環境保全への配慮」を掲げており、その中で同社のスマートコミュニティソリューションの入り込む余地は大きそうだ。国内のIT投資需要が減退する中で成長国の需要を取り込む事が可能ならば、内需企業から外需企業へと大きく変貌することも可能だ。

一方で足下株式市場ではこれらのテーマ性が先行して株価の押し上げ要因となっているものの、売上に対する寄与は10数億円程度であり、まだまだ株価に織り込むのは早い段階。株式市場的にテーマ物色があった場合一時的に強含む場面は想定できるが、一過性の要因と割り切る必要がありそうだ。

同業他社は積極的なM&Aにより業容の拡大を図っているが、同社にはその余裕が無い。そのためにはまず財務体質を改善しなければならないが、そのためにも業績の立て直しが急務である。足下の株価推移は同社の立ち直りを見込んでいる水準であるが、その見通しが長引くようであれば、一段の下ブレリスクも負っている事は意識しておかねばならない。

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★3/15  ブイ・テクノロジー(7717)  550000円→700000円 上昇率27.3%
★3/9  ジーンズメイト(7448)    303円→350円    上昇率15.5%
★3/3  日本ミクロコーティング(6624)172円→200円    上昇率16.3%
★2/28  アルファ(3434)       1030円→1105円   上昇率7.3%
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