KA.Blog

株式市場で気になる銘柄をピックアップして分析、検証していきます。主に中期~長期の投資で成果を上げ、値動きを追っていく予定です。株の他にも日常の話題やコーナーで綴っていき、むさくるしくない(?)ブログにしていきたいと思っています。

父の左手

脳を手術した後の容態は山があり谷がありで回復していくみたいですが、どうも最近は谷の方ににさしかかっているみたいです。

木曜に富山を離れる時は結局ほとんど意識もない状態で、ウィダーインゼリーさえも食べれなくなっていました。物を食べようという気持ちはあるみたいですが、丁度寝ぼけた状態みたく、咀嚼ができない状態。口元からダラダラとこぼれ落ちていました。

昨日はついに全く受け付けなくなり、鼻から流動食を入れるような状態になっていたそうです。呼びかけても反応もほとんどないみたいで手術後一番状態が悪いといっても過言ではありません。

それでも医者は「来週にでも一般病棟に移すことも考えている」とのことでしたが、私にしてみればサジを投げた状況にしか思えませんでした。実は先週父の向かい側のベッドに父よりも状態が悪そうな患者さんがいたのですが、父よりも早く一般病棟に移されていました。その人の奥さんも「本当に一般病棟で大丈夫かしら?」と心配されていました。

私は正直医者不審でもあります。私の顎の手術をした先生が感じの悪い人で、手術前日になって入院した際に手術方法を大幅に変更することになって、顎の骨を一部削るだけの手術から顔の形が変わってしまう程の大手術になったのですが、ほとんど説明らしい説明もなく、「患者は黙って医者の言うことを信じれば良い」みたいな印象を受けました。

手術後に術後経過を受診に行った時なんて、待合室で待っている所まで「あなたの歯がなくなっても良いんですか!?」と別の患者に対する怒鳴り声が聞こえてきて、おばあちゃんがシュンとして出てきたのを見て非常に嫌な気分になりました。まあ強く言わないとわからない、ひいては本人のためというのも確かにあるんでしょうけど。

その後もボルトを取るための再手術の必要性も全く聞いてませんでしたし。最初の手術後1年位経過してようやく言われました。正直、術後経過報告だけならもう行かなくていいかなと思っていたので、もし行ってなかったらずっと気づかずにボトルが入ったままでした。

医者はほとんどこちらで選ぶ権利がないですし、良い病院だからといって全員が名医であるわけではないですし。緊急性を帯びていますから、結局そこは運任せとなってしまいます。

今回の父の担当医も最初は腕の良い医者だと聞いていたので安心していたのですが、忙しそうでもあるのですが、私にあまり説明がないし、どうも父がほったらかしのようで、具合も悪くなっているみたいだし、段々信用できなくなってきました。

結局医者は全ての患者の全ての症状や痛みがわかるわけでもないですし。実際に自分が全ての病気にかかるわけにもいきませんからね。限界があるのはわかるんですが、たくさん患者を抱えているお医者さんはその一人一人に対するケアがどうもおざなりになっているのでは?という不安があります。

そんな家族の不安を運に任せるしかないというのではあまりにも殺生です。医者も人間ですからムリを言えないのは承知の上ですが、腕を磨くのと同時に患者の家族のケアにも少しは思いを馳せて欲しいところであります。

さてそんな状況の中まだ救いがあるのは、姉の家が病院の近くにあることと、母がしっかりと献身的に介護してくれていることです。

孫達も姉も旦那さんも皆、母一人誰もいない実家に帰らせるよりは、しばらく一緒に生活してくれた方が良いと考えてくれているようで、母も言葉に甘えて姉の家に厄介になっているようです。母が家政婦ではないけれども家の掃除とか家事をやってくれれば、働きに出ている姉も助かるし、孫達もどこかに行きたい時は車で送り迎えしてくれるし。全くの居候というわけでもありません。それでも母はやっぱり他家の家庭に入り込むのは気兼ねするようで、嫌みたいです。

気持ちはわからなくもないですが、私としてはこれで母に何かあったら八方塞がりですから、大人しく姉の家にお世話になっている方がありがたいです。ただ私自身も、姉におんぶにだっこで全て押しつけているようで恐縮なのですが。そんなわけで東京に戻る時に姉と孫達を前に「父と母を頼みます」と深々と頭を下げて帰ってきました。

父と母は他の人から見ると仲は悪くないように見え、私の目から見てもそんなに悪くないとは思いますが、倦怠状態ではあるようで、父は元々寡黙で、母はおしゃべりですから馬が合わないような感じですし、寝る時は同じ部屋で寝るのを避けますし、母から時々父の愚痴を聞かされますし。内心結構ヤバイんじゃないかなーと気にかけていました。

ところが今回の件で父の右手は未だほとんど動かない状態ですが、少しでも動かしていないと硬直してしまって、本当に動かなくなるとのことで、面会時間の間中ずっと父の右手をさすっている母の姿を見て夫婦愛というのを初めて感じました。子供にしてみれば気持ちの悪い言葉ですが、今回の件は素直に感動ましたね。

その甲斐あってか、幸い今日は少し回復したようで、問いかけに「ん」という程度ではあるけれども応えるようにはなったし、口から物も少し食べられるようになったとのこと。ムリにたくさん食べさせようとしていたのが返ってアダになったらしく、気管に入って咳き込ませ、食べられなくなってしまうとのこと。結局は医者と本人の快復力を信じるしかないんですけどね。

一昨日別れ際に、ほとんど意識のない父の左手で握手すると、父はぎゅっと握り返してきました。意識がある、ないというのは結局言葉で反応があるかないかだけで判断してしまっていたということに気づかされました。

そしてその時初めて父の左手の親指が少し、ほんのわずかですが欠けていることに気づきました。母に聞いたら「もう10年以上前に父が仕事場で機械に挟まれて、ちょっと切断したのよ」ということを教えてくれました。その当時実家にいたはずの私ですが、自分の事ばかり考えて父を全く見ていなかったんだなーと感じました。こんなことになるまで父の手の温もりを感じることなく過ごしてきた事に意外感を感じつつ、10年近くの時間がほんの少しだけ取り戻せたような気がしました。