今週のお題「私の宝物」
母の心臓手術話の続きです。
http://www.ric.hi-ho.ne.jp/joeshow/KA.Blog/20120312.html
まず、当初予定していたカテーテル手術について。これはもっと簡単な部位ならばステントという金網状の筒を血管の狭窄部分に入れて、それで血管を広げた状態に保つことで血流を確保するというものです。先般心筋梗塞で手術を受けた伯母さんも同様の処置を受けました。
この方法のメリットは「部分麻酔でできる簡単な方法で、患者の身体に対する負担も小さく回復も早い。合併症のリスクも小さい」というものでした。
ただデメリットとして「3カ所あるから、最低2回は手術をしなければならない」「再発のリスクがある」「血液をサラサラにする薬を一生飲み続けなければならず、血が止まりにくくなるため、何か他の手術などを受けることになった場合は危険性が伴う」という話でした。
それに対してワンランク上の手術である心臓バイパス手術があり、先日天皇陛下も受けられた手術です。詰まりかかっている血管を迂回するために別の血管を新たに繋げて、狭窄部のバイパスとすることで血流を確保する、という治療方法。
これのメリットは「一度の手術で全てが終了する」「根本的に治すことができ、再発のリスクが小さい」「血液をサラサラにする薬はやはり飲み続けなくてはならないが、量を少なくすることができるのでマシ」ということでした。
一方デメリットは「合併症、特に怖いのが脳梗塞が引き起こされるリスクが高くなる」「難易度の高い手術だから、この病院ではできない。緊急的に隣の金沢の病院に転院することになる」「胸を開いて行う手術になるため入院日数は多くなり、回復に時間がかかる」。
ただ「カテーテル手術を行ってももし今以上に歳をとってから再発すると、バイパス手術は患者の身体への負担が大きくなるから、その時はもうバイパス手術できないかも知れない」ということでした。
昼に受けた説明の際にも聞いていたのですが、検査結果が出るまで実際にどうなるかわからなかったので、我々も真剣にはどうするか考えていませんでした。執刀医の先生にしても、どちらがベターとは言えない、とのこと。最終的な決断は私と姉が決めないといけません。我々は迷っていました。状況が状況なだけに、一刻を争います。
すると執刀医の先生に「部分麻酔で意識がありますから、ご本人様の意志を確認することもできます」と提案されました。我々は「ではお願いします」と言うと、そのまま手術室に通されました。
執刀医に誘導されて手術室に入ると、手術台の上に横たわっている母の姿がありました。検査のために管を通し、患者の上にかけられた手術用の緑色のシートの一部が母の血で赤く染まっていました。医療ドラマなどで見るワンシーンと同じで、私はかなり緊張しました。
母は正にまな板の上の鯉状態で、予期せぬ事態の展開に、表情を固くしながら我々を出迎えました。(つづく)