KA.Blog

株式市場で気になる銘柄をピックアップして分析、検証していきます。主に中期~長期の投資で成果を上げ、値動きを追っていく予定です。株の他にも日常の話題やコーナーで綴っていき、むさくるしくない(?)ブログにしていきたいと思っています。

京阪電鉄(9045)のアナリストレポート

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投資判断「売り」
買いのタイミング11月下旬
3ヶ月以内目標株価 330円

要点
・前期は不動産事業の売上が良く、全体の落ち込みを押さえる事ができたが、今期はそれも剥落し、減収減益を見込む。今夏の猛暑による出足を考えると、保守的にみた通期予想もそれ程上ブレの余地が無い。
・配当・優待の権利が落ちると株価は2ヶ月程の下落トレンドに入る。足元は正にそのタイミングであるため、投資を検討するのはもうしばらく後。
・業界再編が取り沙汰された場合には、同社が最もトップピックの銘柄として脚光を浴びる可能性がある。


【企業概要】
大阪・京都を結ぶ私鉄が主力。路線を中心に沿線開発や小売りにも力を入れ、他の鉄道会社同様、総合的な鉄道経営を目指す。今年で開業100年。2年前に中之島線を敷設し、中之島のビジネス客を取り込む(余談:筆者が大阪で勤務していた際に職場の隣で建設が開始され、筆者が退職した後に開業された。もう少し早くできていれば便利だったのに・・・)。大証がメイン市場。

【業績】
前期決算は不景気の中で人間の往来も減少し、減収減益決算となった。唯一気を吐いたのは不動産事業だったが、今期はそれも一巡。残念ながら減収減益を見込む。

今夏の猛暑で人が外に出なかったという事などを想定すると、主力の鉄道事業やその他の「ひらパー」こと枚方パークを中心とするレジャー事業等は共に少し厳しい数字になるのではないか(沿線の京都は今年国内最高気温39.9℃をマークした)。また猛暑に期待されていた小売業も業界全体では不振の色が濃い。セグメント別ではレジャー・小売りのみ前期比プラスを計画していたが、それも危うい。

業種的にはディフェンシブ銘柄に見られがちだが、不況で外出が手控えられると収益は減少してしまう。レジャーも安近短であれば追い風になりそうだが、円高の環境下ではむしろ海外に旅客の足が向いている。この辺りは大きな伸びは期待できそうにない。

11年3月中間期予想(KA.Blog) 単位:百万円 

売上   119300
営業利益 7600
経常利益 5400
当期純益 3400


前年同期では新型インフルエンザの流行もあって、やはり外出は控えがちだったから、7−9月期は前年並の数字になるものと思われる。保守的に見積もった今期見通しは大きく上ぶれることなく、現実の数字は近づく事になりそうだ。

また前期は賃貸用不動産取得のために借入が増えた。そしてその取得分減価償却費も増えて利益を圧迫する。有利子負債は2942億円と自己資本1010億円に比べて随分大きいが、鉄道会社などの社会インフラを提供する会社は高くて当たり前なので無視して良い。資金調達は主に社債で行われるから株主の希薄化を伴うようなファイナンスは考えなくても良いだろう。

ただしキャッシュフローはカツカツだ。元々現金収入の多い業態なのに、それでキャッシュフローが確保できないと厳しい。前期は借入も含めてギリギリマイナスだったし、第一四半期もマイナスとなっている。特に今期は40億かけて設備投資に充てるとしている。有利子負債を増やさないよう、経営していく努力が必要だ。


【株価推移】
株価は概ね鉄道会社らしく安定的な推移を見せる。過剰流動性相場だった05年から06年にかけては一時倍化する場面もあったが、その後は元の水準である300円台を目指して下落基調にある。

なお、2001年からの株価推移を見ると、優待狙いの買いが落ちたあと、大体2ヶ月位低迷する。3月末と9月末には配当・優待共に同じものが出るから半年毎に基本的には同じような流れの繰り返しだ。特に2001年以降の株価推移を確認するとその傾向は明らかで、9月末と11月末を比較して上昇したのは05年の一回のみ。その際概ね1割近くの下落を見せるため、投資のタイミングには気を付けたい。


【テクニカル】
株価の変動はあまり大きくなく、正直あまりテクニカル的に論ずるような銘柄でもない。それでも敢えて触れるならば、週足で見た場合には緩やかな下落トレンドに入っているのは明白だ。特に底値を打ったような感じも見えない。

権利取り狙いの買いが入ってくるとしても来週いっぱいがせいぜいで、その先は上述のように売りが集まってくるだろう。権利落ち後は昨年11月安値360円を割り込む動きになると思われる。

その際の底値は昨年9月〜11月の動きがピタリと当てはまりそうだ。特に1月後半頃の値動きは今年の値動きと符号する。形が似ているから、例えば週足の MACDが暗転したタイミングなど各指標の動きもバッチリだ。そう考えると昨年9月〜11月の下落率約15%が今年の株価推移となり、底値は335円辺りとなってくる。

買いを考えるならば11月の中間決算の数字を見てからでも遅くはないだろう。そして恐らく上述したような形で中間の数字は宜しく無い。投資時期は中間の数字を織り込んだ下旬辺りからが無難だろう。

一方で長期的に捉えると、月足のMACDは2006年の暗転以来4年ぶりに足元で好転してきた。大底圏はそろそろ近いと見てとれるだろう。長期投資目的であれば、11月下旬のタイミングで買い出動しても良いのではないか。


【同業他社比較】
同社の指標としては今第一四半期
営業利益率  8.8%
自己資本比率 22.4%
予想PER 42.6倍
予想PBR 1.6倍
となるが、同業他社と比較してみるとどうであろうか。


近鉄(9041)
関西地盤の私鉄グループ。大阪、名古屋、奈良が主力地盤。
営業利益率  4.6%
自己資本比率 8.9%
予想PER 40.7倍
予想PBR 2.9倍

元々財務体質の改善が課題である近鉄だが、これに比較すると同社はまだ割安感が感じられる。


阪急阪神HD(9042)
関西地盤の私鉄グループ。大阪、兵庫が主力。
営業利益率  13.9%
自己資本比率 20.1%
予想PER 23.3倍
予想PBR 1.1倍

有力私鉄二社が例の村上ファンド騒動で合併し、事業の効率化を図って高い利益率を出している。怪我の功名とも言えるだろう。これに比較すると同社は割高感を感じる。


南海電鉄(9044)
大阪・和歌山地盤の私鉄。
営業利益率  13.8%
自己資本比率 14.9%
予想PER 935倍
予想PBR 1.6倍

繰り延べ税金資産の取り崩しで最終利益が小さくなるため、PERは異常値に。それを差し引いて考えると、営業利益率は同社よりも高い数字を維持している。ただ先々を考慮すると、成長余力は小さそうだ。


JR西日本(9021)
旧国鉄の西日本管轄。北陸から中国地方までを仕切る。
営業利益率  10.9%
自己資本比率 26.4%
予想PER 21.9倍
予想PBR 0.9倍

規模や管轄の広さを考えるとあくまで参考程度というところだが、不採算路線などを抱えている一方、主力路線を抱えていることと他のJRとの連携という強みもあって、利益率は高い。


これらを総合的に考えると、まだ同社は若干割安感が見られる感じだ。ただし成長性などを考えると、過剰なアドバンテージも付加できない。


【需給】
主力市場ではない東証に倍以上の信用売り残が残っている歪な構造だが、万年売り長の銘柄であり、特に買い戻しなどによる買い圧力は期待できないだろう。ヘッジ売りの累積に過ぎない。信用取引の市場に対する影響は無視しておいて良いだろう。

一方で長期下落トレンド過程において、堆積してきた上値でのしこりが、今後上値を抑える要因にもなる。明確な成長性が示されない限りは、簡単に上昇を持続できはしない。

株主構成に関しては、他社と比較しても特段奇異な点も無いため、無難な構成と言える。


【課題】
やはり根本的な課題は関西圏の経済が回復するかどうかにかかっているが、足元では抜け出せずに厳しい状況が続いている。こればかりは政治的な要素もあり、企業努力だけでは解決し難い。不動産業では東京の物件を賃貸に回しているが、そのような形で地域リスクをヘッジしていく事も必要だ。

株主は基本的に安定株主であるから、株価的にも大きな変動はないだろう。ただ折角だから開業100年の記念配くらい実施しても良いのではないか。多少はIRを充実させてもバチはあたらない。

これからの経営を考えていくと、関西私鉄の再編がどうしても避けては通れないだろう。かつて在阪の球団を皆抱えていたが、今となってはそのようなアドバルーンを上げる事もできなくなっている程、私鉄各社は弱っていると言える。

まだまだ課題はあるものの、概ね阪神と阪急の合併は経営レベルで成功していると言っても良い。既にICカード「PiTaPa」などで私鉄各社の乗車券の共通化は簡単に図れるため、利用者にとっても再編などによる提携で初乗り運賃が抑えられれば利便性が高まる。阪阪グループに入って関西の主要都市連絡を押さえるか、近鉄・南海との合併で対抗するか。

実は近鉄よりも財務状況が良く、比較的収益性の高い路線を押さえている関係上、そのような話が出てきた際には同社が一番イニシアチブを取り易いポジションにあると言え、その際一番買われるべきは同社であると思われる。

※株式投資は自己責任でお願いします。文中の内容は現時点で予測できる範囲で想定されたものであり、投資成果を保証するものではありません。