KA.Blog

株式市場で気になる銘柄をピックアップして分析、検証していきます。主に中期~長期の投資で成果を上げ、値動きを追っていく予定です。株の他にも日常の話題やコーナーで綴っていき、むさくるしくない(?)ブログにしていきたいと思っています。

東邦亜鉛(5707)のアナリストレポート

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3ヶ月以内投資判断 「やや買い」
買いのタイミング  350円での底打ち確認後
3ヶ月以内株価予想 350円〜420円

要点
・業績は同社の受けた震災被害や商品市況の下落の影響を特に受け易い。しかし同社取り扱い商品の世界的需要は旺盛であり、事業環境は衰え知らず。
・株価は目先下押し圧力の強さに抗えず。需給の均衡点まで手出しは無用。ただ均衡点を迎えれば急落の反動もあって、反動高のボラティリティは大きそう。
・同業他社の大手は財閥系の後ろ盾があり投資余力が大きい。その面で同社には
・将来的には資源の世界争奪戦も考慮して、業界再編の流れに飲まれるのは避けられない。


【企業概要】
亜鉛・鉛の製錬大手。売上の7割を製錬事業が占める。業績は非鉄金属の国際価格と、年間契約となる製錬手数料、為替動向に大きく左右される。豪州のCBH社を完全子会社化。開発中の鉱山をも稼働させ、自社権益の原料調達比率を8割にまで引き上げる。

震災被害が甚大で、前工程の福島県いわき市の小名浜製錬所の操業は未だ停止中。結果、後工程の安中製錬所も3割程度の操業に止まる。操業再開は6月上旬の見込み。


【主力非鉄金属の主な特徴】
亜鉛・・・自動車、家電向け。自動車の下回りに使われる亜鉛メッキ鋼板などに用いられる。
鉛・・・自動車用バッテリー、電線などに用いられる。
銀・・・電子部材などの工業用に使用されるはんだ、接点などに用いられる。


【業績】
前期は増収増益。非鉄金属の需要が旺盛な事に加え商品市況の上昇も追い風となって、円高によるマイナスを乗り越え業績は回復基調にあった。CBH社の買収に伴う会計上の特別利益により、震災による復旧損をカバーし尚増益確保の好決算。

しかし今期は増収減益見込み。前期のハードルが高いことや震災に伴う操業停止の影響で前期比大きく落ち込む格好に。主要顧客の自動車会社の生産が滞っている事や足下で商品相場の価格が急落していることも逆風。特に銀価格の下落が目立ち、同社を含めた非鉄金属株の業績下押し懸念が強まっている。

ただし潜在的な事業環境は極めて良好。世界的な非鉄金属の需要は新興国の景気減速懸念もあるが、増加傾向に変化はない。今期は震災の影響で苦しむとしても、長期的には成長継続が見込まれる恵まれた産業であると言える。

12年3月期第一四半期予想(KA.Blog)単位:百万円
売上   19000
営業利益 1000
経常利益 1000
当期純益 300

第一四半期はとにかく出だしの辛いスタートとなるのは確実だろう。会社側は銀価格の今期期中平均想定価格を40$/ozと見ているが、足下の急落によって35$/oz前後での推移となっている。亜鉛・鉛に関しても5月に入ってから5%以上下落しており、為替も円高気味。短期的な業績への影響度合いは大きくなってくる。

それでも既に見通しにも悲観は十分織り込まれており、年間を通して見れば会社計画よりはやや良い数字が出てくるのではないだろうか。商品価格の前提等は結果的に楽観的なものになってしまっているが、需給見通しはもっと底堅いと思われる。

商品市況の急落も、一部商品の証拠金引き上げによる一時的なリスクマネーの逃避であり、底を確認すれば間もなく落ち着きを取り戻して来るであろう。そもそも亜鉛に関しては安中製錬所の操業が止まっている事もあり、元々影響度合いは小さくなっている。

有利子負債は443.6億円で前期から109.5億円増加。豪CBH社完全子会社化に伴う財務負担の増加が主因。結果、有利子負債比率(有利子負債÷自己資本)は73.8%とやや悪化。ただし足下設備投資が活発な同業他社比では少な目の印象。流動比率(流動資産÷流動負債 ×100)は121.5%。

現預金は7.3億円。フリーキャッシュフローは91億円の赤字。営業キャッシュフローは前期の赤字から黒転したが、上述の子会社株式取得における投資が嵩んだ。


理論株価
買収価値を示すEV(時価総額−現預金+有利子負債)は831億円。今期予想EBITDA(営業利益+減価償却費)は104億円であり、結果EV/EBITDA倍率は8.0倍となる。同業他社の平均値がおよそ8.8倍と見立てられるが、それらを元に計算した理論株価は443円となり、現状の株価は事業価値分析上は割安と捉えられる。


【株価推移】
07年7月に1258円を付けてからサブプライムショックによる景気減速懸念を受け株価は1/9水準まで下落。その後は300円〜500円のボックス圏での推移となっている。

震災後は3/15に297円と昨年9/8以来の300円割れ。その後、18日の前期決算増額修正も受けて戻し、22日以降は370〜390円で頑強にモミ合っている。資源株人気で2月に476円の年初来高値をつけ500円を目指そうかという時に今度の大震災下げに見舞われた格好だ。

一部鉛が放射能避けに使われるという思惑から買われ、5月には震災前の株価水準を取り戻していた。ところが11日に出した決算で今期大幅な減益見通しが示されると株価 は急落。商品市況の急落も売りに拍車をかけた。


【テクニカル】
75日線を明確に抜けようとしていたところで失敗。25日線と75日線のゴールデンクロスは未遂に終わり、結果、2/17、3/1、5/2の高値を結ぶ上値抵抗線に頭を押さえられた格好。足下は200日線に支えられているような形であるが、ここも突破される可能性は高いと見られる。ひとまずは下方に開いている窓を埋めに行く流れに。

一目均衡表でも雲を割り込んで、遅行線は実線を下回ってしまった。ボリンジャーバンドも−2σを拡大するような形で、もうしばらく底を伺うような動きになるだろう。週足でもこの辺りは同じような形になっている。

しかし300円という下値を割り込む可能性は小さいと見る。下落率は2営業日で10%を超えているが、株価水準的にはPER、PBRもそれ程割高感があるわけでもない。下方に開いている窓のうち、一つ目の窓を埋める350円辺りで底打ちできるのではないか。底打ちが確認できれば、事業環境は良いため、再度上昇トレンドに復調してくるものと思われる。


【需給】
震災後は震災前の3倍程度の水準まで出来高を膨らましながら力強い戻りが見られた。300円台での価格帯出来高を増やし、回転が効いている状態だった。しかしそこに今回の決算などを受けてバランスが一気に崩れてしまった。

信用倍率も震災後の戻りで改善していたが、今回の急落により悪化傾向に。ただし日々の出来高に比べると極端に上値を押さえ込む程の増加量ではない。

さしあたって今回の急落前にはやや実態以上の期待感や、復興期待が先走った点も否定できない。その分一時的に底が深くなるが、逆に言えば底を捉える事でボラティリティの高いリターンを獲得するチャンスが生じるとも言える。もう一押しした水準からの買いを狙い目としたい。


【同業他社比較】
同社の予想PERは14.7倍。PBRは0.9倍。今期予想営業利益率は5.4%、予想ROEは5.8%となっている。同業他社と比較すると、それぞれどのような位置付けだろうか。


三井金属(5706)
非鉄大手で銅箔は世界首位級。売上は同社の4倍規模。
予想PERは9.4倍、PBRは1.3倍。予想営業利益率は6.2%、予想ROEは13.9%。有利子負債比率は136.1%。EV/EBITDA倍率は10.2倍
やはり同社同様、震災被害や商品市況の下落に苦しむ。ただ同社の場合は主力工場のストップに対して、三井金属の場合は母体や扱い品目が多いため、相対的に影響度合いは薄まる。


三菱マテリアル(5711)
非鉄では銅に強み。売上は同社の10倍級。
予想PERは15.7倍、PBRは1.0倍。予想営業利益率は3.3%、予想ROEは6.4%。有利子負債比率は228.0%。EV/EBITDA倍率は9.4倍
同社も小名浜工場の被災や商品市況により業績下押し。有利子負債は大きいが、三菱グループがバックに付いており安心感がある。減価償却負担が大きい。


住友金属鉱山(5713)
金、銅、ニッケルが非鉄では主力。売上は同社の7倍規模。
予想PERは8.7倍、PBRは1.2倍。予想営業利益率は11.6%、予想ROEは13.5%。有利子負債比率は33.5%。EV/EBITDA倍率は6.9倍
震災被害は特に無いものの、国内景気の減速懸念により今期はほぼ横ばい見通し。商品市況の価格変動に特に影響を受け易い。


同業他社との株式的な比較では営業利益率やROEの面において見劣り。やはり事業規模が他社に比べて小さい分、工場のダメージや商品市況下落に対する落ち込みを他でカバーできない弱さがある。株式的にもまだ割高感が感じられるイメージは拭えない。


【課題】
同社は自山鉱比率が高く、原料調達先の確保なども積極的に動いており、課題はきちんと認識して積極的に取り組んでいる姿勢が伺える。利益率の大きい資源以外の事業強化に動き、収益の多様化も心がけている。

弱点は他社に比べて財閥系資本の大きな後ろ盾が無い事。同社はどちらかといえば三菱系とも言えるが、他社ほど直接的な繋がりがない。その分、投資も大胆かつ積極的に行い辛い面があることも確か。

資源は世界的な争奪戦となっていることから、財務力に劣る同社は、目先は良いとしても数年後には苦しい立場におかれる事も十分考えられる。その際には世界的な業界再編の流れにのって、どこかと同舟する選択肢も考えておかなければいけないだろう。それまでになるべく自社にとって有利に事を運べるように、業容を整えておく必要がある。

また、同社の得意とする非鉄金属分野が自動車、家電という景気敏感セクターに偏っている点はリスク要因とも言える。川上企業として、これら非鉄金属の特性を生かした使用用途をもっと他の業界にこちら側から提言できるように研究開発を行って働きかけていく事も重要ではないか。

※株式投資は自己責任でお願いします。文中の内容は現時点で予測できる範囲で想定されたものであり、投資成果を保証するものではありません。