友人との思い出話の続きです
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それから手を消毒して家に招き入れられ、私はマスクをしたままご両親とご挨拶。この子にしてこの親あり。気のよさそうなお父さんとお母さんでした。ただお母さんに「電車はいっぱいでしたか?」と尋ねられ「特急はいっぱいでしたね」と応えると、表情が曇ったところは私は見逃しませんでしたまあコロナの環境下で心配しない人はいませんね
闘病中の彼は日がな一日ベッド生活。彼のベッドは家の中で一番陽当たりの良いところに置かれていました。ベッドの傍らには暇つぶしのジグソーパズルと大量の薬。たまに地元の友人にドライブに連れて行ってもらっているそうで、それ以外は家に居るか病院に行くか。彼はベッドの端に腰掛けると、そのまま横たわることなく久闊を叙していました。
昔の二人の思い出の振り返りから始まり、大量の薬を飲まないといけないこと、やはり抗がん剤の効き目が悪くなってきたので相談し、担当をよりガンの専門医に替えてもらったこと、血管が細くなってきたので胸に注射用の刺し口を人工的に作って貰ったこと。今の病状と状態を聞かせてもらいました。
「こうして考えてみるとな、去年虫の知らせというか、無性にやりたいことがたくさん浮かんできて。好きなアーティストのライブ10回くらい行った。井上陽水なんて2回行った」
「いや、ホンマに虫の知らせがあったんなら、まずガン検診行けよ」
私はとにかく悲しい感情は出さないようにしよう、なるべく笑い声をたくさん出せるようにしよう、なるべく普段通りに接しよう。心に決め、それを実践できました
当初1時間で帰ろうと思ったのですが、2時間になり、3時間になり。途中ご両親が「大丈夫?」と心配そうに覗き込みにきましたが「大丈夫、大丈夫」と名残惜しそうに引き留められました。私もついつい長居しました。(つづく)