KA.Blog

株式市場で気になる銘柄をピックアップして分析、検証していきます。主に中期~長期の投資で成果を上げ、値動きを追っていく予定です。株の他にも日常の話題やコーナーで綴っていき、むさくるしくない(?)ブログにしていきたいと思っています。

ヒラキ(3059)の会社説明会に行ってきました

月曜にTokyo IPO主催のヒラキ(3059)会社説明会があり参加してきました。ポートフォリオには組み入れていないですが、折角話を聞いてきたのでちょっと分析というより感想を書いてみようかなと。

この会社は昨年11月に東証2部に上場したばかりの会社です。しかし会社自体は1961年創立で比較的古い会社でもあります。靴をメインに扱う小売業で「180円スニーカー」に代表される激安商品で顧客の関心を惹いています。しかもかつては90円スニーカーも販売したとか。残念ながら「お客様にとっては180円も90円も変わらない」という感じで失敗に終わったのだとか。確かにおっしゃる通りかも知れません。

↓ヒラキHP
http://company.hiraki.co.jp/

安さの秘密は当然と言うべきか中国での現地生産。会社側の説明によると日本の靴需要は約6億足(一人5足程度)。流通している靴の90%は中国での生産。続いてベトナム、インドネシアという順序になるそうです。予め会社側に質問をしておいて当日答えて貰ったのですが「今後も高付加価値のブランド力のある商品を販売するというよりは一般的な普及靴で勝負していく」とのことで、低価格路線で突っ走るようです。

今回の説明会で380円スニーカーをいただいたのですが、なるほど、380円ならこんな感じかーというような印象。ただ履き心地は思ったより良く、お得感はあります。

同社が現在力を入れているのが「I'll be style」ブランドで、女性ファッション誌「cancan」のモデル峰えりかさんを起用し、比較的若い女性層もターゲットにした戦略を打ち出そうとしているようです。4月に同誌と提携した企画も行われるみたいですが、なるほど、モデルさんが履きこなせば2000円程度のサンダルでもしっかりして見えるものです。

さて、同社の売り方としては店舗を持つというよりは通販での販売が主力に。自社店舗は逆に本社のある神戸に4店舗ある程度。後は大手小売店と提携しての販売とのこと。なるほど、確かに店舗を持たない事でコストは削減できますが、会場でもどなたか質問されていましたが「試し履きしないと買う気がおきないのではないか」という疑問も湧いてきます。そこはどちらかというと価格の安さでカバーする戦略のようで、とにかく売って売って売りまくる。返品率は業界の中でも低水準の3%程度だとのことです。

戦略は大体わかったのですが、同社の財務状況を見て少し驚きました。有利子負債が100億円以上もあるのです。これが今回一番ネックに思った点です。同業種(ABCマート、ツルヤ靴店等)で比較してみると、100億超えているのは同社のみ。後は平均しても20億円程度に抑えているようです。うーん、これはどうなのでしょう?今後の金利上昇でこの負担は益々重くのしかかってきそうです。

今回の上場で調達した資金で、ある程度の返済はされるようですがそれでも100億円切れるのかどうか。今期通期の営業利益13億円の見込みのうち、どれだけが返済原資に回せるというのでしょうか?配当性向は20%を目標にしているようですが、しまいには借金返済を目的とした公募増資や売り出しすら予期させる感じになっています。

原因は3年前から始めたカード事業にあるようです。これの先行投資負担がかさみ、有利子負債の増加に繋がった模様。同事業はようやく来期黒字化の目処が立ってきたみたいで2010年には5億円の利益を目指すとのことでしたが、個人的にはうーん、どーでしょーという感じですね。大手カード会社が苦しんでいる昨今、果たしてカード事業は順調に利益に貢献していけるのでしょうか?

個人的にはこれらの懸念材料がどうしても払拭できないのと、成長性という点であまり大きな躍進は見込めないのではないかという点で、現段階ではちょっと投資対象にできないという結論です。この辺本当は質問すれば良かったのでしょうが、残念ながら当日風邪で体調が思わしくなくフラフラしていたので正直それどころではなかったのでした。ただ質問したとしても私の懸念を払拭できる有効な回答が得られるとは正直思えませんでした。

後は株価的に考えてみますと、公募価格1870円で上場した当社は同日にあおぞら銀行(8304)が上場したという環境の悪さも手伝って、初値1720円というところで決定した後、一貫して下落傾向。今年に入って初値近辺まで戻す場面がありましたが、そこから現在はまた弱含む展開になっています。

PERは10倍を切っており、同業他社の中では割安な水準ではありますが、業界平均は大体10倍台前半ということで、特段安いというわけではないようです。一方3月末が近いということもあり、30円の配当取り、2000円分の自社製品購入券の優待取りの動きもありそうで、超短期的にはもう少し買われても良さそうな雰囲気ではあります。

ただ個人的にふと思ったのは今後の展開として案外100円ショップ、コンビニ等と提携して靴の販売も可能なのではということ。売れ筋サイズの靴のみの限定販売で、何なら片方100円、両方で200円という販売も可能なのかなと。靴は靴屋で買わないといけないという常識も覆せそうで、価格の安さを武器にしたゲリラ作戦も有効なのではないかと思います。流通上の問題は色々ありそうですが、クリアできればオンリーワン企業として確立できそうです。

※株式投資は自己責任でお願いします。文中の内容は現時点で予測できる範囲で想定されたものであり、投資成果を保証するものではありません。