KA.Blog

株式市場で気になる銘柄をピックアップして分析、検証していきます。主に中期~長期の投資で成果を上げ、値動きを追っていく予定です。株の他にも日常の話題やコーナーで綴っていき、むさくるしくない(?)ブログにしていきたいと思っています。

勿体ぶったわけではありませんが・・・

本来先週日曜に更新する予定だった小説ですが、案の定ネットの回線接続が遅れてしまい、一週間更新も遅れました。やれやれというところですね┐( ̄ヘ ̄)┌

さて、そんなお待たせした今回の小説は「小説」と呼ぶのもおこがましい位のまさに短編小説で全3回です。あらすじを言ってしまうと「こんな事で世界が滅んでしまうかも」と考えるしがない男の妄想ストーリーです。核の話が出てきますが、そっち系の社会派な話ではありません。丁度最近元防衛省長官の失言もありましたが、それより先に作っていた話でして(それにしてもアレは話の前後文脈をよく知らないので何とも言えませんが、あの立場の人が言うものではないですね。例え思っていたとしても)。

出だしにある「世の中は本当に微妙なバランスの上でかろうじて成り立っている」というイメージを皮肉った作品で、かなり実験的な物に仕上がっています。今までの作品から続けて読んでくださっている方にはかなり違和感を感じられるかも知れません。予めご了承下さい。

なのでそこら辺は構えずに、気楽に流し読み程度で読んでいただけると幸いです。全3回ですので、とりあえず今作は箸休め的な感じで最後までお付き合いください。なお、ひょっとすると作者の都合上、更新が不定期になるかも知れません(休日は大阪から富山へ帰省しているため)。できるだけ頑張るつもりですが、その点も何卒ご了承くださいm( _ _ )mペコリ



                      世界の終わり 上

「北朝鮮の核開発に絡んで国連安保理は・・・」
テレビのニュースではいつもの政治問題がいつものように取り上げられていた。世界中で紛争の種は絶えない。それでも人類が絶滅せずに今まで歴史を作り続け、そしてこれからも作っていけるのは微妙な、本当に微妙なバランスの上に世界が成り立っているからだ。それは大国に一定の有利な権限を与え、もし大国がそれ以上を望む時には他の国が一致団結して押さえ込む。そうやって近年世界の均衡は整えられてきている。

日本政府の弱腰な姿勢もその微妙なバランスを形成するのに一役買っている。「平和を金で買っている国がいる」かつて国際社会でそのように揶揄された国であるが、近年その路線は変わりつつあるものの、まだまだ諸外国のイメージを払拭するまでには至っていない。しかし命はどんなに金を積んでも買えないのだから、その命を守るために平和を金で買って何が悪い。

日本は唯一の被爆国だ。戦争に核が使われた。しかも広島、長崎と2ヶ所もである。それが現在の「核による周辺諸国の牽制」といった世界共通の軍事戦略を作り上げた。何万人という軍隊を養うより核一発あれば周辺諸国に睨みを効かせる事ができる。何と言っても効率が良い。そしてコストパフォーマンスとしても安上がりだ。

テレビを見ながらふと思った。核爆発とは原子核の融合、または分裂により発せられるエネルギーによって生ずるものである。ほんのわずかな量の核物質があれば、連鎖的にそれらの反応が起こり巨大なエネルギーを放出する。ウランやプルトニウムが1トンあれば東京をたやすく壊滅できる。1トンといっても畳一畳分位の大きさだ。その畳一畳分の土地を東京で買うには数千万円する場所すらあるが、その畳一畳分の核物質で汚染されてしまえば、そこは畳一畳分の価値すらなくなってしまう。・・・訳がわからなくなってきた。とにかくいくら面積の狭い都市であるとはいえ、たったそれだけの量の核物質で世界に冠たる大都市東京を機能できなくするのに事足りるのだ。

核兵器は科学の力によって生まれたものだ。つまり論理的に研究され発見されたものを利用して作り上げられたものだ。ということは科学が発展しなかったら核兵器は生まれなかった。それは偶然生活の中からひょんな事で発見されるような理論ではなかったのだから。

一方で偶然の中から生まれた発見も多々ある。リンゴが落ちて引力を発見したと言われるのはニュートン。レントゲンによってX線が見つかったのも偶然の出来事だった。世の中探求し尽くされていないのは深海と宇宙と生命だけだと言われて久しいが本当にそうであろうか?その他の地上のいかなる論理も21世紀の現在、全て出尽くしたと言えるのだろうか?

未だ発見されていない定理や定説がこの世には存在するはずだ。とすると中にはこういう現象もあり得るのではないだろうか?「ある条件を満たすと世界中の、いや宇宙中に存在する原子という原子が結合し、この世の中のありとあらゆるものがただ一点に集約される」元々宇宙の始まりであるビックバンは百億年以上前に発生し、それから宇宙は今も拡大し続けているという。何かきっかけがあれば逆転現象が生じて縮んでいくということも・・・

うーん、ちょっとスケールが大きすぎるか。宇宙を相手にすると途方もない。せめて範囲を地球内に止めよう。地球上にくまなく行き渡っているもの。それは空気だ。空気中の三大要素である酸素、窒素、二酸化炭素が適度に配分されて地上で生命体が活動している。この空気を構成する分子が何かのきっかけで連鎖的に結合していくということは考えられないだろうか?一種の気体爆薬のように、一旦火が付くと連鎖的に爆発するとか。何らかのきっかけで。

理論的に考えればそれは一つの化学反応だ。ひょっとしてある科学者はその方法を既に発見しているのかも知れない。そしてその秘密を各国政府機関に高く売ろうとする。ただそれは軍事的には何ももたらさない。何故なら自分達も全滅してしまう諸刃の剣だからだ。もし自分たちだけ助かる方法があれば高く売れるだろう。ただそういった方法が無ければ無いで軍事的に利用できなくはない。「自分たちは助かる方法を知っている」とハッタリをかますだけで、それだけで周辺諸国を震え上がらせる効果があるからだ。

しかしその科学者は発見と同時に抹殺されてしまうかも知れないな。マッドサイエンティストであれば、自分の研究成果をどうしても試してみたくなるだろう。彼らの幸福とは自分が辿り着いた結論が正しく機能する事を確認する事なのだから。そうするとすぐには試さないまでも、せめて自分が死ぬ間際に、その成果をどうしても試してみようと考えるに違いない。それはこの世で最も質の悪いテロだ。そうなる前に世界各国は手を組んでこの科学者を始末し、その研究成果が世に出回るのを防がねばならないのだ。世界の秩序を維持するために。

・・・話が逸れてしまった。この際科学者の話はどうでも良い。自分なりに少し考えてみると面白そうだな。具体的にどういった条件を満たした場合、その「結合の連鎖」が起こりえるかを。いや、理論的にとか現実的に真面目に考えるのではなく、あくまで一つの仮定として。「こういうシチュエーションになると、破滅の最後のピースがはめ込まれ、世界は終わるのだ」という単なる妄想だ。暇つぶしには丁度良い。

そのためにはどうしてもある前提が必要となる。それは「脈々と続いてきた人類の歴史上、その条件を誰も満たした事がない」という前提だ。当然だ。それをやった時点で歴史の教科書はそれ以上厚みを増す事はなくなるのだから。

じゃあどういった場合にその化学反応が起きるのか。何らかの物質を持ってきて、それを熱したり冷凍したり・・・うーん、そんなんじゃなくて。それだと核兵器を作り出すのと大差ない。そんな野暮な事ではなくて、もう少し「日常に起こりえる事で、それでいて人類史上未だ誰もやったことのない行動」というのを前提としよう。そしてそれは直接「空気」と全く関係がない程面白い。またそれは自然現象ではなく、ある一個人がひょんな事から起こした行動に端を発すると余計に面白い。

色々考えてみた。例えばこういう事だ。爪切りでまずは右手の小指の爪を切り、次に左手の親指の爪を切る。そして次は右足の薬指の・・・と順番通りに爪を切らない。60億いると言われる世界人口の中で果たして誰一人そんな事をやった事がないと言い切れるだろうか?ましてそれは歴史的に誰もやったことがないと言い切れるのか?今まで地球上に誕生した人類は累計で何千億人になるのだろう?想像もつかない。その誰もが今までやった事がない事とは・・・

・・・そんな事を考えているうちにいつの間にやら夜は更け、私の妄想の旅は一旦中断を余儀なくされた。