私の人生にも大きく影響を与えた「アルスラーン戦記」の、30年の集大成に対して、若干の感想や愚痴をどうしても書きたくなりました。一部ネタバレになりそうな点もあるので、私より遅くこれから読もうとしている人はご注意を
実は私が読み終わる5年の間に、ついつい見てしまったネットの感想で「あぁ、やっぱりこうなるのか」とネタバレしてしまってました。登場人物がとにかく多いのに、最後の最後で大部分が死んでしまう。ネットで「皆殺しの田中」との悪名を持つ先生のことだから、まあそうだろうなと思っていたので、実はそれ自体は気になりませんでした。歴史ものという観点だから死ぬのは当たり前。
しかし実際に読んでみると、とにかくその愛すべきキャラクターの死が雑過ぎるのです皆の感想通り「この巻で終わらせるために殺されている」感が強い。若干生き残っても別に不自然じゃないだろう、と思うのですが、とにかく皆死んでしまうのです意外に残るんじゃないかと思ったキャラクターすら。そりゃ人外の魔物と戦うから死んでしまうのはわかるけれど・・・
特に敵役として、新しく盛り上げそうになった「あの女性」はあっさり矢を食らって死んでしまいますし、最後まで敵役として盛り上げていた「あの人」も終わりはあっけなく各主要人物の最後の激闘も、ものの1、2ページで終わってしまう最後の蛇王との戦いもあっさり。余韻もへったくれもあったものではありません。最終巻ではとにかく死ぬ死ぬ死ぬ
なんじゃこりゃネットの感想で「俺たちが読みたかったのはコレじゃない」というものがありましたが、見事に代弁してくれています。強く同調します。作者はコレを書きたかったかも知れないけれど、私達ファンはコレを読むために長年待ったわけではないんです。死んでも良いけれど(?)こんなんじゃないんです。これなら本当に未完のまま終わってくれた方が良かったとすら思います
それでも最後の最後で若干の納得と救われがありました。当初アルスラーンの黎明期を支えた5人だけが残り(本当は6人だったが、先んじて既に1人死亡)、そして最後にもう少し死んでしまう。結局最後は3人しか残りません。その3人も、時が流れてそれぞれ語り死にします。それは良いんです。人は必ず死ぬので。こういう形でもっと終わらせてくれても良かったのに
ただ最後の数ページで「その後」が語られた部分で、この30年の作品の重みと、それを受け止める自分自身の30年を思い出し、少しだけほろりとしましたこの点が救いでした。これが無かったら本当に酷い。逆に最後の数ページを活かすためにこれだけ雑に殺したのであれば、田中芳樹先生の術中にまんまとハマったことになりますが・・・とにかく総合的には残念な結末でした
そして実はまだ宿題として田中芳樹先生の別の大作「創竜伝」の方も完結したので読まないといけませんこちらも13巻→14巻までが12年も費やし、すっかり13巻の内容を忘れていますまず復習しないといけないことから、またハードルが上がっています・・・