KA.Blog

株式市場で気になる銘柄をピックアップして分析、検証していきます。主に中期~長期の投資で成果を上げ、値動きを追っていく予定です。株の他にも日常の話題やコーナーで綴っていき、むさくるしくない(?)ブログにしていきたいと思っています。

日本カーバイド(4064)のアナリストレポート

3ヶ月以内投資判断 「やや売り」
買いのタイミング  160円での底打ち確認後
3ヶ月以内株価予想 160円〜200円

要点
・業績は底堅く推移すると思われるが、利益を牽引してきた液晶テレビ向け粘着材の頭打ちにより、次の成長分野での需要を見極める必要がある。
・株価水準は適切なレベルであり、同業他社と比べると震災の影響を受けている分、やや割安な水準に。被災した工場の再稼働の時期に目処が付く事が、株価反転のカギ。
・テクニカル的には上値が重く、200円で様々な抵抗線があるため頭を抑えられるイメージ。一方で特段の悪材料が無ければ、下値もそれ程深くは無いはず。
・まずは有利子負債を削減し、バランスシートの改善が急務。


【企業概要】
化成品製造主力。フィルム、電子基板、建材なども取り扱う。足元では液晶向け粘着剤などが好調。海外進出には積極的。子会社が被災により操業停止中。旭硝子(5201)が筆頭株主。


【業績】
前期実績は減収増益。液晶テレビ向け粘着材や住宅着工の回復が見られたものの円高の影響もあって減収となった。一方で在庫削減などによる利益率の改善で増益は確保。

今期は増収増益の見通し。引き続き液晶用粘着材が好調。業績に底打ち感が出て、復配実施。第三四半期の時点で会社計画の営業利益進捗率は80%であり、通期見通し達成確度はかなり高かった。ところが震災による主力子会社の営業再開の目処はたっておらず、長引くようだと来期業績は減益も想定せざるを得ない。

11年3月期予想(KA.Blog)単位:百万円
売上   54100
営業利益 4600
経常利益 4200
当期純益 2300

同社自体の主力工場は富山で被害も無いが、福島に工場のある子会社エヌシーアイ電子の被害が大きい。ここが被害を受けた事で同社の電子材料製品の供給の1/4が停止しているとみられ、一ヶ月の停止により単純に2億円、営業利益で3000万円程度の機会損失が生じると試算する。これがまとまらないと翌期以降に関しては何とも言えないが、一方で再稼働が確認されれば不確定要素が一つ取り除かれるため、逆に株価を押し上げる安心感に繋がる。

建材事業に関しても同社の中でも1/8程度のセグメントでしかないために、復興需要を織り込むにはやや物足りない。好調だった液晶用粘着材も、シャープ(6753)が震災やエコポイント終了に伴う在庫の積み上がりにより生産を休止している事からも、先行きにややブレーキがかかる点は否定できない。

ただし為替が足下円安に向いているのは好材料。同社に対する直接的な影響はむしろ原材料高に繋がるが、同社製品を扱う顧客企業の業績改善に大きく寄与する事になり、結果的には円安の方がメリットが大きい。また同社の子会社の半分は海外である事も、円安メリットと成り得る要因。

有利子負債は216億円で前期とほとんど変化は無い。有利子負債比率(有利子負債÷自己資本)は160%と同業他社と比べても高い印象。流動比率(流動資産÷流動負債 ×100)も94%とこのバランスシートの脆弱さが、現在低位に置かれる株価水準に表れていると言える。

一方現預金は41億円。フリーキャッシュフローは4億円の黒字。売掛金や法人税の支払い額増加がキャッシュフローの圧迫要因。まずは負債圧縮を強める動きが生じると思われ、財務の健全化が急がれる。ファイナンスリスクはそれなりにあると見ておく必要がある。



理論株価
買収価値を示すEV(時価総額−現預金+有利子負債)は296億円。今期予想EBITDA(営業利益+減価償却費)は69.8億円であり、結果EV/EBITDA倍率は4.2倍となる。同業他社の平均値がおよそ4.0倍と見立てられるが、それらを元に計算した理論株価は157円となり、現状の株価は事業価値分析上は割高と捉えられる。これは結局同業他社比での有利子負債の大きさが、ここまで価値を減ずる原因になっている。


【株価推移】
06年4月に高値を付けてから、業績の下降に沿う格好で下落歩調。減収減益により一時高値の1/5水準まで調整するに至った。それでも黒字を維持したこと、また前期は減収ながらも増益を見込み、今期は増収増益を見込んだ事で株価は回復。一時200円台を回復したが、震災により再度100円台に沈んでいる。その後は震災前の値を取り戻せないまま、2割近く減少した水準での推移が続く。


【テクニカル】
震災後の値動きは概ねTOPIXに沿った形になっている。上値には25日線と200円という節目が控えており、この双方を突破するには何らかの材料が必要だろう。出来高もむしろ震災前より減少してきており、突破のためのエネルギーに乏しい印象。もし突破できたとしても次は200日線、75日線と控えており、震災後の急落の際に開けた窓を埋めるのも容易ではない。

もし来週まで現値水準レベル(180円前後)をキープできれば、一目均衡表の遅行線と実線がクロスする事で、また下値を固める意味でも先々の展開に期待が持てるが、ハードルとしてやや高い印象。ボリンジャーバンド−σに沿って下値を切り下げる流れが現状では自然と思える。

ただし下値は配当政策の維持、また増益基調が確保され、全体相場も極端な環境の悪化が無く穏当に推移するのであれば年初来安値水準を下回る恐れは無いだろう。


【需給】
日証金の融資残高は震災以降減少傾向にあり、返済売り圧力が上値を抑えている一因と読みとる事ができよう。足下ではようやく2/15に年初来高値を付けた際の水準まで落ち着いてきた。

しかし一方で信用売り残高は急激に減少しており、空売りの買い戻しが大きく入ってきて現値水準を辛うじてキープできているという見方もできる。震災後の乱高下で信用建玉は随分と整理が進んだものと思われるが、ここから先の展開を考えると空売りの減少は心許ない。


【同業他社比較】
同社の予想PERは5.0倍。PBRは0.9倍。今期予想営業利益率は8.4%、予想ROEは17.8%となっている。同業他社と比較すると、それぞれどのような位置付けだろうか。


リンテック(7966)
粘着素材大手。マーキングフィルムなどを取り扱う。ほぼ無借金経営。売上は同社の4倍規模で海外展開を進めている。
予想PERは12.9倍、PBRは1.4倍。今期予想営業利益率は9.5%(ただし先日の日経報道レベルでは10%)、予想ROEは10.6%。EV/EBITDA倍率は4.6倍。
利益率が高い分、株式価値は同社を上回る水準で評価されている。ただし資本効率はやや劣る。


藤森工業(7917)
樹脂包装材大手。電子基板材料や建材も取り扱う。売上規模は同社の1.5倍レベル。
予想PERは7.0倍、PBRは0.7倍。今期予想営業利益率は5.7%、予想ROEは9.2%。有利子負債比率は46.0%。EV/EBITDA倍率は3.1倍。
株式価値としては割安に評価されているものの、利益率や資本効率は同社に劣るため、適正な水準とも言えそう。ただし同社が力を入れているスマートフォン・タッチパネル分野は好調なため、会社予想自体が保守的とも。


大倉工業(4221)
合成樹脂フィルム大手。液晶フィルム、太陽電池パネル保護フィルムなどは市場のテーマに沿い易い。包装材や建材部門も扱う。売上規模は同社の1.5倍程度。
予想PERは16.2倍、PBRは0.5倍。今期予想営業利益率は2.5%、予想ROEは3.2%。有利子負債比率は75.0%。EV/EBITDA倍率は4.3倍。
資本効率や利益率を考慮すると、同社の株価はやや割高に買われている印象。市場テーマが先行し過ぎている感がある。


同業他社との比較では、同社株価は割安に映る。ただし他社は震災による直接的な被害が無い分、同社との株式評価に差が付いているとの見方が適切であると言えよう。


【課題】
有利子負債の大きさが気掛かりで、こちらを縮める事が喫緊の課題とも言える。そのためには一層経費削減に努め、営業利益率を高めていく必要があるが、その中では国際的な原料高が逆風だ。安定的な原料の供給先を確保してコスト管理をを徹底し、価格転嫁も含めて対処する必要がある。有利子負債削減に目処が付いたということで復配を決めたが、当面は維持しなければ意味は無い。

事業面では核として安定的に利益を追求できる製品の開発が重要だろう。オンリーワンを武器にできる製品を送り出す、もしくは自社製品を組み合わせる事で相乗効果が期待できる原材料を顧客企業に提案できれば、利益率を一層高める事ができる。

業績が安定すれば現在外国人や投信の比率の小さい株主構成にも変化が生じるだろう。株価水準は比較的割安であるから、きっかけさえあれば一段上の水準に潮位を変化させる事も難しくなさそうだ。

そのためにも新興国への強化は引き続き積極的に行うべき。進出に関してはむやみやたらと手を広げず、各国の需要に対する引き合いの強さをきちんと見極めて出ている印象があり、その辺りは安心感がある。

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