母の心臓手術話の続きです。
http://www.ric.hi-ho.ne.jp/joeshow/KA.Blog/20120312.html
集中治療室に向かう道すがら、姪は笑いながら「私、祖母ちゃん見たら泣いてしまうかも知れん」と言っていました。私も「お前が泣いたらワシも泣くわ」と笑いながら応じました。手を消毒して治療室のエリアに足を踏み入れると、また雰囲気がピンと張りつめます。
そうして母のベッドのところまで行くと、母はやはり目を瞑ったままベッドに横たわっていました。看護師さんがまた「ご家族の方が見えられましたよ」と声をかけると、身動きしました。
母の状態は6時間くらい経過しただけでは何ら変わるはずもなく、引き続き目は瞑ったまま声は出せずに、指先での筆談で会話をしていました。とりあえず経過も無事な様子。
姪が何も言わずにいるな、と思ってふと目線を姪に向けると、既に姪は大粒の涙を流しながら立ちすくんでいました。声も出さずに、ただずっと鼻をすすっていました。元気だった頃の若々しい感じの祖母と術後のシワシワで弱々しい祖母の相違に、安心と驚きと悲しみと、様々な感情が渦を巻いた結果、涙という形に結実して表れている様子。
姪に「お前泣き過ぎや」というと「だって涙止まらんもん」と言いながらずっと泣いていました。ほとばしる感情を抑制できない姪。そしてようやく母の両手を握ると「祖母ちゃん、祖母ちゃん」と繰り返しながらわんわん泣いていました。母はその状態で何度も頷いていました。その光景に、周りはもらい泣き。
面会時間も程々に切り上げて帰ることにしましたが、姪はまだ泣いていました。名残惜しそうにしていましたが「長居して祖母ちゃんに今これ以上負担かけらん」という言葉に、ようやく傍を離れました。
病院から出て「運転危ないから泣くな」と言っても一向に泣きやみません。姉の車と姪の車と二台並んで帰りましたが、結局終始泣きながら運転していたようです。
途中で我々は夕飯に丸亀製麺に寄ってうどんを食べて帰ることに。ようやく少し落ち着いていた姪でしたが、うどんを前にしてまた泣き始めました。「何でまだ泣くんよ?」と聞くと「だって祖母ちゃんご飯食べられんもん」と言って、また泣き始める始末。
姉が半ば呆れ気味に「私が死んだらあんた泣いてくれるん?」と冗談めかして聞くと、姪は「泣くに決まっとるやろ!何で今そんなこと言うん!?」と大激怒。結局うどんは一すすりしかせずに食べ止めて、彼女の残りは私がいただくことになりました。
そんなこんなで、その日は無事皆帰宅することができました。とりあえず皆一様に安心できたので、連日金沢の病院に皆通うのも大変ですから、我々はその日から母が退院するまで交代で通うことにしました。(つづく)