父の話の続きです。
http://www.ric.hi-ho.ne.jp/joeshow/KA.Blog/20161016.html
特養はやはりと言いますか、老健よりもワンランク上の要介護者が多いものですから、こういう言い方はちょっと皮肉かも知れませんが、皆生気がありません。食堂に集められた人達を見ていると、大声で同じ事を何度も繰り返す人、無表情のまま口に次々と流動食を流し込まれる人、車いすに座ったまま苦しそうな顔で眠っている人ばかり。正直見ているこちらの気持ちも沈みます。
「お父さんは頭がしっかりされている分、こういった環境に自分が置かれてしまったことにショックを受けているのかも知れない」と母。そもそも10年変わらずに続いた環境から変化してしまったことも、年老いた身体には大きなショックだったでしょうけれど、こればかりはどうしようもありません。
前の老健施設では就寝までの日中の半分はベッドの上で休んでいる時間がありましたが、特養の方は施設の方針もあって、基本父はいつも食堂で車いすに座っていました。その分父は辛そうで、いつも不機嫌そうな顔をしていました。
確かに寝てばかりいると身体が弱くなりますから荒療治的な感じもありますが、恐らくは食堂に全員集めておいた方が管理しやすいという運営側の事情もあるのだと思いました。実際、食事の時間は各テーブルに6人ほどの入所者が集められ、一つのテーブルに介助者は一人。主に自分でスプーンを持つことのできない患者に付きっきりでしたから、職員にとって食堂は修羅場です。
元々加速度的に父が弱っていたせいもありますが、その疲れもあるのか、父の生気も周囲の人達同様に衰えていくのが感じられました。車いすを自力でこがせようとしても、わずか10数メートルの移動に10分近くかかります。リハビリの意味もあるわけなので、敢えて私と母は手を貸さないように見守っていましたが、力が入らないので車いすがゆりかごのように同じ場所を行ったり来たり。
問題の痰に関しては、自分で痰を切ることができない場合に吸引してもらうことができるようにはなりました。吸引は家族の同意書が必要な医療行為になります。ただその頻度も次第に増え、また実際に痰を吸引してもらうと掃除機を喉に突っ込んでいるようなものですから、端から見ると咳き込んで苦しそうな表情を浮かべていました。それを見ていると、気持ちが益々落ち込んできました。(つづく)