防衛大学校入校話の続きです
http://www.ric.hi-ho.ne.jp/joeshow/KA.Blog/20200531.html
ともあれ、報告書の提出や再点検はまた時間をおいて明日以降の話になるので、次はすかさず掃除の時間に移行します掃除は朝と夜の点呼の後に行われますから一日二回。時間は大体10分程度。とにかくスピード感を持って手早く丁寧に、そして基本通りにやることが求められます
毎日毎日担当部署は変わります。ある日は集会室、ある日はトイレ、ある日は階段・・・施設の広さなどに応じて、一人でやる場合もあれば複数人で掃除する場合もあります。例えば中央階段などは広いので確か3人くらいでやったような記憶があります(※私の中隊の一学年は人数が多めだったので、その分掃除の割り振りは若干楽)。
各部署毎に「申し送りノート」というものがありますそこには、歴代にその部署を担当した一学年達の、血と汗と涙の歴史が詰まっています別の意味でのデスノートかも知れませんこれを事前に読み込んで、申し送りノートに決められた通りの手順で、なおかつ塵や汚れを残さずに終えないといけません
例えば集会室の担当の場合、持ち物は「バケツ、雑巾、ホウキ」・・・などのように、決められています。部署毎に持って行くアイテムが異なるので、必要なものを持ってこなかったり、逆に不必要なものを持ってきたりすると、監督する長(やはり4学年)に「シバかれ」ます
ホウキで掃くのも適当に掃けば良い、というものではありません。廊下を掃く場合、まず廊下の左半分を掃く、終えたら右半分を掃く。左半分を掃く際は、ホウキの柄の上部に左手を添え、右手をその下に拳3つ分くらいの間隔を開けて、後ろ向きに進みながら掃く・・・などなど、図解で示された通り、一挙手一投足その通りやらないといけません
それをその担当部署の配置に就く前に通読し、暗記しておかないといけません掃除中に申し送りノートを読み返すなんてもってのほか一応掃除の際に持っていくのですが、それは監督する長のために持って行くだけ
監督する長も勿論同じ苦行を通して上級生になったので、清掃手順はほぼ頭の中に入っています。ただそのノートに前回の担当者が、注意されたことをどういう風に記入して後任者に伝えているのか、ということなどを確認したりするために必要ですもし前回シバかれた内容をノートに書かずに後任者に渡していようものなら、そしてその後任者が同じミスをしようものならば当然シバかれます
私の記念すべき第一回担当場所は集会室(小)でした。小なので一人。点呼が終わると同時に清掃道具を取りに部屋まで戻り、申し送りノートに指定されたアイテムをかき集めます「バケツ、雑巾、ホウキ」・・・と選んでいると、「おい、一年何タラタラやってるんだ早くしろ」などという威嚇が廊下に響き渡り、更なる電流が流れてきます
諸々のアイテムを揃え、清掃場所にダッシュで到着作業帽に汗が染み込んだまま「気を付け」の姿勢で呼吸を整えながら監督長がやってくるのを待ちます。そしてやがてゆっくりと視界に現れたのは・・・タイ人でした(つづく)