KA.Blog

株式市場で気になる銘柄をピックアップして分析、検証していきます。主に中期~長期の投資で成果を上げ、値動きを追っていく予定です。株の他にも日常の話題やコーナーで綴っていき、むさくるしくない(?)ブログにしていきたいと思っています。

山口フィナンシャルグループ(8418)のアナリストレポート

投資判断「中立」
買いのタイミング 現在〜9月中旬
3ヶ月の株価推移 750円〜900円

要点
・財務状態はまあまあ。特にファイナンスなどの心配も無い。
・来年北九州銀行を創設予定。足元ではその分の経費などがかかってくるが、営業拠点を増やして、将来の顧客増に繋げたい。
・株価推移は概ねTOPIXに連動する。また他の地銀と比べて特に割高感も割安感もない。
・地盤の中小企業は外需系の産業である。いかに海外進出を後押しできるかが、今後の課題になってくる。


【企業概要】
山口銀行と広島地盤のもみじ銀行などを傘下に持つ中国地方地盤の地銀連合。不良債権総額1621億円。自己資本比率のうちTier1は9.44%。8/10に第一四半期決算を発表済み。


【業績】
来年10月には北九州銀行を設立予定。27日にはそのための準備子会社設立を発表した。福岡にある山口銀行の支店を軸に新店舗を展開して、北九州に本店を置く唯一の銀行として支持を集める公算。現在の地盤だけでは頭打ちであるため、営業拠点の拡大を図る。

前期はリーマンショック後の回復を見せたが今期は減益予想。地元企業の収益力の回復に対する悲観的な見方が残る。また新銀行設立のための費用を見込む。

第一四半期決算では売上高に当たる経常収益は国債等の売買益増加に伴い前年同期比増。与信コストの減少に伴い経常利益以下はほぼ倍増となった。この辺りの事情は他のメガバンク・地銀と同じである。

広島は製造業、主にマツダを中心とした自動車産業の下請け工場などが多い。中京圏と同じようにリーマンショック後の自動車産業の打撃をモロに受けた。北九州は鉄鋼業と製造業。原材料価格の高騰により悲鳴を上げている。

11年3月中間期予想(KA.Blog) 単位:百万円 

経常収益 89300
経常利益 15000
当期純益 9500

中間期は会社が見込む程業績が悪化するわけではないと見る。地方経済はまだまだだが、緩やかな景気回復の中で要注意債権などの減少が見込まれ、与信費用は更に低下するだろう。

財務体質には問題が無い。特に公的資金も入っているわけではなく、有力地銀として健全性は高い。自己資本比率も維持しており、増資のリスクも目先はなさそうだ。


【株価推移】
現在の形態となって2006年に上場してからは緩やかな右肩下がりとなっている。リーマンショック時に株価は半減したものの、メガバンク等と比べると、直接的なダメージは小さい。ただし回復力はその分弱く、地方経済の復活が生命線の同社のような地銀にとっては、苦しい時代が続きそう。

良くも悪くも先々は日本経済の復活に頼らざるを得ない。特にTOPIXベンチマークとしたトラッキングエラーもなく、市場の流れに沿った株価推移をしている。


【テクニカル】
足元の株価は緩やかな下落トレンドを続けている。ダブルボトムを形成し損ねたTOPIX同様、780円を底割れすると、25日には777円の年初来安値を付けてきた。その25日にはそこそこ出来高も膨らんだため、やや需給は改善してきているが、明確に底を打ったと判断するのは早そうだ。

ただし下値はそれ程深くはならないだろう。次なる目処はリーマンショック後の2008年10月安値736円がターゲットとなってくるだろうが、環境は当時ほど悪いわけではない。もうしばらく横ばいを続けてから、後に上昇に転じる流れになってくると思われる。

結局はTOPIXETFを持つことと大差無いのだが、当面は日本株の回復期待に連動する形となるだろう。財務体質は良好だから、戻り始めた時のパフォーマンスはメガバンクよりは良いはずだ。メガバンクは後述するように需給面において圧倒的な信用買い残を残っているため、上値を追い辛いから、上昇相場には出遅れるだろう。ただし中期的にはメガバンクの方が業績変化率が高い事から、パフォーマンスが逆転してくると思われる。

同社がアウトパフォームする条件は北九州銀行が業績に寄与し、きちんと貸し出し残高も増えてからの話だと思われる。それ以外に個別での差異を見出すのは難しい。


【需給】
信用残による需給不安はメガバンクほどは無い。従って目先は金融業の中では上値が軽いと言える。加えて自己資本比率もそこそこでファイナンス懸念も無さそうな点は安心感を誘う。従って相場の戻り局面では素直に戻りを試す展開になるものと思われる。


【特性】
地銀全般におけることであるが、地域独特の産業構造の好不調に業績が左右される事になる。同社の場合は関門海峡を挟んで中国、北九州を地盤とするが、産業構造としては自動車・化学・鉄鋼といったところが強く、全て外需頼みの産業とも言える。ちなみに山口に本社を置くファーストリテイリング(9983)も、最早内需とは言えなくなってきている面がある。

幸い新興国の回復を背景として、これらの産業は最悪期を脱した。ただしその恩恵が末端の中小企業まで回っているかというと、そうでもない。引き続き中小に対する風当たりは強く、資金繰りも苦しいままだ。来年3月に打ち切られる景気対応緊急保証も再延長を余儀なくされるだろう。

そういった保証協会付けの保証での貸し付けは、銀行としてはリスクを被る事がなかったため、仲介手数料のみの丸儲けだった。それがもし終わってしまうと、自行による貸し付け先への対応も、真剣に検討が必要になってくる。この先いよいよバンカーとしての真意を問われる事になるだろう。


【同業他社比較】
同社の総資金利ざや(運用資産の利回りと営業経費を含む調達資金の利回りの差。銀行の収益性を示す指標)は0.31%。PERは10.5倍、PBR0.5倍。これらの数字は他の地銀と比べてどうだろうか。

横浜銀行(8332)
総資金利ざや0.73%。PER12.9倍、PBR0.7倍。指標面では他の地銀と比較するとやや割高ではあるが、利ざやを考慮すると買われている事も頷ける。

ふくおかフィナンシャルグループ(8354)
総資金利ざや0.41%。PER11.1倍、PBR0.5倍。地理的にも一番同社と近い。利ざやはやはり都市圏である福岡を中心とした強力な地盤を持ち合わせているため高い。親和銀行を実質救済し、その底力は益々と強くなった。同社にとって一番のライバルとも言えるだろう。

広島銀行(8379)
総資金利ざや0.28%。PER15.4倍、PBR0.8倍。こちらも営業圏が重なっている。各指標面では同社よりも割高に評価されている。

これらを考慮すると、指標面では概ね地銀の平均の水準まで買われていると言え、特に割高感も割安感も感じられない。

【課題】
営業拠点の拡充は足元で北九州を攻めている事から、その進捗を見守りたい。広島辺りも、広島銀行(8379)の牙城をどのように切り崩していけるかというところだが、それは足元の北九州攻略が済んでからのビジョンとなるだろう。現実的には握手をする方が賢明か。

根本的な課題は顧客である中小企業に対して、どのようなサービスを提供していけるか。これは地銀全般における課題でもあるが、具体的には海外に進出しようとする中小企業をいかに支援していけるか。やはり銀行の本分は融資業務にある。債券売買といったトレーダー業は、急場しのぎの作業でしかないはずだ。まして、国債の利回りも足元では下がるところまで下がった感があり、これ以上の収益は望めない。

不況になれば下請けから搾り取られ、景気が回復しても下請けに利益はなかなか還元されない。まして円高の中で大企業の工場は益々海外に出て行くばかりだ。中小企業にとっては逆風は止みそうになく、設備投資もままならない。そうこうしている間に持っている技術すら、さび付いてしまう事になる。今の日本の産業における構造上の問題だ。

下請け自体が海外に出て行く程の力を持たないと、いつまでも資金繰りに苦しむ事になる。技術力をもった中企業を支援して、海外進出のノウハウを伝える事ができればバンカーとしての本懐とも言えるだろう。

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